海賊たちにとって幸先の良い船出となった。2021年の初戦に集まった2021人の前で、選手たちが攻守にかみ合ったプレーを見せ、注目の特別指定選手も堂々のホームデビューを飾ったからだ。
横浜ビー・コルセアーズは1月2日に滋賀レイクスターズを83-78で破った。そして先月26日の島根戦で2度目のBリーグ挑戦が始まった河村勇輝も初めて本拠地となる横浜国際プールでプレーし、シックスマンとして22分間の出場で新年初勝利に大きく貢献。とりわけ3クウォーター中盤で得点が止まった局面において、残り2分57秒のタイムアウト以降、ベンチの指示を確実に遂行し、パトリック・アウダと息のあったピック&ロールなどで連続得点を演出し、流れを引き戻した姿は印象的だった。
この日、河村は3本放ったフィールドゴールは外れたものの、ターンオーバーは3試合目にして「0」を記録し、アシストはチーム最多の「7」をマークしている。記者会見でノーミスで終えたことについては「ポイントガードとして当たり前のことです」と振り返り「もっとレベル高くやっていかないといけない」とコメントしたが、自分の調子を踏まえて的確なプレーができたことはポジティブにとらえていた。
「シュートのタイミングは悪くなかったです。シュートの良し悪しは日によって変わってくることがあるので、今日は悪いシュートではなかったと思います。その中で自分の中でいろいろと考えてアシストを多めにしました。無理にシュートを打たないで、アシストで(ゲームに)アジャストできたことは“合格点”ではないかと思います」
彼のパフォーマンスを見ていると、5、6回のチーム練習とわずかな公式戦ではあるが、ビーコルになじんできていることを感じさせた。もちろん、まだ手探りな段階であり、カイル・ミリングヘッドコーチは「彼もチームメイトともっとどうやったら上手くプレーできるのか模索している」と明かすが、河村の加入は良い影響を海賊たちに与えている。
「そんな中で彼にはたくさんの伸びしろがあります。上手くなりたいという気持ちが強い選手ですので、本当にチームとしても良くなっています。また彼自身もレベルアップして、チームに合流していく中で、試合に勝っていければと思っています。それがチームとしても一番大事なことです」
またキャプテンの生原秀将も彼がチームに貢献できていることについて「昨シーズン、彼は十数試合をプレーした経験を持っているので、今シーズンも自然と(チームに)入れたのではないかと思います」と語った。そして生原自身、同じポジションに実力のある後輩が入ってきたことで「すごく刺激になります」と話して、こう続けた。
「なかなか、あれほどスピードのある選手はこのリーグでもいません。自分たちにとって武器になります。僕は1番も2番も同じぐらい(のレベルで)プレーできるので、彼と一緒にプレーすることで、(例えば彼が1番で)僕が2番でプレーできれば、また違うテンポや、スタイルでバスケットが見せられると思います」
横浜は11月までは3勝に終わったが、バイウィークで練習を積めたことが奏功し、この日の勝利によって12月以降は11戦で6勝を挙げた。生原も「1月一発目の試合を勝てたことは非常に自分たちにとって自信になります」と手ごたえを感じつつある。今後、河村がより一層フィットし、2ガードが機能すれば、チームの追い風になることは間違いない。
それだけに、今日の第2戦はモノにしたいところだ。同一カード2連戦の初戦で勝っても翌日の試合を勝ち切れないことが多い。戦う気持ちを新たに、期待の司令塔が加わった海賊たちがひと皮向けることができるのか、注目だ。
文=大橋裕之