2020.12.25

「小さくてもやれる」をウインターカップで証明した木下岳人…スピードを武器にさらなる飛躍を

開志国際戦では24得点10アシストをマークした延岡学園の木下岳人[写真]=日本バスケットボール協会
フリーライター

「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」2回戦に登場した宮崎県代表の延岡学園高校は、開志国際高校(新潟)の前に30点差をつけられて敗戦した。2回戦ではあったものの、延岡学園にとってはこれが今大会最初の試合。1回戦で戦うはずだった船橋市立船橋高校(千葉)が、無念にも新型コロナウイルス感染症の影響で欠場となってしまったからだ。

 木下岳人(3年)は、前日に会場でチーム練習を行ったものの、「いざ試合となるとみんな固くなってしまって、この雰囲気に対応できなかったです」と悔やんだ。その影響もあり、立ち上がりから失点を重ねた延岡学園。第1クォーターで19−41、第2クォーターでは18−33と前半だけで大量ビハインドを背負ってしまった。それでも、後半に入ると持ち味のアップテンポなバスケットを披露。点差を覆すまでにはいかなかったものの、最終スコア90−120というハイスコアゲームを演じた。

 その中心にいたのがゲームキャプテンを務める168センチのポイントガードだ。木下はマイボールになるとスピードに乗ったドリブルで相手を置き去りにし、そのままリングへアタック。205センチのオコエ・ピーター・ジュニア(3年)をダブルクラッチでかわすなど、自らの得点を伸ばしてチームを鼓舞し続けた。

「最後の大会なので、点差に関係なく楽しくバスケットをやろうと先生(楠元龍水コーチ)からも言われていましたし、プレーでもゲームキャプテンとして最後まで引っ張ろうと思っていました」と、計24得点10アシストをマークした木下。1試合で今回のウインターカップを終えることになってしまったが、最大の強みであるスピードは全国の舞台でも十分に通用した。

「全国でも自分のスピードは武器になると思って日頃の練習から取り組んでいました。負けていても最後までスピードは通用したので、今後に生かしていきたいと思います」

木下岳人はスピードを武器に開志国際を翻弄した[写真]=日本バスケットボール協会

 昨年のベスト8という成績は超えられなかった。その悔しさは「また全国の舞台に戻ってきてほしい」と後輩たちへ託した。木下は「これからも今の日本の正ガードである富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)や東海大学の河村勇輝選手のように、小さい選手でもやれるということをもっと上のレベルでも証明していきたいです」と、次のステージでの飛躍を誓う。

「びっくりしましたね。ハンドリングも上手いですし、ドライブもアウトサイドのシュートもあって。こっちも彼のスピードについていくのに必死でした。小さい選手ですけども、次のステージへ行っても頑張ってもらいたいです」

 木下の実力を評価し、そうエールを送ったのは高校生活最後の相手となった開志国際の指揮官。それは奇しくも、木下が憧れる富樫勇樹の父・英樹コーチだ。

文=小沼克年

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