【Bリーグ開幕特集】名古屋ダイヤモンドドルフィンズ⑥司令塔・笹山貴哉が紹介!「期待の新戦力って実はこんなプレーヤー」

今シーズンのドルフィンズには5名の選手が新加入した[写真]=アジアリーグ

10月6日の開幕に向けて、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはアジアの強豪クラブが参戦し、マカオで開催された「テリフィック12」に出場。主力が欠場の中、新加入選手が早速チームにフィットし、息の合ったコンビネーションプレーを何度も見せていた。ここではチームの司令塔、笹山貴哉に新加入5選手を紹介してもらう。彼らのいろんな特徴をチェックしてほしい!

文=吉川哲彦

「バックアップではなく、自分のポジションを脅かす存在」小林遥太滋賀レイクスターズより移籍)

笹山にとって洛南高では2学年先輩にあたる小林遥太(写真左)。ある意味ライバル的存在だという[写真]=アジアリーグ


 自分の出身である洛南高校の先輩で2年間一緒にやっていましたが、バスケットIQが高く、言われたことをやろうとする実行力があるので、安心して任せられる選手です。すごくディフェンシブな選手で、僕はオフェンシブなほうなので、ガードとしてのチームのコントロールという部分は対照的になると思います。

 性格的には面倒くさがり屋というか本当にだらしないんですが(笑)、それをバスケでは見せない。プロとしての取り組み方という点では180度どころか1周回るくらい普段と違います。オンとオフがはっきりしているという点はチームで一番だと思いますね。
あとは、とっつきやすくて人に好かれるタイプなので、チームには大学(青山学院大)の後輩(張本天傑安藤周人笠井康平)もいるんですが、どちらかというといじられるほうです。あまり先輩後輩という空気を出さないし、僕とも先輩後輩の関係はあってないようなものです。

 これまでは対戦相手として、僕のことを分かっている分、嫌な間合いでマークされましたが、今はそれが僕にとって良い練習になっています。僕のバックアップというのではなく、いつスタートの座を取られるかという危機感を持たないといけないと思います。

「偏食が心配な、スマートで運動能力の高い万能プレーヤー」マーキース・カミングス(KBLソウル三星サンダースから移籍)

「これまでドルフィンズになかったことをもたらしてくれる存在」(笹山)というマーキース・カミングス[写真]=アジアリーグ


 すごく能力が高くて、ドルフィンズには昨シーズンまでいなかったタイプです。外から打つこともできるし、中に切れ込んでフィニッシュまでいくこともできる。JB(ジャスティン・バーレル)やCB(クレイグ・ブラッキンズ)とも合うと思いますし、僕たちが目指しているトランジションバスケットにも向いています。また、いろんなことをスマートにできて、日本人選手もその頭の良さに助けられるのではないかと思います。リバウンドを取ってから5人抜きできるクイックネスがあり、そこからパスも出せる。ポイントガードとしてはすごく楽になるし、相手には脅威になりますね。

 基本的にマイペースで自分から喋るタイプではないんですが、外国籍選手3人が仲良しでよく笑っていますし、こちらからいけばワチャワチャできるので、コミュニケーションも問題ないと思います。ただ偏食で、一緒に食事に行った時もチキンとシュリンプしか食べなくて、「野菜は大丈夫?」という感じなので(笑)、日本の食事に慣れるのが大変かなと思いました。

 昨シーズンは韓国でプレーしていて、同じアジアという点では大きなギャップもない。あとは僕たちが彼の良さをどう活かしていけるかだと思います。

「ポテンシャルが魅力! しかし天然ボケをかます大学の後輩」満田丈太郎横浜ビー・コルセアーズより移籍)

