夏のインターハイ、秋の国体を制して高校タイトル3冠を目指した岐阜女子高校(高校総体1/岐阜県)が優勝候補の筆頭、その岐阜女子を追うのが2年連続22回目の優勝を目指す桜花学園高校(高校総体2/愛知県)と目されていた今年の女子。しかし、決勝戦に進出したのは、準々決勝で岐阜女子を破った安城学園高校(愛知県)と、準決勝で桜花学園を破った大阪桐蔭高校(大阪府)。両チームとも初のウインターカップ進出というフレッシュな対戦が実現したのだ。
この決勝戦、安城学園がリードしたものの、大阪桐蔭が追いつく展開に。実にダブルオーバータイムまでもつれた戦いは、エース竹原レイラがファウルアウトしたものの、残された大阪桐蔭の3年生たちが勝利を引き寄せた。まさに下級生主体の安城学園を大阪桐蔭の3年生の意地が上回った形となったのだが、高校バスケの最高峰ウインターカップは、やはり3年生の活躍が勝利には不可欠というところを示してくれた。
その一方で、今大会は、将来日本代表入りも夢ではないスケールの大きな1、2年生の活躍が目立ったことも忘れてはならない。
その筆頭は八雲学園高校(東京都)の奥山理々嘉だ。2年生ながらキャプテンとしてチームを引っ張った奥山は3位決定戦も含めた5試合で207得点、1試合平均41.4得点という驚異的なスタッツをたたき出した。その他リバウンド(86本)、フリースロー成功数(43本)、ブロックショット(20本)でも出場選手中1位の記録を残し、大会を大いに盛り上げた。特筆すべきは3回戦の徳山商工戦で挙げた62得点。これはこれまでの51得点を11点も上回ったウインターカップにおける女子の1試合最多得点記録だ。身長180センチの奥山はサイズに頼らないオールラウンドなプレーが魅力。3ポイントシュートも軽々と打ち抜き、速攻の先頭を走る脚力もある。
準優勝した安城学園の2年生、野口さくらはチームでは4番ポジションを任されているものの、ボールハンドリングやパスに非凡なところを見せた。その他、聖和学園高校(宮城)の今野紀花(2年)、足羽高校(福井県)の林未紗(2年)、桜花学園の平下愛佳(1年)はサイズもあり、しかもしなやかなプレーが特徴だ。さらにスコアラーとしての資質も兼ね備えており、どんなプレーヤーに成長するか、大いに期待したい。その他、精華女子高校(福岡県)の1年生ガードコンビ、樋口鈴乃と三浦舞華も忘れてはならない存在だろう。
来年、2018年は「FIBAアジア U18女子選手権」が開催される。ここであげた選手たちが日本を代表してアジアのライバルと戦うことはほぼ確実と言えるだろう。国内の大会でも活躍が期待されるが、国際大会でも多くの経験を積んで、将来の”AKATSUKI FIVE”女子代表のメンバーになるべく大きく羽ばたいてほしい。
文=入江美紀雄