2021.01.13
「やっていて本当に楽しいチームでした。米須(玲音)のパスであったり、中川(泰志)のランニングプレーだったり、ジャンピ(ムトンボ・ジャン・ピエール)とのピックのプレーなど、私の理想としたバスケットをやってくれて。大会中、私自身も楽しくて、もっともっと試合をしたいと思いましたし、逆にもう(一緒に)できなくなるんだなという寂しさがありました」
今年のチームについての感想を語ったのは、「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」で男子準優勝となった東山高校(京都府)の大澤徹也コーチ。
東山は、司令塔の米須(3年)、米須同様に1年生の頃から主力を担ってきた中川(3年)、インサイドの柱であるピエール(3年)の3人が軸。ガード、フォワード、センターのラインがしっかりしており、そこに今大会では外角シュートで冴えを見せた西部秀馬(2年)らが絡む。バランスの取れた布陣でキャリアもある選手がそろうため、「勝負の年」(大澤コーチ)でもあった。
ウインターカップの京都府予選で洛南に敗れ、メンタルとオフェンスのスペーシングや脚力の強化を図って臨んだ今大会では1回戦から登場。3回戦では前回大会準優勝の福岡大学附属大濠高校(福岡県)を相手に出だしから圧倒し、94-65で大勝。続く準々決勝では報徳学園(兵庫県)に第3クォーター終了時で2点ビハインドとなったものの、第4クォーターに逆転勝ちを収めた。準決勝では府予選のリベンジとなる洛南を倒しての決勝進出。決勝こそ大接戦の末に敗れたが、ウインターカップでは2回目の準優勝を飾った。激戦ブロックを勝ち抜いての銀メダルは、その強さを証明したといえるだろう。
その東山だが、大会を通して印象的だったのが、選手たちの表情。実に楽しそうにバスケットをしていたのだ。
これについて指揮を執る大澤コーチは、準決勝進出後にこのように語ってくれた。
「テーマは“楽しむ”なんです。選手もいい顔をしてやっているし、私自身も楽しいです。本当に幸せな時間です」
決勝後の会見では「(決勝戦の)最後に2点を決められたのは、選手たちの責任ではなく、私のベンチワークの差というのを痛感しています。選手たちはこういった状況の中、希望をくれたというか、チームプレーで一生懸命取り組んでくれたので、(優勝まで)一歩届かなかったのは私の責任だと思っています」と語った大澤コーチ。
僅かに及ばなかった“初”の日本一。それでも笑顔を絶やさず、東山は総合力で6試合を戦い抜いた。
決勝戦終了直後は悔し涙に明け暮れた米須も、表彰式後にはメディアの前で毅然とした表情で大会の感想を語った。
「チーム一丸となり、最後の決勝の舞台まで、しっかり楽しんでプレーすることができました」
文=田島早苗
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