【Bリーグ開幕特集】茨城ロボッツ① 眞庭城聖「いい雰囲気で、まずは60試合を戦い抜く」

今シーズンの意気込みを語ってくれた茨城の眞庭[写真]=茨城ロボッツ

3シーズン目の開幕を目前に控えたBリーグ。過去2シーズンで得た成果、反面浮き出てきた課題、その両者を昇華していくことでクラブはさらに進化を遂げていく。B2に所属する茨城ロボッツは、今シーズン特にその真価が問われるクラブの1つと言っていいだろう。昨季は終盤に怒とうの17連勝を記録したものの、あと一歩のところで地区優勝とプレーオフ進出を逃した。今季は積極的な戦力補強で8名の選手を入れ替え、3度目の正直で悲願のB1昇格を狙う。今回、バスケットボールキングでは2年連続でチームのキャプテンを務める眞庭城聖に、昨シーズンの振り返りと今シーズンへの意気込みをうかがった。(9月3日取材)

インタビュー・文=小沼克年
写真=茨城ロボッツ、B.LEAGUE

今シーズンは走るバスケットを目指しています

――3年目の開幕を控え、チームはキャプテンの目から見てどのような状態でしょうか?
眞庭
 正直、「まだまだ」な部分が多いですね。日本人選手と外国籍選手が融合する部分などは、みんなと考えが合致しないとうまく成り立たないです。しっかり意思疎通するのが思ったより難しいと感じています。

――ご自身の調整具合はいかがですか?
眞庭
 個人的には、練習から3ポイントシュートの調子があまり良くないので、外のシュートをどういう風に自分でアプローチしていくかが今の課題です。岡村(憲司/スーパーバイジングコーチ兼監督)さんからも「もっとクイックシュートを打てるようになれば、B1に上がったときも通用する選手になれる」と言われてるので、結構意識してます。昨シーズンはプロのキャリアの中で一番いいパーセンテージ(平均38.3パーセント)だったんですけど、今は確率が上がっていないです。

――チームとしての役割も、中より外のシュートを求められているのですか?
眞庭
 いや、僕はインサイドもやりますし、今シーズンもオールラウンドにプレーするというのは変わらないです。外のシュートに関しては、岡村さんからアドバイスをもらったので、それにチャレンジしてるって感じですね。

――チームとしては昨シーズンと比べて目指しているバスケットに変化はありますか?
眞庭
 結構ガラッと変わりましたね。

――具体的に教えて下さい。
眞庭
 今まではリック(リカート/今季開幕前に現役を引退)をメインに展開していました。身長が大きく、トランジションというよりは彼の良さを活かすためにインサイドアタックをさせたり、彼にシュートを打たせるセットオフェンスが多かったです。でも今シーズン加入した新外国籍選手は、すごく大きいわけではないですが走れる選手が多いので、そういった意味でも走るバスケットを目指しています。

――なるほど。今はその完成度を高めている段階ですね。
眞庭
 はい。まだまだですけど、開幕でいいスタートができるかが一番大事だと思っているので、そこを高めるためにこれからも調整をしていきます。

ジョシュ・デービスコナー・ラマートなど、走れる外国選手を獲得したことも今季の茨城の特徴でもある[写真]=茨城ロボッツ

――あと一歩のところで地区優勝とプレーオフ進出を逃した昨シーズンを振り返っていただけますか?
眞庭
 原因は色々あると思うんですけど、やはり選手層の厚さだったり、選手一人ひとりの個々のスキルという部分が足りなかったのかなと思っています。シーズン終盤、僕を含めた3選手が、ほぼ平均30分以上のプレータイムだったんですよ。その状況が続いてしまったのが最後の最後で響いたかなと思っています。僕も結構、身体にきていましたし、選手層が厚ければみんなでカバーし合えたので。

――もう少しベンチメンバーにつないでほしかったと。
眞庭
 そうですね。もちろん岡村さんも17連勝した中で色んな選手を使おうとはしてました。けど、終盤は(Fイーグルス)名古屋との首位争いで1試合も負けられない状況だったので、それもあって下手にギャンブルに出れないという部分があったと思います。

