2017.06.14

未来のスターを探せ! BBKスカウティングレポート No.006 常田耕平(正智深谷高校3年)

大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大(筑波大学)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介する。第6回は正智深谷高校の主将を務め、指揮官から「チームの心の支え」と信頼を置かれる常田耕平。得点力という課題を克服し、「点を取れるガード」を目指していく。

 埼玉の強豪、正智深谷高校の成田靖監督は「バイタリティ」という言葉を好んでよく使う。精力的にコートを駆け回り、ディフェンスで粘り、リバウンドやルーズボールといった泥臭いプレーから流れを生みだす。正智深谷が連綿と築いてきたスタイルを象徴する言葉だ。

 今年のチームの主将を務める常田耕平は、成田監督がそのバイタリティに惹かれて愛知県(中学は静岡県の浜松学院中学校)から獲得した選手だ。昨年冬のウインターカップ。スタッツ上で目につくものはあまりないが、マルチにプレーし、大きな声で仲間(上級生を含む)を叱咤激励する姿は、彼のフロアリーダーとしての素質の高さを雄弁に語っていた。成田監督も「うちのチームの心の支え」と手放しで称えていた。

 しかし常田は現在、自らのあり方の模索途中にある。ポイントゲッターの山口颯斗(現筑波大学1年)が卒業し、今年のチームはコートに立つ5人が平等に得点を取るスタイルを目指しているが、その中で「自分がシュートを決めなければいけない」という気持ちは強い。

 昨年から担ってきたチームの雰囲気作りと、新たに加えられた得点という課題。関東大会の決勝で船橋市立船橋高校(千葉県)に敗れた後、成田監督は「ディフェンスから走るのが彼の本来のスタイルなのに、変に3ポイントにこだわったりして泥臭さがなくなっている」と話したが、常田自身も「気持ちがシュートに行ってしまって、チームの雰囲気が悪くなってしまうことが多かった」と自覚している。

 昨年からマッチアップしている市立船橋の保泉遼主将は、常に意識が向く相手の1人。「あいつは変わってきているなという印象があります。じゃあ自分は何か変わったかというと、変わっていない。あいつとは違うキャプテンなんだと自覚してプレーしないと、勝ちにつながりません。去年を思い出して、一から自分で考え直します」

 登録身長は186センチ。チーム事情で2番、3番でプレーすることが多いが、将来的にはポイントガードでのプレーを見据える。「点を取れないガードは上では通用しない」と、将来を見越す意味でも得点力アップを狙っている常田が、泥臭いプレー、リーダーシップ、得点を同時に体現できるようになる時を心待ちにしたい。

文・写真=青木美帆

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