Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大(アルバルク東京/筑波大学4年)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介する。第10回目は明治大学で成長を続け、U24日本代表候補にも名を連ねる齋藤拓実。172センチ63キロと小柄だが、視野の広さや戦術眼、パスセンスに秀でるポイントガードだ。大学最終学年を迎え、Bリーグ入りも目指す齋藤に期待したい。
桐光学園高校(神奈川県)時代の最高成績は2年次の全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)ベスト8。当時は知る人ぞ知る存在だった齋藤拓実は明治大学に進み、その才能を世間に大きく知らしめている。4年生となった今年、5月に開催された李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会(大学生の日韓戦)の日本学生代表として自身初の代表メンバー入り。11年ぶりの優勝に大きく貢献し、続くU24日本代表候補にも選出された。
同候補には現時点でポイントガードが4人いる。ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)、生原秀将(栃木ブレックス)、田渡凌(横浜ビー・コルセアーズ)、そして齋藤。プロの年長者がそろう中で学生として唯一の選出だが、陸川章ヘッドコーチは「一番バスケットを知っている選手」と、国際大会でも活躍できるプレーヤーとして期待を掛けている。
172センチ63キロ。代表レベルでなく大学のトップ選手としても非常に小柄だが、それを補って余りあるほどの視野の広さと戦術眼を持つ。そして何よりも人を引きつけるのが、圧倒的なパスセンス。選手の位置と試合の状況を瞬時に判断し、相手の虚を突く絶妙なタイミングで豊富な種類のパスを力みなく繰りだす。パスだけで客が呼べる選手と言っていい。
ミニバスを指導していた父の影響で4歳頃からリングに向かい、練習がない日は父に連れられ夜間開放施設を転々とした。「中高時代も今でも、自分のチームの体育館が使えない時や時間が空いた時は、いろいろな体育館に行っています」。年齢や境遇、プレースタイルの異なる様々な選手とプレーすることで、1つの答えに縛られない、大人びたバスケット観や技術を磨いた部分もあるのかもしれない。
高校時代や大学1年生の頃は、プレーについて尋ねても「そんなにうまくないです」と自信なさげに話すことが多かった。しかし経験と実績が追いついてきたことで「『大学でガードと言えばやっぱり齋藤だ』と言われるようになりたい」と視線は上を向いている。もちろんBリーグ入りにも意欲的だ。
U24代表の前哨戦、第39回男子ウィリアム・ジョーンズカップは7月15日に開幕する。「自分より全然レベルの高いガードの選手たちと海外に挑戦できるなんて、滅多にない機会。そこでどういう課題を見つけられるか、ワクワクしています」と話した。
文=青木美帆
写真提供=明大スポーツ新聞部
(https://basketballking.jp/news/japan/highschool/20170510/13170.html)
No.002 保泉遼(船橋市立船橋高校3年)
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No.003 松崎裕樹(福岡第一高校2年)
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No.004 東野恒紀(厚木東高校3年)
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No.005 高原晟也(土浦日本大学高校3年)
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No.006 常田耕平(正智深谷高校3年)
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No.007 平岩玄(東海大学2年)
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No.008 盛實海翔(専修大学2年)
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No.009 半澤凌太(福島南高校3年)
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