――今、17連勝という言葉が出ましたけど、連勝中のチームはどのような雰囲気でしたか?
眞庭
 緊張感の方が大きくなっていきましたね。プレッシャーが徐々に高まっていくという感じで、浮かれてる雰囲気は一切なかったです。(連勝中も)別に1位になっているわけじゃなく、ワイルドカードも狙っていかなきゃいけない中だったので、正直あまり喜ぶというよりも安心のほうが大きかったです。1勝するたびに、「今日もなんとかつないだ」という安心感があり、またすぐ次の戦いに考えを移行していくという、ずっとそんな流れでした。

――「優勝できる!」というイケイケムードではなかったのでしょうか?
眞庭
 全然なかったですね。そういうときにこそ、岡村さんはキツいことを言いますし、そこが岡村さんのすごいところだなと思います。試合に勝っても「これ負けたんじゃないか」というような控え室の雰囲気のときもありました。

――眞庭選手はキャプテンとして声で引っ張るタイプ、もしくはプレーで引っ張るタイプどちらですか?
眞庭
 あまりそういうのを考えてなくて、自分の感情のままという感じですね。でもチームには優しい人が多くて、正直に言う選手が少ないです。なので、キツい言葉は僕が一番言います。怒るのもほとんど僕ですし、優しい選手が集まりすぎると、なあなあになったりもするので、そういう部分はしっかり貫いていきたいと思っています。

3×3を経験しているからこそ、Bリーグでもタフに戦える

――眞庭選手は3×3でもプレーしていますよね。オフシーズンとはいえ、Bリーグと並行してやるのは個人的にすごく難しいと感じていますが、実際はいかがですか?
眞庭
 そうですね、正直難しいです。Bリーグでキャプテンもやらせていただいている中でプレーするのは、リスクの方が大きくて……。3×3の方がケガする確立も高いのですし、3人で10分間ずっとプレーし続けると無酸素状態にもなるので。ボールに関しては3×3に慣れすぎると、5人制に戻ってきたときにタッチが悪くなるので、その時期はどっちのボールでもシューティングはあまりしないようにします。3×3では試合の前日とかにちょっと打つくらいで、パスをメインでプレーするときもあります。

――単純に休みが減ると思うのですが、体力的には大丈夫ですか?
眞庭
 僕は自分のことをすごくタフな人間だと思ってるので、全然大丈夫です(笑)。シーズン終わったときはめっちゃ疲れてますけど、1週間くらい休むと身体もある程度落ち着いてくるので、すぐバスケがしたくなります。それで3×3をやると、こっち(3人制)の練習もあっち(5人制)の練習も始まって、全身が筋肉痛になります(笑)。オフにそういうことを経験している分、Bリーグのシーズンに入ったときにタフに戦えると僕は思っているので、3×3を経験しているからこそ5人制でもメンタルの部分や1対1の強さが絶対に活かされていると思います。

3x3との両立はリスクもあるがメリットもあると話す[写真]=B.LEAGUE

――このようなスケジュール感になったのは、Bリーグが始まってからでしょうか?
眞庭
 いや、僕が熊本(ヴォルターズ)にいたNBL時代のときからなので、もう4年間このリズムです。

――なるほど。「もう慣れてしまった」という感じですね。
眞庭
 はい。シーズンが終わると「また3×3のシーズンが来たなあ」と。大体3月くらいに3×3のドラフトが始まるんです。だからその時期になると、「ああ、もう3×3に向けての動きが始まったんだな」という風にはなりますね。

――今シーズンの3x3.EXE PREMIERは、1年目よりは多くのBリーグ所属選手が参戦しました。そういった意味では嬉しい気持ちはありますか?
眞庭
 めちゃめちゃ嬉しいですね!3x3(.EXE PREMIER)は2017年の設立3年目からBリーグの選手が激減したんですよ。でも、今年は他のチームにも多くのBリーガ―がいたので、オフシーズンにも対戦できて楽しかったですね。単純に3x3の底上げ、レベルの高さがぐんと上がりますし面白いです。僕の試合がなくても、観戦に行けた試合は観に行ったりしてました。

