リーグ再開を待ちわびるファン・ブースターのために、B1リーグ18クラブの現状をチェックする企画がスタート! “Bリーグ・ロス”の皆さんがお気に入りのクラブの現状を把握して、今後の展望をイメージしてもらえれば幸甚だ。第13回はシーホース三河。古豪の意地を結果に結びつけられるか。
文=吉川哲彦
中地区の2位争いは混とん
川崎ブレイブサンダースが独走する中、チャンピオンシップ進出をめぐって2位争いが混戦の様相を呈している中地区。勝率の上では各チーム苦戦が続いているが、わずかに抜け出したのがシーホース三河だ。
今季はダバンテ・ガードナーや川村卓也といったオフェンスマシーンを獲得。選手個々の得点力では群を抜く布陣となり、CS進出を逃した昨季からの復活が期待された。ところが、幕を開けてみると大量失点する試合が続き、11月までの16試合で4勝12敗、地区5位と予想外に星が伸びなかった。この時点で1試合平均得点は83.6点とリーグトップクラスだったが、同失点は85.7点でリーグワーストと、問題は明らかにディフェンス面にあった。12月も最初の6試合が1勝5敗で勝率はさらに下がったが、その後は接戦を次々に制して9連勝と急上昇。しかし、2月は2勝4敗と再び負けが込んで今に至っている。
現在は1試合平均得点が82.0点でリーグ上位をキープしているが、同失点も82.9点でいまだワースト。金丸晃輔も含めたスコアラーの個の力で押しきっている印象は否めず、ガードナー以外の外国籍選手も不安定だった。開幕時のロスターに入っていたクリス・オトゥーレとミッケル・グラッドネスはすでにチームを去り、代わって入ったセドリック・シモンズも中断期間中にインジュアリーリストに登録されている。
ディフェンス強化に貴美一HCの一手は?
天皇杯ファイナルラウンド直前に獲得したクリス・ジョンソンと、中断期間中に契約したダニエル・ジョンソンの働きがカギになることは論を待たないが、いずれにしてもディフェンス面にはまだ一抹の不安が残る。ディフェンス能力に長けた選手は主力の中にはおらず、鈴木貴美一ヘッドコーチが封印してきたゾーンディフェンスを試したようにチームディフェンスの強化に取り組むのか、あるいは打撃戦に勝機を見出す戦略を継続するのかによって今後の見通しも変わってくるだろう。一時期出場時間を伸ばした森川正明や加藤寿一、逆にこのところ出場時間が削られている岡田侑大の起用法にも注目したいところだ。
星1つの差で富山グラウジーズが背後に迫り、昨季の成績を考えると新潟アルビレックスBBが浮上してくる可能性もある。現時点での17勝22敗という星取りが、他地区の2位に比べて物足りないことは確か。堂々とCSに進むためには、再び連勝街道に乗って勝率を引き上げ、富山と新潟を突き放さなければならない。古豪としての意地を結果に結びつけることはできるか。