2020.12.29

【井口基史のスカウティングレポート】やっぱり気になるクラブのお金について

2019-20シーズン「トップチーム⼈件費ランキング」で1位になったアルバルク東京 [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールコメンテーター

12月はレギュラーシーズン10試合に加え、天皇杯2次ラウンドを戦うチームでは最大11試合を戦う非常にタフな1カ月でした。選手、スタッフ、ファン・ブースターの皆さん、本当にお疲れ様です! 今回は11月30日に発表のあった「2019-20シーズン(2019年度)のクラブ決算概要」についてリポートしたいと思います。NBAでもチームのお金にまつわるテーマはビッグトピック! マイチームとリーグの仲間の現在地を知っておきましょう。

文=井口基文

トップチーム人件費は2極化ではなく3極化か

・トップチーム人件費にはコーチングスタッフも含まれています
・決算月が違うため、ボーナス・インセンティブなどが加味されていないケースが推測されます
・昨シーズンはシーズン中止により、インセンティブが含まれていない可能性があります
・分かりやすく表現するため切捨てしています


 クラブ決算概要は様々な現状が見て取れる数字がありますが、そのなかでも選手・スタッフの人件費を示す、トップチーム人件費にフォーカスしてみましょう。

 前提条件が多い比較なので、まずは前提条件をチェックしてください。昨シーズンのトップチーム人件費と現在の順位を見比べる事は賛否があるかもしれないですが、同規模予算で運営されているだろうと仮定すると、トップチーム運営が「3億円以下のグループ」「3~6億円以下のグループ」「6億円以上のグループ」と3つに分かれているとみれそうです。

「6億円以上のグループ」で11位以下に位置しているチームはなく、人件費が順位に大きな影響があることは見て取れます。逆に「3億円以下のグループ」で10位以内に入っているのは富山のみと、限られた予算で上位チームと渡り合っているのが分かります。

 B1下位チームやB2チームにとっては、勇気を与える戦いぶりだといえると思います。1カ月平均を出して、12カ月を計算し直し、決算月の違いをなくす比較もしてみましたが、推測が多すぎるのでやめておきました!!

結果を出したチーム

 またプロリーグであるがゆえ、結果を出した選手達が評価され、人件費が上がっていくことは自然なことで、歓迎すべき点でもあります。限定的な予算で勝つことだけを評価するべきではないことも忘れてはいけないですね。4億円以上のトップチーム人件費のチームには、リーグや天皇杯制覇と、これまで結果を出したチームがおり、必然的に人件費が上がっていったというか、むしろつかみ取った数字ともいえると思います。またチームスタッフ数に差がありつつも、リーグ登録10~13名+特別指定選手最大2名という事を考えると、昨年盛り上がった1億円プレイヤー誕生のニュースについで、すでに1億円プレイヤーが富樫選手一人ではない可能性もうかがい知れるかもしれません。トップチーム人件費が高いチームでは、求められる結果や貢献などで高いプレッシャーとの戦いも想像できますね。

【B.LEAGUE 2019-20シーズン(2019年度)クラブ決算概要発表のお知らせ】
https://www.bleague.jp/news_detail/id=85423

・昨シーズンはシーズン中止により、CS興行収入、賞金が含まれていない可能性があります
・分かりやすく表現するため切捨てしています

2024年までに12億円以上(予定)

 Bリーグの中長期計画「BEYOND2020」で示された、2024年3月までにB1で12億円、B2で4億円という売上高目標がありますが、12億円を突破しているのはA東京、三河、千葉、大阪、宇都宮の5クラブと、2019-20時点ではまだB1の半分に満たない状況のようです。プレミアリーグという言葉が島田慎二チェアマンから示されていますが、そこに滑り込めそうなクラブが、現時点ではどこなのか、想像してしまいますね。新型コロナにより社会環境が変化していることを注視しながら、マイチームが現在どの状況にいるのかも確かめながらシーズンを過ごしたいですね。

【2020年7月1日 B.LEAGUE中長期計画に関する発表】
https://www.bleague.jp/news_detail/id=63959

 12月はインカレ、ウインターカップ、天皇皇后杯とバスケ盛りだくさんの1カ月でした。1月にはオールスターも控えています。新しい年も、バスケをみんなで盛り上げる1年にしましょう! 連載企画の「勝手にオレ愛」も正月休み中にチェックをよろしくお願いいたします!!

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