――なぜ、Bリーガーの参加が減ったのでしょうか?
眞庭
 僕も過去に膝の靭帯をケガして救急車で運ばれたり、(栃木)ブレックスにいた落合(知也/現越谷アルファーズ)選手も靭帯を切って(Bリーグの)シーズンを棒に振ったりしました。なので、そういうケガの部分でプロ選手が出るのはすごくリスクを背負うんですよ。だけど、今年は『DIME』というチームにいる京都(ハンナリーズ)の岡田(優介)さんがOSAKA DIMEを作って大阪のチームをまとめてくれて、TOKYO DIMEもプロ選手が入ったりなどがあり、盛りあげてくれました。あの人の力はかなり大きいです。

――来シーズンはまた3x3にBリーガーが増えるかもしれません。先輩の身として、参戦する際のアドバイスなどはありますか?
眞庭
 そうですね、まあ灼熱の中でやるので、必ず『冷えピタ』は持って来いと(笑)。あとは日焼け止め。太陽の下でやる事自体キツいのに、そこで試合をするのでそれが一番です。

――わかりました。そろそろ話を戻します。今シーズンは3度目の正直でB1昇格とB2優勝が目標になると思います。その目標を達成できるメンバーはそろいましたか?
眞庭
 そろいましたね。本当に心強いメンバーが移籍してくれましたし、いいメンバーがそろってくれました。特に福澤(晃平)選手は、僕が今年一番興奮した選手の1人なんですよ。昨シーズンB2の3ポイント王(44.5パーセント)で、間違いなくFE名古屋のエースだったので、その彼が移籍してきてくれたのはすごい嬉しかったですね。

――他の新加入選手はいかがですか?
眞庭
 ジョシュ・デービスです。今までも2シーズンくらい対戦したことがあって、そのときはすごい嫌だったのを覚えています。そんな選手がチームメートになるので、こんなに心強いことはないですね。

――残留した選手の中でもっとチームの顔になってほしいような選手はいますか?
眞庭
 髙橋祐二ですかね。昨シーズンの終盤にすごい伸びた選手で、身体能力が高いので、伸びしろは計り知れないと思います。彼があと2、3年くらいプレーし続けたら、B1でバリバリ通用する選手になってると僕は思っています。

――髙橋選手の持ち味は何ですか?
眞庭
 一番はディフェンスですね。B2では間違いなく一番だと思ってますし、B1でも通用する力はありますね。あとはやっぱり身体能力。足がめっちゃ速くてめっちゃ飛ぶとか、そういう感じなんですよ(笑)。なのでドライブが本当に速い。レイアップも高くてダンクまで持っていける脚力があります。課題だった外の3ポイントシュートも昨シーズンの後半でパーセンテージを上げたので、彼が3ポイントを平均37、8パーセントくらいの確率で入れるようになったら間違いなくB1でトップレベルになる選手だと思います。

――わかりました。それでは、改めて今シーズンの意気込みをお願いします。
眞庭
 B1昇格という目標を達成するためには、チームでどれだけモチベーションを高めていけるかが勝負だと思っています。本当に1試合1試合、1日1日の練習でどんどん強くなっていけるように頑張っていきたいです。また、気を抜く練習や試合がなくなるように、僕自身がしっかりとした姿を見せていきたいと思っていますし、他の選手たちにもそういった雰囲気づくりをしてもらいたい。いい雰囲気で、まずは60試合を戦い抜きたいと思います。

――ブースターさんにもメッセージをお願いします。
眞庭
 9月29日(茨城の初戦)からレギュラーシーズンが開幕します。西宮(ストークス)に勝っていい滑りだしができるようがんばるので、今シーズンもともに戦いましょう!よろしくお願いします。

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