未来のスターを探せ! BBKスカウティングレポート No.012 角野亮伍(サザンニューハンプシャー大学1年)

Bリーグ開幕に伴って注目度が増す男子バスケットボール界。2019年にはFIBAワールドカップ、翌2020年には東京オリンピックが控え、より一層の発展へ期待が高まるばかりだ。日本バスケットボール協会やBリーグは両大会、さらにその先を見据えて選手の強化に力を入れている。すでにアメリカの大学で活躍する渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)や八村塁(ゴンザガ大学)、日本代表に名を連ねる馬場雄大アルバルク東京/筑波大学4年)などが台頭しており、それに続く超逸材、さらに可能性を秘めた“原石”もまだまだいる。ここでは『バスケットボールキング』推薦のスター候補生を紹介する。第12回目は、NCAAディビジョンⅡのサザンニューハンプシャー大学に在籍し、U24日本代表の1人でもある角野亮伍。高校時代から名を馳せたオフェンスの名手が、“エースである自分”を国内外で体現できるか注目だ。

 藤枝明誠高校(静岡県)のスーパーエースとして高校界を沸かせた角野亮伍は、この夏、U24日本代表チームの一員として第39回ウィリアム・ジョーンズカップに出場した。ジャパンのユニフォームに袖を通すのは、実に5年ぶりとなる。

 2012年、角野は史上最年少の15歳でフル代表候補に選出された。190センチ近いサイズと抜群のアウトサイドシュートの嗅覚を備え、将来を大いに嘱望されていた。

 全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)で79点を叩きだした藤井祐眞川崎ブレイブサンダース)を輩出し、「オフェンス第一主義」で知られた当時の藤枝明誠においても、持ち前の攻撃力をいかんなく発揮。ディフェンスが何人寄ろうが、どれだけのプレッシャーがかかろうが、ちょっとした揺さぶりでできた隙を逃さずシュートを決め、30点オーバーも珍しいことではない。そのクラッチシューターぶりは川村卓也横浜ビー・コルセアーズ)に重なる部分もある。

 高校3年次の秋、「東京五輪に向けて、高校を卒業してからの頑張りが一番大切」と話していた角野は、渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大学)の助けを受けて、彼の母校でもあるアメリカのプレップスクール(※)セント・トーマスモアスクールに進学。翌年NCAAディビジョンⅡのサザンニューハンプシャー大学に入学し、1年目の昨季は控え選手として平均8分弱のプレータイムを得た。

「日本ではジャンプシュートが多かったけど、ドライブインが増えました。あとは、ボールを持たずにノーマークを作る動きも増えたと思います。少しは得点のバリエーションは増えたかなと」(角野)

 アメリカに渡るまで、角野はチームの主力として試合に出ずっぱりの日々を送っていた。しかし、アメリカやU24日本代表では、控えとしてわずかなチャンスで結果を出すことが求められている。「順応するのが遅いのが、今一番の課題」と、苦い顔で話す。

 高校時代も今も、理想は常に「エース」である自分だ。

「自分が考えるエースは、シュートを決めることはもちろん、アシストやリバウンドなどで常にボールに絡んで、すべてのいいプレーの起点になる選手です。最終的にはチームを勝たせられる選手になることが目標なんですけど、常に状況を見て、自分が行くべきところ、チームメートを活かすべきところを常に考えて、チームの中心となれるような選手になりたいです」

 9月からはアメリカでの2シーズン目の戦いが始まる。上位校への転校も視野に入れている角野にとっては正念場の1年となりそうだ。

※プレップスクール…難関大に進学する上で利用する、いわゆる「予備校」。近年日本からのバスケ留学生は、プレップスクール(1年)で学力とバスケットの腕を磨いた上で、奨学金を利用して4年制大学に進むという方式が一般的になっている。

文=青木美帆

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