2020.12.29
東京にて12月23日から29日の期間で開催される「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。今年度はインターハイ、国体も中止となったため、ウインターカップが最初で最後の全国大会となるが、ここで注目を集める選手を紹介する。
■ウインターカップ男子注目選手(2)米須玲音(3年/東山高校/京都府)
昨年のウインターカップ準決勝は東山高校の米須玲音にとって忘れられない試合の一つと言えるだろう。2年生ながら追い求めた「全国制覇」の夢は福岡第一高校に敗れたことでついえた。試合後、米須に声をかけてきたのは対戦した福岡第一のエースガード、河村勇輝(現東海大学)。
「来年、絶対に優勝しろよ」
当初は目標として、そして最終的にはライバルとして追いかけたその選手から掛けられた言葉…。最後までその存在を超えることはできなかったが、高校バスケ界をけん引する司令塔の座のたすきは託された。
広い視野をから思いどおりにゲームをコントロールするのが米須の持ち味だ。そのプレースタイルはコート上の指揮者、コンダクターを思わせる。しかも自身でボールをプッシュするトランジションでも、じっくりパスを回して相手のディフェンスの穴をつくセットオフェンスでも自在に得点を演出する。特に1年生からコンビを組むジャンピこと、ムトンボ・ジャン・ピエール(3年)とのスクリーンからのアリウープパスは相手チームからすれば脅威以外の何物でもない。
2020年が明け、東山は新チーム結成以来京都府新人戦、そして近畿高等学校新人大会を制して順調なスタートを切った。しかし、その直後、新型コロナウイルス感染の影響でチームの活動はストップを余儀なくされた。
インターハイ予選、本戦中止の報を聞いた時も、ウインターカップ開催を信じて気持ちを切り替え、チーム作りを進めてきた。東山の近畿新人戦優勝の実績が、京都府にウインターカップの出場枠を1つ増やすことにもつながった。リーグ戦で行われた京都府予選で2勝を挙げ、出場切符を手に入れた東山だったが、そこで府内のライバル、洛南高校に敗退を喫した。
実は洛南戦の前日、ピリッとしない試合内容に大澤徹也コーチから指摘を受けていた。それが現実になったわけだが、キャプテンでもある米須は自身を含めた甘さを痛いほど実感することになったのだ。
米須は「甘さが出た試合でした。このままではウインターでも勝てない。もう一度原点に戻ってやるだけです」と、ウインターカップでの再起を誓った。
高校生最後の大会で米須はチームを初の全国制覇に導くことができるのか!? 東山入学時からまとう背番号11もこの大会で見納め。ぜひともその雄姿を目に焼き付けてほしい。
文=入江美紀雄
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