11月11日、「平成30年度全国高等学校選手権大会東京都代表決定戦」の決勝リーグ最終戦が都立駒場高校で行われ、ウインターカップ出場を懸けて八王子学園八王子高校と実践学園高校が対戦した。
計4校で争う決勝リーグは、ここまで2勝の八王子が勝てば文句なし、1勝1敗の実践学園は勝っても負けても他会場の結果次第で本戦行きが決まるという状況。しかし、最終的にはこの試合で実践学園が八王子を破り、両校がウインターカップ出場を決めた。
実践学園は試合序盤、ポイントガードの小野寺恒洋(2年)が負傷交代するアクシデントに見舞われるも、横山悠人(3年)を中心にアグレッシブなオフェンスを展開し先行する。しかし終盤に入ると、警戒していた相手エース・木村圭吾(3年)に連続3ポイントを決められ、4点ビハインドで第1クォーターを終えた。
第2クォーターは、八王子が木村のこの日3本目となる3ポイントで先制。いきなり差を広げられた実践学園だったが、横山のバスケットカウントなどで応戦してついていく。すると、持ち味である泥臭いディフェンスも機能し始め、相手のミスから斎藤颯斗(3年)がバスケットカウントを記録。前半を45-44で折り返した。
試合が動いたのは第3クォーター。八王子はマンツーマンからゾーンディフェンスに変えて流れを変えようと試みるも、実践学園の高瀬俊也コーチが「昨日、成立学園(高校)さんとやらせてもらった時にゾーンをうまく攻められなかった。その経験があったのでうまくやれた」と試合後に振り返ったとおり、キャプテンの小玉大智(3年)を起点に加点していく。リードを保つと、残り5分を切った時点で八王子の木村と半田雄資(2年)が4つ目のファウルを犯して交代を余儀なくされた。すると、61-57で迎えた残り1分46秒から豊島隆平(3年)が立て続けに3ポイントを射抜き、実践学園10点リードで第4クォーターを迎えた。
この連続得点で勢い乗った豊島は、最終クォーター序盤にも同じように連続3ポイントを沈め会場を沸かせる。八王子は同クォーター開始から4ファウルの2人を戻して勝負へ出るも、最後までフリースローミスやターンオーバーで得点チャンスの逃して追いつくことができず。第3クォーター終盤に抜けだした実践学園が、今年のチームになって一度も勝てていなかった八王子に93-86で勝利した。
この日のヒーローとなった豊島は「3ポイントは自分の武器。今大会はあまり調子が良くなかったけど、ここで勝たなければウインターカップに行けないと思っていたので、悔いのないように思いきって狙いました」と振り返った。サイズで劣る実践学園は2メートル超えの相手留学生2人を、キャプテンの小玉が「僕にしかできない仕事」と自覚を持って対等に渡り合ったことも勝因の1つと言えるだろう。
また、試合後のインタビュー中、高瀬コーチは「(実践学園は)他のクラブも強いので、いつも体育館が使えるというわけではないんです。色んな場所を借りて練習しているので、貸してくれた学校のおかげです」とも話した。この感謝の思いは、小玉も同じような言葉を口にした。
「たくさんの人に支えられたので、優勝と言う形で終えられたことに感謝したいです。自分たちが体育館を使えない時に、学習院(高等科)さんが体育館を貸してくれたおかげで優勝できたと思います」
他会場の結果も含め2勝1敗で並んだ両校は、直接対決の結果により実践学園が1位で東京都代表を獲得。準優勝の八王子は開催地代表でウインターカップ出場を決めた。
【試合結果】
実践学園 93-86 八王子学園八王子(@駒場高校)
実践学園|19|26|24|24|=93
八王子 |23|21|15| 27|=86
■東京都代表決定戦 決勝リーグ結果
優勝 実践学園(2勝1敗)
準優勝 八王子学園八王子(2勝1敗)
3位 日本学園(1勝2敗)
4位 成立学園(1勝2敗)
取材・文=小沼克年