2021.02.08
第9節(11月14日、15日)以来の2連勝を飾った王者。その中心にいた安藤誓哉を見ると、開幕戦で「ブレずにプラスのオーラを放ちたい」と、コロナ禍のシーズンにキャプテンとしてどうありたいか話していたことを思い出した。彼の活躍がまさにその言葉通りだったからだ。
アルバルク東京が12月26日、27日に開催された第15節、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で、バイウィーク明け初の2連勝を飾った。今節を迎えるまで12月は2勝6敗と苦しんでいた中、西地区で好調をキープしていた相手に、第1戦では延長戦の末に102‐99で競り勝ち、第2戦では序盤から主導権を握って90‐78で撃破。ファンの前で、これまでの不安を一掃するような戦いぶりを見せた。
結果次第では勝率5割を切る危機的な状況で、彼らは気迫に満ちたプレーで流れを呼び込んだ。特に司令塔・安藤誓哉の存在感は際立ち、両日ともに17得点をマーク。第1戦では第4クォーター残り6秒で後輩・齋藤拓実との1on1から一時は勝ち越しとなる3ポイントを決め、延長戦でもレオ・ラインズの上から3ポイントをねじ込んで勝利を引き寄せた。そして第2戦でも前半だけで13得点を挙げ、守備でも相手のオフェンスファウルを誘うなど、攻防両面で活躍が光った。試合後に「いつもより少し冷静さを欠いてでも、躍動感を出していくことがチームに勢いをもたらすということを感じました」と、安藤は振り返る。そのプレーの数々は、「何が何でも勝つ」というメッセージを多いに感じさせてくれるものだった。
またルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチも勝負の一戦を終えて、彼の活躍を称賛した。第1戦を終えた際には第4クォーター残り6秒のショットについて「すべてを誓哉に託しました。トップの位置で誓哉がプレーする。本当にビックショットを決めたと思います」と話し、第2戦では次のように語った。
「昨日のパフォーマンスレベルは素晴らしいものでした。これを2日間、連続してすることはひとつチャレンジングでしたけど、今日も昨日と同じようなエネルギーレベルを見せてくれました。ディフェンスもそうですし、オフェンスもしっかり決めるところで決める、組み立てるところは組み立てる、チームを引っ張ってくれました。2日間ともに素晴らしく、チームの勝利に貢献したと思います」
「そんな中でも絶対に(チームが)良くなってきています」
王者は今、キャプテンの躍動が示すように、「何が何でも勝つ」姿勢を示し、ようやくチームは上向きつつある。確かな手ごたえには届いていないものの、2020年最後の試合は、年明けからの反抗を大いに期待させるものになった。
文=大橋裕之
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