安城学園が八雲学園を倒して初の決勝進出へ!!

27得点13リバウンドを挙げた安城学園の相澤[写真]=加藤夏子

 12月27日、東京体育館にて『ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会』女子準決勝がおこなわれ、2年ぶり5回目の出場となる安城学園高校(愛知県)は、八雲学園高校(東京都)と対戦した。

 この日より、昨日までの複数同時進行からメインコートのみで開催される形態へと会場配置も変更となり、ウインターカップもいよいよ佳境に入ったことを感じさせた。試合開始は10時。独特の緊張感が漂う中、最初の得点をあげたのは安城学園の相澤ひかり(3年)。安城学園は、直後に八雲学園のエース奥山理々嘉にミドルシュートで返されるものの、千葉暁絵(3年)が鋭いカットインを見せて勢いをつけると、オールラウンダーの野口さくら(2年)が思い切ったスティールを決めてそのまま得点、安城学園が一気に流れを引き寄せる。昨日の準々決勝で、優勝候補の岐阜女子高校(高校総体1位/岐阜県)を破った勢いと自信を感じさせる安城学園は、第1クォーターを22-12と10点リードで終え、大事な試合の序盤を制した。

安城学園が誇るオールラウンダー、野口は準決勝で21得点10リバウンド6アシストを記録[写真]=加藤夏子

 第2クォーターに入ると、安城学園は無理なドライブからの仕掛けが目立つようになりオフェンスのリズムを失うと、試合の流れは徐々に八雲学園へ。安城学園は八雲学園の𠮷田眞子に、このクォーターだけで3本の3ポイントシュートを許すなど、このクォーターで19-24と激しい追い上げを受け、41-36の5点差で前半を終えた。

 第3クォーターは一進一退の攻防が続く。安城学園はインサイドから放たれる奥山のターンシュートと、アウトサイドで猛威を振るう𠮷田の長距離砲といったバランスの取れた八雲学園のオフェンスに手を焼くも、相澤、野口が強引にゴールへと突進。個人の力で状況をなんとか打開する。第3クォーターを64-56とした安城学園は決勝進出をかけてラストクォーターに臨む。

 第4クォーターに入ると、八雲のエース奥山に更にエンジンがかかる。粘り強いディフェンスで対応していた安城学園だったが、試合時間残り6分52秒、八雲学園の小村日夏理に3ポイントシュートを沈められ、ついて逆転を許す。序盤から保っていたリードを初めて失った安城学園はここから一気に八雲学園にペースを奪われるかに見えたが、このタイミングでディフェンスを変更。ここまで温存していた激しいゾーンプレスと奥山へのトラップディフェンスを織り交ぜて八雲学園から強引に流れを引き戻した。上村菜々美がゴール下から同点ゴールを決めると、この試合大活躍した相澤のカットインで72-70と再逆転、更に上村、那須みらいと連続得点をあげて一気に勝負を決めた。最後までもつれた好ゲームだったが、最終盤に勝負をかけた安城学園が、粘る八雲学園を90-85で振り切り決勝進出を決めた。

今大会をとおして驚異的な得点力を見せ付けた奥山。最上級生となる来年、どこまで成長するか楽しみな選手である[写真]=加藤夏子

 激戦を制した安城学園の金子寛治コーチは「ゲームプランについては、岐阜女子までしか考えておらず、八雲戦はノープランでした」と苦笑すると、深津彩生と上村で奥山につかせて、(奥山から)アウトサイドのシュートを決められるぶんには、そこはOKと考えていましたし、最初は(奥山のディフェンスに関しては)ノーヘルプとしていました」と相手エースへの対応について語った。また、第4クォーターに逆転を許した後の展開に関しては「逆転されてからは、ギャンブルも多少あったのですが、ゾーンプレスと奥山がポストアップしたときのトラップを指示しました」と語り、思わぬ効果として「ディフェンスがオフェンスの起点にもなりました」と述べた。

 第4クォーター序盤にオフェンスのリズムを失っていた安城学園だったが、ギャンブル的に仕掛けた積極的なディフェンスが功を奏し、終盤の再逆転へとつながった形だ。

 また、金子コーチは警戒してた八雲学園の奥山について「奥山はフル出場が続いていましたし、ずっと1on1を仕掛けていれば、疲れるかと思っていたましたが、流石ですね。全然疲れなかったです」と称賛しつつも、「まずは(奥山を)ゴールから遠ざける。気持ちよくシュートを打たせない。シュートを打たれたら、(奥山の)前に入ることは徹底していました」と語り、ディフェンスに奮闘した深津と上村の頑張りにも言及した。

 28日の決勝の舞台へと駒を進めた安城学園。インターハイ王者の岐阜女子を撃破し、スーパーエース奥山を擁する八雲学園を倒した勢いそのままに、初の栄冠を勝ち取ることはできるのか、注目が集まる。

文=村上成

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