2021年の初ゲームから約3週間の中断期間を経て、B1のレギュラーシーズンが再開。その初戦、奇しくも今シーズンのハイライトになるに違いないであろうBIG GAMEがスケジューリングされた。1月23日、ブレックスアリーナ宇都宮で行われた東地区強豪同士の対戦、宇都宮ブレックスと千葉ジェッツの首位攻防戦だ。
前半は宇都宮が44−36とリードするも激しい攻防が繰り広げられ手に汗握る展開が続いたが、後半に入ると流れは一変する。第3クォーター、宇都宮が持ち味のチームディフェンスで千葉を圧倒。ディフェンスの流れの良さがオフェンスに移り、クォーターの開始から約6分間で14−2のランニングスコアを残し、点差を20点まで広げてしまった。その後も千葉を寄せ付けず、84−64のスコアで勝利を収めて宇都宮が単独首位に立った。
まさしくディフェンスの勝利。大事な一戦で自分たちの良さが40分間前面に出た形となった宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは試合後の記者会見で満足げにコメントした。
「ディフェンスでしっかりとやるべきことを継続して、千葉さんを60点台に抑えたのは良かったし、その流れをオフェンスにもつなげられました。前半の出だしに相手に走られた部分があって、後半の出だしは同じようにしないのが大切だったが、その部分も良くできたと思います」
大事な一戦で見せたチームとしての戦術遂行能力の高さ、その裏側にはリーグ戦中断期間での練習の充実度にあった。「練習が非常に重要で、相手よりも自分たちのやるべきことに集中して時間を使えました。試合と同じような強度や遂行力で選手たちは日々の練習を行なってくれています。練習が充実しているので、良い試合が実現できていると感じています」と安齋HCは断言した。
その選手たちの中でも、この日はベテランシューターの喜多川修平が15分間の出場でチームトップの15得点を挙げる大活躍。ゲーム中の重要な場面でアウトサイドシュートを確実に沈め、勝利に貢献した。「千葉さん相手にこの点数で抑えられたのは良かったし、準備してきたことがゲームに出ました。相手の攻防の切り替えの速さを抑える、リバウンドで主導権を取る、それを遂行して勝つことができたと思っています」と試合を振り返る。
安齋HCも活躍したベテランに対して「練習からかなりやるべきことを体現してくれていて、チームに良い相乗効果と危機感を与えてくれています。彼自身は苦しい時もありましたが、その期間での経験や努力を糧にして自分らしいプレーができ、乗ってきていると思います」と高く評価した。
喜多川自身は「チーム内競争も激しい中で、練習でパフォーマンスを出さないと試合には出られないと思っています。まずはディフェンスで穴にならないように練習から手を抜かずに過ごしている中で、試合での良いリズムが生まれて足が動いて、自分のイメージでシュートも放てている状況です」と自分自身に危機感を与えつつ、日々の練習から手応えを感じている様子だった。
ベテランの活躍もあり、ライバルから大きな勝利をつかみ取った宇都宮。後半戦に入り、このまま行くとチャンピオンシップへの道も徐々に見えてくるかと思うが、油断は全くない。
「まだまだチャンピオンシップというのは分からないし、今シーズンは1試合1試合どうやって戦って勝利するかにフォーカスしています。昨シーズン味わった、あと1勝のところで…という悔しさもあります。まずは目の前の試合、そして1つでも多く勝利して良いゲームをファンに見せたいです。その部分で明日の千葉戦も重要なゲームです」と安齋HCが言えば、「明日で千葉さんとのレギュラーシーズンでの戦いは終わります。チャンピオンシップに進出したら意識する相手として、この2連戦が非常に大切です。今後に向けて、明日もいい形で終わらせる事が重要だと思っています」と喜多川も答える。
前回対戦は1勝1敗。“ホームを守る”、そして目の前のライバルから、“もう1つ勝利をもぎ取る”―−自分たちのやるべきことを再度40分間、体現することが勝利への近道。さらに上を目指すためにも彼らは再度チャレンジする。
文=鳴神富一