B1第20節、富山グラウジーズと秋田ノーザンハピネッツの対戦が2月6、7の両日、富山市総合体育館で行われた。両チームは前節まで21勝11敗で並び、総得失点差によって富山が東地区4位、秋田は同5位と位置付けられての直接対決。ホームの富山が74-64、79-76と連勝を果たしている。
リバウンドで優位の富山、インサイド攻撃で制圧
第2戦を終え、富山の浜口炎ヘッドコーチは「よく我慢してくれた」と選手たちをねぎらった。この日、富山はターンオーバーを18回犯し、そのうち8回を第2クォーターに集中させるなど、前半から秋田の守備に手を焼く。秋田はカディーム・コールビーが試合開始3分足らずで2ファウルとなりベンチへ。代わってコートインしたアレックス・デイビスが攻守に活躍し、秋田が前半を40-37で終えることに貢献した。
第3クォーター、富山はリバウンドから試合を立て直す。この10分間で4試合ぶりの出場となったジュリアン・マブンガが8、ジョシュア・スミスが5を記録し、秋田のセカンドチャンスの芽を摘んでいる。58-58からスタートした第4クォーターは、富山がわずかなリードを維持したまま推移していく。残り2分9秒、秋田はハビエル・カーターの3ポイントシュートで同点とした。
富山はあわてず、2戦を通しての基本戦術であるインサイド攻撃を貫き、勝負を決めている。オフェンスリバウンド確保から宇都直輝のシュートで勝ち越し、スミスの3点プレーで引き離した。総リバウンド数は秋田29に対し富山51。第1戦は、富山がリチャード・ソロモンの16を含めた51で、秋田は41だった。攻撃で精彩を欠くマブンガが19リバウンドと奮起したこともあり、リング下における格差は広がっている。
富山の「我慢」は、前日の第1戦終盤から始まっていた。富山は序盤から一対一で勝負を仕掛け、スミスを軸とするインサイド攻撃でペースをつかんだ。マブンガ欠場が続く中、スタートの司令塔に復帰していた宇都は、得意のドライブでマークにつく秋田ガード陣をはね返した。第4クォーターは57-38と富山のリードで開始し、5分経過時には点差が22にまで広がる。
このあたりから、富山のホーム会場は停滞ムードに沈んでいく。富山の選手らはファウル判定に不満げなジェスチャーを見せ、シュートミスやターンオーバーも相次いだ。70点目から72点目を得るまでに、富山は約3分半を要している。計19得点でヒーローインタビューを受けた宇都は、「最後は僕らのだめなところ」「締まりの悪い試合だった」と反省の弁ばかりを並べた。
第2戦の第1クォーター、富山は3-5から12点を連取したが波に乗れない。秋田は保岡龍斗の3ポイントシュート連続成功などで追い上げ、密接した守備で富山のファウルを誘発した。秋田は第2戦でスティール12を記録し、デイビスが4、保岡は3とディフェンスでもチームをけん引している。「いい守備ができていれば、スティールできる場面もチームで分かる」と秋田主将の中山拓哉。ハイプレスのディフェンスを評価する一方、「インサイドの守りはできていない。チームが一つになれれば抑えられた」と悔しそうに述べた。
秋田の選手が犯したファウル数は2戦とも24。第1戦は、デイビスとカーターが前半でファウルトラブルに陥った。第2戦は、大黒柱のコールビーが約8分しかコートに立てず、デイビス共々ファウルアウトしている。2戦合計で、富山に53回のフリースローを献上し、スミスの42得点26リバウンドという大暴れを生む要因となった。秋田の前田顕蔵HCは「チームで守り、チームでいいシュートチャンスを作り出したい。成長しなければ東地区では戦えない」と、攻守両面の引き締めを誓う。浜口HCは「流れが来ずに負けて、レフェリーの悪口を言うのは弱いチームのすること」とし、富山が強豪の仲間入りに一歩近づいたことを喜んだ。
文=横田直