2020.03.15
リーグ再開を待ちわびるファン・ブースターのために、B1リーグ18クラブの現状をチェックする企画がスタート! “Bリーグ・ロス”の皆さんがお気に入りのクラブの現状を把握して、今後の展望をイメージしてもらえれば幸甚だ。第11回はサンロッカーズ渋谷。天皇杯王者のリーグ終盤戦を占う。
文=吉川哲彦
今季は、2シーズン連続準優勝の千葉ジェッツ連破を皮切りに5連勝の好スタート。10月と11月はいずれも6勝2敗の好成績で、この時点では宇都宮ブレックスやアルバルク東京と並び立っていた。12月に4連敗を喫してスローダウンしたかと思われたが、年明けの天皇杯ファイナルラウンドでは破竹の勢いで5年ぶりの優勝。出遅れていた千葉が本調子を取り戻したことで、リーグ戦の順位は地区4位まで後退してしまったが、リーグ全体では5番目の勝率を残しており、地区内でもまだ2位以内に入る可能性は残されている。
ディフェンスの強度を維持する目的で伊佐勉ヘッドコーチが採用するタイムシェア戦略は広く知られているが、実は1試合平均失点はリーグで6番目に多い。好調を支えているのは、1試合平均得点がリーグトップというオフェンスだ。スペイン代表のセバスチャン・サイズやチャールズ・ジャクソンのインサイドアタックも強烈だが、最大の武器になっているのは3ポイント。シューターの石井講祐と田渡修人がケガで一時戦列を離れていたにもかかわらず、試投数は滋賀レイクスターズに次いでリーグ2位、成功数も川崎ブレイブサンダースに次ぐ数字だ。そして、ベンドラメ礼生にリーダーの自覚が生まれたことが何よりも大きい。
約2カ月にわたって欠場していた田渡がリーグ戦中断直前に戦列復帰し、昨季も特別指定選手として旋風を巻き起こしながら途中で大学の活動に戻らなければならなかった盛實海翔は、今季は大学卒業によってシーズンをまっとうできる。過去には相次ぐ故障者に悩まされることも少なくなかったSR渋谷にとって、すべてのピースがそろった今は千載一遇のチャンス。タイムシェアをより徹底することで、まずは離脱者を未然に防ぐことができれば、その先の展望も開けるに違いない。
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