『発掘! Bリーグ女子』〜私がバスケを好きなワケ〜 第8回 岸田彩加さんの場合

連載第8回目はレバンガブースターの岸田さん[写真]=Basketball King

2016年からBリーグを取材していて気づいたことがある。開幕から4シーズンが経ち、試合会場に若い女性ファンが増えたことだ。声を上げて応援する人、2階席でお酒やアリーナグルメを満喫しながら観戦する人、いい写真を撮ろうとカメラ片手に選手を追いかける人……。楽しみ方は様々だが、彼女たちはどのようなきっかけでBリーグを知り、いつから観戦に訪れているのか。そんな彼女たちを、『Bリーグ女子』と銘打ち、話を聞くことにした。

■Bリーグ女子とは——。2016年に開幕した男子のプロバスケットボールリーグ『Bリーグ』の女性ファンを意味する語。ファン歴問わずBリーグ全体、または特定の所属チームが好きな女性を指す。略してB女(ビージョ)とも呼ぶ。

連載第8回目は岸田彩加さん。現在フリーアナウンサーとして活躍する彼女は、元レラカムイ北海道(レバンガ北海道の前身)のチアリーダーとして活動していた経歴の持ち主だ。当時は「バスケに興味がなかった」岸田さんだが、今となっては最高の息抜きとしてBリーグ観戦を楽しむようになったという。今回はレバンガブースターの岸田さんに、Bリーグにのめり込んでいった理由や大好きなレバンガ北海道について話をうかがった。

インタビュー・写真・文=小沼克年

北海道出身、大学時代はチームのチアリーダーを経験

――岸田さんはいつからレバンガブースターですか?
岸田 私、元々バスケには興味がありませんでした。だけど、前身のレラカムイ北海道が発足した時にチアリーダーの募集があって、そのオーディションを受けたら運良く受かったんです。

――最初はファン・ブースターという感じではなかった?
岸田 そうです。大学時代はレラカムイのチアリーダーとして活動していました。当時はバスケが好きだからではなくて、ただ会場で踊って目立ちたいからという感じでしたね。

――当時の試合の様子などは覚えていたりしますか?
岸田 レラカムイが発足した1年目はすごく盛り上がっていたのを覚えています。北海道にプロチームができること自体すごいことだったので、私たちチアも地元のテレビに出たりしましたね。その当時は「選手とチアの恋愛禁止」とか言われてました(笑)。

――そうなんですね(笑)。
岸田 選手に直接お会いする機会は全然なかったんですけど(笑)、チア時代に1回だけイベント会場ですれ違った選手が折茂(武彦)さんと桜井(良太)さんなんですよ。その時は軽く挨拶したくらいですけど、あれから何年も経った今でも同じチームでプレーしているのは、改めてすごいなって思います。

――ブースターとして観戦に行くようになったのはいつからですか?
岸田 本格的に行くようになったのはBリーグが開幕してからです。その頃には私は東京に住み始めていたので、レバンガの試合が都内である時に観に行ったりしていました。チアをやっていたので開幕する前も応援はしていましたけど、そこまで本格的という感じではなかったですね。

――試合観戦するようになったきっかけは何だったんですか?
岸田 同じ北海道出身の友人と「レバンガの試合を観に行こう」ってなったのがきっかけだったと思います。それで行き始めたらハマってしまいました(笑)。仕事が忙しい時は月2回くらいしか観に行けないですけど、多い時は週3とかで行きますね。あと、1シーズンに1回はレバンガのホームゲームを観に北海道まで帰ります。

Bリーグ開幕から本格的に観戦に行くようになった岸田さんだが、レラカムイ時代からチームを応援し続けている[写真]=Basketball King

――いつも同じ友人と行くことが多いですか?
岸田 私は結構バラバラですね。バスケ好きの道産子仲間とか、最近だと以前Bリーグ女子に出ていた渚紗ちゃんと仲良くなったので一緒に行きましたよ。

――そんな風にBリーグ女子同士が仲良くなってくれると嬉しいです(笑)。
岸田 今度、Bリーグ女子を集めて『Bリーグ女子座談会』みたいな企画やってほしいです! 渚紗ちゃんの影響で川崎(ブレイブサンダース)の試合も行くようになりましたし、私は周りに「バスケが好き」って公言しているので「一度観に行ってみたいな」という友人もいます。そう言ってくれた人は絶対に連れて行って、“普及活動”してます(笑)。実際、「とても楽しかった」って言ってくれる人が多いのですごく嬉しいです。

――レバンガの中で推しメンはいますか?
岸田 難しいですねー。みんな好きですが、折茂さんと桜井さん、野口(大介)さんの3人はレラカムイができた頃からチームを支えてくれていたのですごく好きです。野口さんはサンロッカーズ渋谷に移籍しちゃったので寂しい気持ちもありますが、レバンガの次にSR渋谷が好きなのでこれからも応援します。

――今おっしゃったベテラン組以外でお気に入りの選手はいますか?
岸田 最近は橋本竜馬さんが好きですね。何が好きかと言うと、竜馬さんはベンチにいても立って声を出してチームを鼓舞してるところが好きです。今年のBリーグオールスターで桜井さんがSNS投票で票をたくさん取れたのも、竜馬さんが「桜井さんに投票しよう」って言ってくれたおかげという話も聞いて、「もうステキ!」って思いました。

