「“相棒”のためにも……」、田渡凌が12アシストの活躍…35分間コートに立ちチームを今季初勝利へ

横浜は生原が負傷退場となったが、田渡を中心に初勝利を手にした[写真]=B.LEAGUE

 最終スコア75-60。横浜ビー・コルセアーズは10月11日のホーム開幕戦で今シーズン初勝利を飾った。

 横浜文化体育館で行われたこの試合は、前半を終えて6点ビハインド。しかし、ハーフタイムにトーマス・ウィスマンヘッドコーチが「自分に負けるな」と発破をかけると、これに選手たちが奮起。後半は今季のテーマでもある「ディフェンス」の強度を上げて、秋田ノーザンハピネッツを23得点に抑えこんだ。

 第3クォーターでは26-15とオフェンスも好調だった。この10分間で輝きを放ったのは、キャプテンの田渡凌。序盤から橋本尚明の連続3ポイントをお膳立てし、開始2分11秒には自らもこの日最初の3ポイントを沈めるなど、同クォーターだけで7得点6アシストを挙げてチームを引っ張った。

 田渡は試合をとおして約35分間コートに立ち、9得点12アシストの活躍。「田渡が35分のプレータイムという中、すごくがんばってくれたことに感謝している」。指揮官もチームの司令塔の活躍をそう称えたが、田渡には計40分という試合時間の中で、35分間も出場せざるを得ない理由があった。もう1人のポイントガードとしてベンチ入りした生原秀将が、第1クォーターで鼻を負傷するアクシデントに見舞われたのである。

 横浜には田渡、生原に加えハンター・コートがポイントガードを本職としているが、ハンターはこの日ベンチ外。ほぼ出ずっぱりの状況が続いた田渡は第3クォーター終盤、ついに足にきて左足をつってしまった。一時はベンチへと下がるも、最終クォーター開始1分には再びコートに立った田渡。「周りの4人がディフェンスをやってくれました」と、仲間にも助けられながら最後の力を振り絞った。

「僕は生原と一番を話していて、普段から『このチームを変えていこう』という話をたくさんしています。一番信頼している“相棒”だと思っているので、あいつのためにもがんばらなきゃいけないという気持ちでやりました」

 チームのため、ブースターのため、そして相棒・生原のためにも懸命にプレーしたキャプテンは、試合後のヒーローインタビューでマイクを向けられた。この日の田渡には、この場を借りて報告しなければならないことがあった。

「皆さんご存知のとおり、僕は『テラスハウス』に住み始めました。開幕2連敗して、ふざけんなよと思った人たちもたくさんいると思います。でも、(テラスハウスに)出ているからこそこれから勝たなきゃいけないチームにならないといけないです。僕たちは、7月から今までよりはるかにハードな練習をしてきました。今日の勝ちを糧に、これからもっと成長していけるようにがんばります。そのためにはブースターの皆さんの応援が必要です。ピンチになった時はいっぱい助けてください。よろしくお願いします」

 8日にチームからNetflixの人気番組『テラスハウス』への出演が正式発表された26歳は、いつも以上に注目を浴びた一戦で結果を残した。この日、応援にも駆けつけていたというルームメートからも新たな刺激を受け、これから田渡は公私ともに調子を上げてくることだろう。

文=小沼克年

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