新型コロナウイルスの影響でインターハイが中止となった今年、高校バスケット界では唯一の全国大会となった「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が12月23日に開幕し、いよいよ28日、女子の決勝を迎える。
決勝へと進んだのは前回大会覇者の桜花学園高校(愛知県)と2009年以来となる決勝進出を果たした東京成徳大学(東京都)。決勝では実に11年ぶりの顔合わせとなった。
2大会連続で決勝へと勝ち進んだ桜花学園は、江村優有、前田芽衣、オコンクウォ・スーザン・アマカ(いずれも3年)と昨年からスターターを務める3人が健在。そこに成長著しい185センチの朝比奈あずさ(2年生)、さらには走力があり、ドライブなどでチームに勢いをもたらす佐藤多伽子(3年)が加わった布陣はどこからでも得点が可能だ。伝統の堅いディフェンスも特長で、今大会でもここまで危なげなく勝ち上がってきた。
高知中央(高知県)との準決勝でも第1クォーターからリードする展開で、前半を終えて54-31と大量リードを奪った。後半も相手に付け入る隙を与えず、最後は84-64で勝利した。
だが、井上眞一コーチからは「今日はディフェンスが最悪だった。好きなようにシュートを打たれていた」とコメント。
キャプテンの江村も「基礎的なディフェンスをもっと徹底することと、シュートは絶対に決め切るようにしたいです」と課題を口にした。
この江村とともにオフェンスの要となるのがガードの江村とセンターのアマカだ。圧倒的な強さと高さを誇るアマカは、準決勝でも28得点36リバウンドをマークしている。ただ、唯一の心配事はこのアマカのファウルトラブル。それでも、伊波美空(2年)ら控え選手も充実しており、「負けない強さ」を発揮している。23回目の優勝まで万全の状態で挑む。
一方の東京成徳大学は、初戦の精華女子(福岡)戦の117-63を皮切りに、ここまで5試合を戦って一試合平均得点は102点。ハイスコアゲームで勝利を収めてきた。
とびぬけたビッグマンはいないもののキャプテンの山田葵をはじめ、須田理恵、山口希乃夏、佐坂光咲ら主力選手たちが満遍なく得点を挙げていく。コートに立つ選手も10人近くおり、高い総合力を見せる。
「決勝戦にいけるということはうれしいですが、今までやってきた自分たちのコンセプトをもっとより高いものに練り上げて行くのが、私たちのミッションだと思っています。それをやった結果、決勝も結果が出ると思っています。気負わずにやりたいと思っています」と遠香周平コーチ。
桜花学園に対しては、「実力者が多いと思いますので、自分たちのバスケットがどれくらい通用するのか、しないのか。チャレンジだと思っています」とも語った。
地元チームで勢いもある東京成徳大。1985年以来の優勝に向け、最後の一戦に懸ける。
文=田島早苗