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「どうしたの? というぐらいオフェンスが悪く、うちのリズムではなかったので、うまく守られてしまったと思います」(東山高校・大澤徹也コーチ)
8月6日、「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の3回戦で北陸高校(福井県)と対戦した東山(京都府)は、結果的には72-58で勝利したものの、とても苦しんだ。
試合は、出だしから北陸の勢いある攻撃と得点源である瀬川琉久(3年)への執拗なマークといったハードなディフェンスに手をこまねいた。第1クォーターを終えてリードはわずか4点。第2クォーターでは点差を縮められ、29-27で前半を終了した。第3クォーターに入っても様相は変わらず。高い得点力を誇る東山だが、第3クォーターを終えて得点は48点にとどまっていた。
しかし、第4クォーターになると、瀬川が限られたチャンスのなかで積極的にシュートを放ち、得点を記録。中盤から終盤にかけて一気に北陸を引き離し、勝負を決めた。
「ディフェンスで我慢できたこと。それと、小野寺、松島(慎弥/3年)、南川(陸斗/3年)たちが、瀬川の負担を減らすようなプレーができたと思います。外のシュートが入ったこともそうですし、瀬川が冷静にキックアウトでパスを出す選択をしていたことも、チームとして成長したところだと感じます」
指揮を執る大澤コーチは、接戦をものにした要因にディフェンスと3年生3人の存在を挙げた。特に小野寺は5本の3ポイントシュートを含む19得点。シックスマンとしてチームを支えた。なかでも第4クォーター、北陸を引き離し始めた場面での3ポイントシュートは相手に大きなダメージを与えたといえるだろう。
この3ポイントシュートは、小野寺が大会前から取り組んできたことの一つ。「キックアウトから(ボールを受けての)シュートというのはゲームライクで1カ月ぐらいやってきたので、アシスタントコーチたちに感謝したいなと思います」。「今までにないぐらい準備してきたので、今日の試合で一度、それを出しきれたことは良かったです」と、自信をのぞかせた。
「流れ変えてやるという気持ち」で臨んだ試合で結果を残したことに、大澤コーチも「ローポストの守りもうまくやっていたのではないかと思います」と、小野寺の奮闘を称えた。また、「小野寺と松島、南川がうまく機能してくれたと思うので、そこは明日以降も続けていかなければいけないところですね」と、3年生たちへの期待も口にした。
「明日(準々決勝)も気を抜いていると絶対にやられてしまうし、今日みたいな出だしで点差が開いてしまったら最後まで追いつけないということにもなってしまうと思います。いつ出てもいいようにベンチで準備しながら、チームで自分たちのやるべきことをやっていけたら」と、準決勝に向けて気持ちを新たにした小野寺。自身のプレーについては、「自分は背が小さく、ミスマッチでやられてしまうことも多いです。明日も自分より背の高い人につかないといけない場面が出てくると思うので、そういった時にはチームでコミュニケーションを取って、チームで守っていきたいです」と、力強く発した。
「ハラハラはしますが、今の東山にとってはすごく必要なことなので、こういった試合を一つずつ勝ち取っていきたいです」と大澤コーチが言うように、苦しみながらもつかんだ1勝を準々決勝以降の戦いにつなげたいところ。7日の準々決勝、東山は同じく近畿エリアに属する報徳学園高校(兵庫県)と対戦する。
文=田島早苗