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12月23日に開幕した「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は、残すところあと1試合。東山高校(京都府)と仙台大学附属明成高校(ブロック推薦/宮城県)による男子決勝戦のみとなった。
東山は、山場と目されていた3回戦の福岡大学附属大濠高校(福岡県)戦では94-65と相手を一蹴。続く報徳学園高校(兵庫県)との準々決勝も18点差で快勝し、28日の準決勝でも京都府予選決勝リーグで敗れた洛南高校(ブロック推薦/京都府)を87-67で下して決勝まで上り詰めた。
京都府内のライバル対決となった洛南戦は、相手エースの小川敦也(3年)が前日の正智深谷高校(埼玉県)戦で負傷してしまい、準決勝に出場することはできなかった。東山・大澤徹也コーチは「複雑さもありました」と話しながらも、「でも、子どもたちはこの大会が開催できていることに感謝しながら戦えていますし、決勝戦の挑戦権は譲れなかったのでそこはしっかりやってくれました」と続けた。
ここまでの東山は米須玲音、中川泰志、ムトンボ・ジャン・ピエールの3年生トリオを軸に、西部秀馬、堀陽稀らの2年生たちも伸び伸びとしたプレーを披露。コート上では常に声を掛け合い、大会前に設定した『楽しむ』というテーマを見事に体現して激戦ブロックを抜け出した。
「コロナ禍で辞退したチームもそうですし、ウインターカップに出れなかったチームの皆さんの分まで決勝の舞台でも楽しんでプレーしたい」と、米須はたくさんの方々の思いを背負い、高校生活最後の大一番に臨む。
一方の仙台大明成は、最後の最後までもつれた死闘を2試合連続で制して東山の決勝戦へ。福岡第一高校(ブロック推薦/福岡県)との準々決勝は64-61、準決勝の北陸高校(福井県)戦は60-58というロースコアゲームの中、2戦とも終了間際に放った相手の3ポイントが外れて勝利を掴み取った。
これには「幸運がまだ離れていない」と佐藤久夫コーチ。だが、試合を作るガード陣の出来の悪さが、ロースコアゲームにせざるを得ないプランになっていると指摘する。それでも、準決勝で24得点を挙げた越田大翔(3年)には「今後の成長が非常に楽しみ」、エースの自覚が芽生えている山﨑一渉(2年)には「今日はシュートが入りませんでしたけど、悪いことはしていない。いいタイミングで打てていますから私は気にしていません」と一定の評価を与えた。
3回戦で対戦するはずだった開志国際高校(新潟県)との試合が「不戦勝」となり、「途中スキップの階段があった」(佐藤コーチ)仙台大明成。指揮官は「1試合少ない分、体力は余ってるんじゃないかなと思うんです。だから明日はガッチリと走らせたいと思います」と述べ、「ガードを抑えること。センターに簡単なリバウンドを許さないこと。そして守ることよりも攻めること。明日は85点以上のゲームをしたいなと思います」と決勝への展望を語った。
新型コロナウイルスという見えない相手に大いに苦しめられた1年だった。でも、困難を乗り越え、こうして最後のコートに立てる権利を掴んだ。その喜びを噛みしめ、思う存分プレーしてほしい。
文=小沼克年