2023.10.01

【B1クラブ展望/三河】目指すはスピード感のあるバスケ…新指揮官が押し進める「カイゼン」

NBAワシントン・ウィザーズで指導歴を持つリッチマンHCが新たに三河を率いる [写真]=Getty Images
日本サッカー協会を経て、フリーランスのスポーツライター・カメラマンに。東海地方を拠点に、サッカー、バスケットボールなど様々なスポーツの取材を行う。

【B1クラブ展望/三河】目指すはスピード感のあるバスケ…新指揮官が押し進める「カイゼン」

 28年間チームを指揮し、“常勝軍団“を築き上げてきた鈴木貴美一ヘッドコーチが退任し、変革へ踏み出したシーホース三河。未来を託すのは、NBAワシントン・ウィザーズで10年以上指導者としての経験を積んだライアン・リッチマンHCだ。34歳の若き指揮官は「NBA、Bリーグ、それぞれの優れた部分を柔軟に融合させて、最終的なゴールである優勝に到達したい」と意気込む。

 新戦力は、リッチマンHCとはメリーランド大学時代から10年以上の付き合いという元NBAプレーヤーのジェイク・レイマン、韓国代表のイデソン、2018−19シーズンの3ポイント王・石井講祐ら実力者ぞろい。プレシーズンゲーム、天皇杯2次ラウンドと、スターターは新加入組を中心に編成され、新生三河を印象づけた。

 一方で、天皇杯では長野誠史角野亮伍がディフェンスからチームを勢いづけて存在感を発揮した。在籍5シーズン目となる長野は「HCに初めて会ったときに、『ハッスルする選手が好きだ』と言われてうれしかった。毎日新しいことに取り組んでいて新鮮で楽しい。後輩も増えてきたので、メンタルの部分でチームを支えていきたい」とチームの変化に刺激を受けながら “先輩”としてチームを引っ張る覚悟だ。

 リッチマンHCが目指すのは、「素早い判断でボールを動かし、スピード感のあるバスケット」。ここまでの4試合を見ただけでも、昨シーズンに比べて切り替えのスピードは圧倒的に速くなっている。まだ課題は多く、スタイルの構築にはある程度時間を要するだろう。「カイゼン」マインドを持って、「選手、スタッフ、ファン・ブースター、シーホースに関わる全員でチームを強くしていきたい」(リッチマンHC)。

■KEY PLAYER/SG/SF #43 イデソン

韓国を代表する選手の一人、イデソンが三河に加入 [写真]=fiba.basketball


 KBL(韓国バスケットボールリーグ)で2年連続レギュラーシーズンベスト5を受賞し、代表でもキャプテンを務めた韓国のスター選手。韓国では主にPGとしてプレーし、大邱韓国ガス公社ペガサスに所属した昨シーズンは、韓国出身選手トップとなる平均18.1得点、リーグ8位の4.1アシストを記録した。

 オフェンス能力が高い上に、「ディフェンスでチームにエナジーを送り込むことができるのも自分の特徴。スコアでもゲームメイクでもディフェンスでも、HCの求めるプレーに徹したい」というチームプレーヤーでもある。攻守両面で三河の要になりそうだ。

文=山田智子

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