未来のスターを探せ! BBKスカウティングレポート No.011 中村太地(法政大学2年)

Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大アルバルク東京/筑波大学4年)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介する。第11回目は特別指定選手としてBリーグデビューを飾り、U24日本代表にも選出された法政大学の中村太地だ。190センチの大型ポイントガードとして期待を寄せられているが、コンバートされたのは高校2年次の冬。自身の持ち味を最大限に発揮し、司令塔として活躍する中村の姿が待ち遠しい。

 まだまだ実力やポテンシャルは未知数。しかし、本格派大型ポイントガードになれる好素材として、多方面から大きな期待を寄せられているのが法政大学2年の中村太地だ。昨季は特別指定選手としてシーホース三河に加入し、ウィリアム・ジョーンズカップを戦う男子U24日本代表にも選出されている。

 190センチのポイントガードとしてプレーするチャンスを得たのは、当時全国屈指のビッグラインナップをそろえていた福岡大学附属大濠高校(福岡県)に進学したことが大きい。中学時代の最高成績は県大会ベスト4。他県からの誘いはなく、普通に地元山口県の強豪校に進学する予定だった中村は、父親に連れられ、誰にも広く門戸が開かれた福大大濠の練習に参加。そこでのプレーがチーム関係者の目に留まり、全国きっての名門校に進むこととなった。

 本格的にポイントガードとして起用され始めたのは、高校2年次の冬から。福大大濠の片峯聡太監督は早い段階で、中村をこの時期からポイントガードにコンバートすることを決めていたと話し、その理由を次のように説明する。

「1つ目はポイントガードとして重要な視野の確保に優れていたこと。2つ目はサイズとファンダメンタルのバランスが良く、将来性を感じたこと。さらに、日本人の大型選手としては珍しい貪欲さと負けず嫌いさを兼ね備えていたことです」

 ミニバス時代からオールラウンドなプレーを得意としていたという中村だが、ゲームを作るポイントガードは、他のポジションとはレイヤーの異なる“難しさ”を持つ。「ポイントガードは楽しかったですか?」と尋ねると、少し声のトーンを落として「苦しかったですし……難しかったですね」と振り返った。

 ワンハンドパスとツーハンドパスの使い分けといった非常に基本的なところから始まり、ターンオーバーを減らすこと、シュート力をつけること、チームの先頭に立って戦う意識を浸透させること、様々な課題と常に向き合う日々だった。「自分の思い描いたプレーができる時とできない時は何が違うのか、ビデオで繰り返し確認しましたし、練習ノートも書きました。チームメートのクセも観察するようにしていました」。

 現在も外角のシュート力やクイックネスの向上、ノーマークを作りだす「ボールムーブメント」の研究に余念がない。

 法政大やU24代表では、2番(シューティングガード)、3番(スモールフォワード)でプレーすることも多い。「1番(ポイントガード)に固執しているわけではない」と前置きながらも、「1番をやりたい気持ちは大きい」と続ける。「様々な場所でポイントガードとしてのキャリアを積み、25歳前後で開花してくれれば」という恩師の期待を背に、どのような道を進んでいくのだろうか。

文=青木美帆
写真=スポーツ法政新聞会

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