2021年Bリーグ最初のゲームは最後の最後に大きなドラマが待っていた。
アリーナ立川立飛で行われたアルバルク東京と大阪エヴェッサの一戦。A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「千葉(ジェッツ)や宇都宮(ブレックス)に勝っているチーム。油断はできない」と試合に臨んでいた。
その心配は現実のものとなる。大阪はギャレット・スタツ、ジョシュ・ハレルソンのセンター陣だけでなく、ディージェイ・ニュービル、中村浩陸のゲームメイク、そして橋本拓哉の得点力でゲームを支配。A東京は2点差、4点差まで大阪を追い込むが、そこからまたA東京を引き離す力を大阪は秘めていた。
第4クォーター残り3分25秒、ニュービルがフリースローを2本決めると大阪は12点ものリードを奪い、そのまま勝利するものと思われた。
しかし、ここからドラマが待っていた。A東京は小島元基の3ポイントシュートで息を吹き返すと、デション・トーマスの速攻がバスカンとなる。さらにアレックス・カークのダンク、そして田中大貴が1対1の局面からジャンプシュートと3ポイントを立て続けに決め、ついに79-79と大阪に追いついた。
直後の大阪のオフェンスはニューエルの3ポイントシュートが外れる。リバウンドを獲得したA東京はトーマスが放った3ポイントシュートがリングをたたいたものの、それをカークがつないでボールは田中大貴に渡った。
「第4クォーターはビハインドを背負っていたので、積極的にシュートを打とうと決めていました」と試合後語った田中だが、この場面では「最後も自分が、と思っていましたが、ハレルソンがプレッシャーをかけてきてシュートが打てなかった。なので、小酒部に最後を託しました」。
この試合、「あまり調子が良くなかった」と小酒部は自身を評価していたが、「いつでもパスが来てもいいように準備をしていました」とその場面を振り返る。そして「前が見えなかった」と放ったシュートは中村のファウルを受けながらリングを通過。その後のフリースローも決め、勝利を決定づけた。
新年最初の試合でヒーローになった小酒部だが、自信の出来には不満足だったという。「あのシュートを決めきりましたけど、それまではピックがうまく使えなかったり、ミスもありました。まだまだ足りないところは多いです」と反省のコメントを忘れなかった。
それでもA東京はチャンピオンシップ進出には苦しい状況にあることに変わりはない。しかし、シーズンが終わった時、小酒部が新春1試合目に果たした大仕事が大反攻のきっかけとなったと振り返っているかもしれない。
【A東京vs大阪】
試合終了#アルバルク東京 83-79 #大阪エヴェッサ第4クォーターもチーム全員で9点のビハインドを追いかける。残り3分を切り12点離されていたが、ここから#24 田中の連続得点などで同点に追いつき、残り1秒#75 小酒部の4点プレーで大逆転勝利を掴む。#ReCHALLENGE #Bリーグ pic.twitter.com/marK7wnrqJ
— アルバルク東京【ALVARKTOKYO】 (@ALVARK_TOKYO) January 2, 2021
文=入江美紀雄