――今年の「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2020 IN HOKKAIDO」は現地観戦したそうですね。
岸田 そうなんです! 開催地が北海道に決まった瞬間に「絶対行く!」って決めました。

――Bリーグオールスターを観戦したのは初めてでしたか?
岸田 1回目の代々木第一体育館の時は観に行きました。2年目はアナウンサーとしてニュース番組の担当をしていたので、ディレクターさんに頼んでバブリックビューイングの取材に行かせてもらったんです。

――恵比寿ガーデンプレイスで開催されたイベントですよね?
岸田 そうですそうです。その時はベンドラメ礼生選手(SR渋谷)にインタビューしました。「来年は出場したいですか?」って聞いたら「出たいです」って答えてくれて。そしたら本当に次のオールスターに出たので嬉しかったですね。その3年目の富山でのオールスターは個人的に都内のパブリックビューイングに行きました。折茂さんがゲストで来ていましたね。

――今年のオールスターで一番印象に残っていることを教えてください。
岸田 いや、もう私の地元の北海道であの錚々たるメンバーが集まってることが神すぎて!! それだけでテンション上がりましたよ。でもやっぱり折茂さんがMVPを受賞して胴上げされたところが一番印象に残ってますかねー。

崖っぷちから結果を出すのが“レバンガらしさ”

――今回は“折茂さんのオールスター”でもありましたからね。レバンガブースターとして、今シーズンのレバンガの戦いぶりはいかがですか?
岸田 まぁいつも通り(笑)。これは私の勝手な意見なんですけど、レバンガは強くなくてもいいと思っていて……。

――どういうことでしょうか……?
岸田 何て言えばいいだろう? もちろんたくさん勝ってほしいですけど、一生懸命戦ってたまに勝つ、というのが個人的に好きなんですよ。レバンガが連勝、連勝でどんどん勝っていったら「ちょっと違うな」って思っちゃいますね。 あんまり応援しなくなるかも(笑)。

――ちなみに、今までで印象に残っている試合はありますか?
岸田 昨シーズンの残留プレーオフです。

――横浜ビー・コルセアーズと対戦した試合ですね。
岸田 あの時は2日間試合がありましたけど、私は初日しか行けなかったんですよ。その1日目に負けてしまって「もうダメだ」と思いましたけど、2日目に連勝して残留を決めたじゃないですか。そういうギリギリのところで結果を出すのが“レバンガらしい”って思うんですよね。レラカムイが存続の危機に陥った時も、折茂さんが動いてくれてレバンガ北海道を作ってくれましたし。

――昔からチームを応援しているからこそ、そういう想いがあるんですね。試合観戦を続けているうちに詳しくなったことなどはありますか?
岸田 今でも詳しいルールは分からないですけど、最近ピック&ロールを覚えたんですよ。それを試合中に見つけられると嬉しくなります。「あっ、ピック&ロールだ!」って(笑)。あとは田中大貴選手(アルバルク東京)とかが後ろに下がりながら打つシュートも最近覚えました。何でしたっけ?

――フェイダウェイシュートですか?
岸田 そうです! 最初はただかっこつけてるだけだと思ってましたけど、あれは相手のブロックを避けるためなんですね(笑)。

――そうです(笑)。しっかりとした理由があります。Bリーグ観戦での今後の目標を教えてください。
岸田 最近はBリーグのマスコット人形集めがマイブームなので、できる限り限り集めたいです。それぞれのホーム会場で買うことを個人的なルールにしているのでまだ4つですが、これから色んな会場に足を運びたいと思っています。この前川崎で『ロウル』をゲットしたので、次は『ブレッキー』(宇都宮ブレックスのマスコット)が欲しいです。

最近のマイブームだというマスコット人形集めは現在4つ[写真]=本人提供

――完全制覇目指して頑張ってください。現在レバンガは13勝26敗で東地区最下位、全体では残留プレーオフ出場ラインを争っている状況です。残り試合ではどんな戦いぶりを見せてほしいですか?
岸田 また残留プレーオフに出て、最後に勝ってもらいたいです(笑)。というのは冗談にしても、今シーズンのレバンガは折茂さんも松島(良豪)さんも引退してしまうので、ある意味“区切りのシーズン”じゃないですか。だから残留プレーオフに出ないのが一番ですけど、どんな形でもチームの歴史に残るような、ドラマチックな終わり方を期待しています。

――最後に大好きなレバンガ北海道へメッセージをお願いします。
岸田 今シーズンも苦しい状況が続いていますけど、天皇杯ではファイナルラウンドに進出したり、Bリーグになってから一度も勝てていなかった千葉ジェッツに初勝利したり、これまでのシーズンとは違った進化が見られて嬉しいです。残りのシーズンも、レバンガらしく魅力的な試合をたくさん見せてほしいです! レバンガブースターは絶対に離れません!!

これからも東京からレバンガを応援し続ける[写真]=Basketball King

モバイルバージョンを終了