トランジションを増やしたいというドルフィンズの戦術にマッチすると思われる満田丈太郎[写真]=アジアリーグ


 筑波大学で一緒にやっていましたが、とりあえず走ります。一緒に出ている時間帯は僕のアシストが増えると思いますし、チームとして昨シーズンよりトランジションを増やしたいという点では彼が一番マッチすると思います。持っているものをそのまま出してくれれば、このチームに必ず必要になるピース。「やってくれ」と言ったことを40分間ひたすらやる。チームで一番若いのでこれからどんどん伸びていってほしいし、向上心もあるので絶対に成長すると思います。

 性格は天然ですね(笑)。真面目な顔してポロっと冗談を言うんですよ。真面目な顔なのでこっちは本気なのかと思って「そうなの?」って返すと「いやいやウソです」って(笑)。ユニークなのかもしれないです。他の人にない新鮮なボケ方をするので、ムードメーカーになるんじゃないですか。

 でも、バスケットに対してはすごく真剣です。僕は彼のような選手がチームに必要だと思って「一緒にやろう」と思っていたんですが、チームも同じように思ってくれてオファーを出して、勝ちたいという思いでそれに応えて地元のチームから移籍してきてくれた。その決断を無駄にしないように、僕が活かしてあげないといけないです。

「寡黙な努力家。キャラづくりは自分にお任せ」菊池真人サンロッカーズ渋谷より移籍)

プロとしての豊富な経験をドルフィンズで活かしてほしい菊池真人[写真]=アジアリーグ


 真人さんは本当に静かです(笑)。最初はなかなか喋る機会がなくて、みんなで食事に行った時に隣に陣取っていろいろ喋ったんですけど、話を聞いてみたら面白かったです。いじったらちゃんと返してくれるんで、本当はもっと来てほしいんじゃないかな(笑)。僕がこのチームの中でのキャラを作ろうかなと思います。

 プレー面では、bjリーグの仙台89ersというプロクラブで長くプレーしてきて、僕にはわからない話がたくさん出てきましたし、それがすごくプレーにも出ている。外国籍選手がメインになるところでやってきた分、周りの動きに合わせて動くことができる頭の良さがあります。僕はすごくやりやすいです。

 それから、人一倍努力する選手ですね。シューティングも自分に何か問いかけているんじゃないかというくらいやりますし、難しい中間距離を簡単に決める。シューターではないんですけど、試合の流れが悪い時に普通に決められるような、後で振り返って「この1本がつないだな」「目立たないけどあの1本が効いたな」っていうシュートを決められる選手なんじゃないかと思います。それだけ努力しているから、僕たちとしても安心して任せられますね。

「脱サラしてプロの世界に飛び込む。水に慣れれば通用間違いなし」笠井康平(四国電力からBリーグ入り)

笠井康平は「遠慮がなくなれば僕の立場も危うい」と笹山は評する[写真]=アジアリーグ


 笠井は高校時代から知っていて、もともとすごく良いものを持っているんですが、トップレベルから2年間離れていたのでそれを忘れているというか、自分が持っているものをまだ出しきれていないところがあります。特に外国籍選手がいることに戸惑っています。ポイントガードとしてプレーの引き出し方しかり距離感しかり、今はまだその壁がある。でもそれは仕方ないですし、僕も最初からできていたわけじゃないという話はしています。スタートラインは他の人よりも高いと思っているので、すぐに自分のプレーができるようになると思います。

 キャラとしては、笠井も結構天然です(笑)。もちろん、良い意味で。でも、その天然さがかわいいんですよ。甘え上手なところがあって、先輩にうまいこと寄っていけるタイプ。時々突き放したくなるんですけど突き放しきれないかわいさがあるんですよね。丈太郎(満田)とはまた違うタイプの後輩です。

 ただ、バスケに対しては熱心で、僕にもいろいろ聞いてきます。たぶん「自分がやらなきゃ」という意識が強すぎてガチガチになっている。プロになるのはだいぶ覚悟が必要だったと思うんですが、それでももう1回トップレベルでやりたいという強い意志で入ってきたので、遠慮することさえなくなれば僕の立場も危ないと思います。

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