Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大(アルバルク東京/筑波大学4年)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介する。第13回目は、福岡大学附属大濠高校が誇る3年生センター、井上宗一郎。200センチの体格を活かし、ディフェンスやリバウンドなど献身的なプレーでチームをインハイ王者に導いた。“黒子”に徹する日本人ビッグマンが今後、どのような成長を遂げるのか注目したい。
明成高校(宮城県)の八村阿蓮、東山高校(京都府)のカロンジ・カポンゴ・パトリック、帝京長岡高校(新潟県)のティレラ・タヒロウ……。今年の男子高校界には好センターがたくさんいるが、福岡大学附属大濠高校(福岡県)の片峯聡太コーチはこう断言した。「インターハイ(平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会)で優勝した彼が(現時点で)ナンバーワンのセンター。僕はそう思います」
井上宗一郎、3年生。インターハイに出場した日本人選手の中で最長身となる200センチの体格を活かし、身体能力の高い留学生やハーフの選手たちと戦い続けた。
能力の高い選手がそろう福大大濠ではあるが、彼の代わりとなる選手はいない。4度の延長戦にもつれこんだインターハイ準決勝の帝京長岡戦の出場時間は、チーム最多の58分51秒。パワーに勝る2人の留学生を、3つのパーソナルファウルで守りきった。
「県大会や九州大会では、試合開始2、3分くらいで笛を吹かれて『何をやっているんだ』と怒鳴ることが多かったので、今大会は『お前がコートに立ち続けることが一番大事だ』と伝えました。それを忠実にやってくれました」(片峯コーチ)。井上本人も「相手のセンターを抑えたり、リバウンドを取ったりすることに徹しようと思いました」と口にする。
目を見張るような身体能力はない。派手なプレーもないし、シュートも打つ場面もそれほど多くなかった。しかし、チームに求められていることをしっかりやりきった井上は、今夏のMVPと言っていいだろう。
献身的なプレーだけでなく、表情の豊かさも魅力的な選手だ。準決勝、決勝と2試合連続で、人目をはばからずうれし涙を流した。中学3年次に参加したジュニアエリートアカデミー(U15年代の有望選手を集めた育成キャンプ)では、トレーニングのノルマが達成できず1人で泣いている姿も見かけた。「感情的になっちゃうんです。試合では出さないようにしているんですけど……」と照れくさそうに話した。
片峯コーチが「少し前まではいつも泣きそうな顔をしていた」と話す表情は、試合を勝ちあがるごとにグッと引き締まった。まだまだ成長の余地が詰まった18歳。インターハイ優勝という大きな手応えを胸に、冬の成長が楽しみだ。
文=青木美帆
写真=山口剛生
(https://basketballking.jp/news/japan/highschool/20170510/13170.html)
No.002 保泉遼(船橋市立船橋高校3年)
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No.003 松崎裕樹(福岡第一高校2年)
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No.004 東野恒紀(厚木東高校3年)
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No.005 高原晟也(土浦日本大学高校3年)
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No.006 常田耕平(正智深谷高校3年)
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No.007 平岩玄(東海大学2年)
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No.008 盛實海翔(専修大学2年)
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No.009 半澤凌太(福島南高校3年)
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No.010 齋藤拓実(明治大学4年)
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No.011 中村太地(法政大学2年)
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No.012 角野亮伍(サザンニューハンプシャー大学1年)
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