3月27日から29日の3日間、日本工学院八王子専門学校体育(東京)で「日本工学院Presents KAZU CUP 2018」が開催され、福岡第一高校(福岡)が2年ぶり3回目の優勝を果たした。
7回目を迎えたKAZU CUPは共同石油(現JX-ENEOSサンフラワーズ)、オーエスジーフェニックス(現三遠ネオフェニックス)、秋田ノーザンハピネッツなどで剛腕をふるった中村和雄氏の発案で開催されている高校男子のカップ戦で、今年は全国から16校の強豪が参加した。
今大会はアンダーカテゴリーの日本代表合宿が重複した影響で、主力選手を欠いたチームがいくつか見られた。特に福岡第一はエースの松崎裕樹、ポイントガードの河村勇輝とスタメン2人が不在。苦戦を強いられるかと思いきや、大会MVPに輝いた司令塔の小川麻斗、井手口孝コーチがMVPに挙げた古橋正義、チームバスケットに徹したクベマジョセフ・スティーブ、ディアラ・イソフら各選手たちが奮闘。持ち味とする運動量豊富なバスケットで、予選リーグ、決勝リーグともに大差をつけて全勝優勝を果たした。
ウインターカップ覇者の明成高校(宮城)は、昨年のスタメンが3人抜け、新たなチームを構築中。昨年シューターとしてブレイクした田中裕也はガードに挑戦し、リーダーとしてもチームをけん引している。また、今大会は多くの新1年生が出場時間を得ており、インターハイで主力にもからんでくる可能性も大いにありそうだ。
逆に、昨年度からのスタメンが多く残る八王子学園八王子高校(東京)は、今大会に大きな手ごたえを得た。石川淳一コーチは「(ダブルヘッダーが3日間続き)最後は疲れて足が止まってしまいましたが、一発勝負だとやれるかなという感覚がつかめました。2月の関東新人から150パーセントの伸びです」と頬をゆるめる。MIPを受賞した鴇田風真、木村圭吾ら両ウイングのシュート力にウスマヌ・ジャ、ババカル・アイダラ・ジャロのハードワークがからむようになれば、さらに大きな力を発揮できるだろう。
夏に地元インターハイを控える桜丘高校(愛知)は予選2位グループリーグ1位で今大会を終えた。1人で試合の半分以上のスコアを稼ぐ富永啓生の不在に加え、スタメン候補の留学生セン・マム・リバスが来日1週間という状況ということもあり、今大会は2人以外の選手の底上げにあてた。富永のアウトサイドとリバスのインサイドに、江崎悟コーチが「脇役だけど主役」と表現する2人以外の選手がからんだスタイルの完成が楽しみだ。
本格的な高校バスケシーズンの幕開けを感じさせるKAZU CUPだが、今年は少しさみしさも漂う大会になった。素晴らしい選手を多く生み出した2人の指揮官が今年度で高校バスケットの現場から離れるため、今大会がラストゲームとなったのだ。両氏との別れを惜しみつつ、新たな名将の誕生を心待ちにしたい。
【決勝リーグ結果】
■グループ1位
1位:福岡第一高校(福岡県)
2位:延岡学園高校(宮崎県)
3位:八王子学園八王子高校(東京都)
4位:明成高校(宮城県)
■グループ2位
1位:桜丘高校(愛知県)
2位:開志国際高校(新潟県)
3位:市立船橋高校(千葉県)
4位:駒澤大学附属苫小牧高校(北海道)
■グループ3位
1位:直方高校(福岡県)
2位:沼津中央高校(静岡県)
3位:盛岡南高校(岩手県)
4位:日本大学東北高校(福島県)
■グループ4位
1位:尽誠学園高校(香川県)
2位:神戸村野工業高校(兵庫県)
3位:山形南高校(山形県)
4位:北海道旭川工業高校(北海道)
文=青木美帆