高校バスケの最高峰「ウインターカップ」の活躍で名を馳せた選手の一人に、明成高校(宮城県)初の3連覇に貢献し、卒業後はアメリカへと活躍の場を移した18歳八村塁(現ゴンザガ大学)がいる。そんな日本トップレベルの高校生たちが頂点を目指すこの大会は、将来Bリーグや日本代表を背負って立つようなスター選手の宝庫でもある。そんな彼らを元NBA選手はどう見るのか。アルバルク東京のディアンテ・ギャレットに各選手のプレー動画を見てもらい、その印象を語ってもらった。
構成=青木美帆
写真=新井賢一
■歴代屈指の大型PG 赤穂雷太(千葉・船橋市立船橋高校⑦/3年/195cm)
県予選を終えた後、市立船橋の近藤義行コーチはこう宣言した。「雷太は将来の日本代表を見据えて、ウインターカップはポイントガードでがんばらせます」。195センチの赤穂の適性をインサイドではなくアウトサイドにあると見定め、チーム一の長身選手ながらゴール下でのプレーに固執しなかった近藤コーチは、赤穂に田中大貴選手(アルバルク東京)のイメージを重ねているという。これらの情報をギャレットに伝えると、これまでの選手たちとは異なり、少し厳しいアドバイスを送ってくれた。
「本当にポイントガードになりたいのだったら、もっとリーダーシップを取らないと。そして、コートに立っている選手の毎回のポジショニングや、一つひとつのプレーを把握しなければならないね。またドリブルワークも磨かなければいけない。シュートのタッチはいいから、まずはドリブルとハンドリングを鍛えて、司令塔のマインドを備えること。『お前はあっちにいけ』という指示も出せるようになってほしいな。大貴は素晴らしい選手だよ。おとなしめだけど、おとなしいからこそ『コート上ではやっつけてやる』というハートを持っている。『キラー(殺し屋)』って感じだね(笑)。がんばれば大貴と同じくらい、いや、それ以上になれるかもしれない。がんばってほしい」
■今冬最注目のスコアリングコンビ 岡田侑大(京都・東山高校④/3年/187cm)&カロンジ・カボンゴ・パトリック(同校⑨/3年/206cm)
強烈な得点力でインターハイ準優勝、国体優勝の立役者となった岡田とパトリック。今大会でもそのバリエーション豊かなオフェンスがいかに炸裂するかとても楽しみだ。また、東山は高校界では珍しいピック&ロール(センターをついたてのように使ってノーマークを作るプレー)を主軸に置いたオフェンスを展開するチーム。日本人があまり得意でないと言われるプレーの使い方についても、ギャレットに聞いてみた。
「4番は非常にアグレッシブな選手だね。リングに向かったプレーが印象的。相手のディフェンスにプレッシャーを掛けるような選手だ。9番はひょろ長くてサイズがあるし、ジャンプフックのタッチもいい。ポジショニングの取り方も非常にいいね。ボールをもらいたいところにきちんといるんだ。お互い息もピッタリでコンビネーションもいい。ピック&ロールも動画を見た限りでは、非常にうまく使えていると思う。あえて言うなら『急がないこと』かな。半テンポ遅らせてディフェンスをよく見る余裕を持つといいね。ピックプレーは急がないことと、状況判断を磨くことが大事だよ」