昨年のインターハイ、ウインターカップを制し2冠を達成した福岡第一高校(福岡県)、名将として知られる佐藤久夫コーチが率いる明成高校(宮城県)、古豪の山形南高校(山形県)など高校バスケットボール界を代表する16校が全国各地から集まった『日本工学院 Presents KAZU CUP 2017』が日本工学院八王子専門学校八王子キャンパスにて3月28日から30日にかけて開催された。
今回で6回目を迎えた『KAZU CUP』は2012年に始まり、全国の強豪校を一度に見ることができる貴重な機会として、目の肥えた高校バスケットボールファンの間で定着しつつある大会だ。
大会名は、日本バスケットボール界で数々の功績を残した中村和雄氏に由来する。中村氏は当時、弱小校だった鶴鳴女子高校(現長崎女子高校/長崎県)を鍛えあげ全国制覇に導き、実業団リーグに在籍していた共同石油(現JX-ENEOSサンフラワーズ)を日本リーグに昇格させ日本一に導くなど、“優勝請負人”として名を馳せた。また、男子バスケ界においても、オーエスジーフェニックス(現三遠ネオフェニックス)、秋田ノーザンハピネッツ、新潟アルビレックスBBのヘッドコーチを歴任するなど、各カテゴリーで数々の功績を残した名指導者だ。
今年1月に亡くなった小浜元孝氏(元日本代表監督)に次ぐ日本バスケットボール界の重鎮の名を冠した『KAZU CUP』は、中村氏を慕う指導者の率いる高校が一堂に会し実施していた大会が始まりだという。この大会にアリーナを提供し、主催に日本工学院が入ったタイミングで『KAZU CUP』と改名され、春の高校バスケット界の風物詩として、東京を中心としたバスケファンの認知を獲得し始めている。
今大会も、近隣の中高生を中心に数多くのバスケファンが集まり、昨年2冠の福岡第一で1年次から出場していた松崎祐樹のプレーに拍手を送り、全米大学選手権(NCAAトーナメント)に日本人初のファイナル4に挑むゴンザガ大学の八村塁の弟、八村阿蓮を擁する明成の闘志溢れる試合運びに一喜一憂するなど、全国の強豪の対戦を楽しんだ。
大会を運営する実行委員の一人は、「KAZU CUPはエキシビジョンマッチ枠もあり、今大会は帝京八王子高校(東京都)や小山台高校(東京都)などが出場しました。全国レベルのチームと試合ができる機会はなかなかありませんし、そういう意味では日本工学院として、バスケットボールを介して、地元に貢献できている部分はあると思います」と大会の意義を語る。さらに「エキシビジョンの試合も含めて、来場された中学生、高校生が質の高い試合を堪能している様子は、運営側としてもうれしいですし、大会を続けて開催することで、試合自体の認知も進んできました」と“春の全国大会”として定着しつつあることに自信をのぞかせた。とはいえ、運営サイドの苦労として「もちろん、全国に散らばる16校を調整し、八王子で大会を開催するのはご想像のとおり大変です」と苦笑しつつ、「スポーツに向き合っているガチンコの子たちを応援したいという気持ちも強いですし、そこに関われることはうれしいです」と微笑んだ。
2015年に『KAZU CUP』で優勝を果たし、そのまま全国制覇を成し遂げた明成の快挙に続き、昨年は福岡第一が『KAZU CUP』を制した後に、高校2冠を達成するなど、同大会を制したチームがそのまま、全国を制覇する流れが続いている。今年は桜丘高校(愛知県)が初優勝に輝き、明成が2位入賞を果たした。2017年のインターハイ、ウインターカップを制するチームも、また八王子で開催されたこの大会から現れるかもしれない。