2023.07.21

サマーキャンプではベンチからアドバイスを送った富士通の町田瑠唯…「早くみなさんの前でプレーができるように」

2015年以来のサマーキャンプで取材に応じた富士通の町田 [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「いつ以来ですかね? 思い出せないです(笑)」

 本人が記憶にないくらい、久しぶりにWリーグのサマーキャンプに参加した富士通レッドウェーブの町田瑠唯。今年は日本代表候補選手として5月から代表活動をしていたが、代表合宿中のケガにより「FIBA女子アジアカップ2023」(6月25日〜7月2日)に出場することはなく、以降は富士通に戻って加療にあたっていた。そのため、サマーキャンプでも試合には出場せず、ベンチからチームメートの戦いを見守った。

 サマーキャンプの時期は例年、日本代表活動と重なることが多い。毎年日本代表に名を連ね、昨年はWNBAに参戦中でもあった町田が、サマーキャンプの会場にいることは近年では見ない光景だった。サマーキャンプ参加は実に2015年以来となる。

「全チームが集まるし、隣のコートでも試合をやっているというのはサマキャンしかないので、すごく懐かしいというか。『あ、サマキャンだな』という感じがしますね」と、町田も久しぶりの雰囲気に笑顔を見せる。

 そのサマーキャンプでは後輩たちに積極的にアドバイスを送る姿が多く見られ、町田本人も「この時期からチームのみんなとずっと一緒にいるというのは久々で、その分、コミュニケーションを取りながら若い選手に教えることができるのはプラスだと思っています」と、言う。また、「もちろん、自分自身がバスケットをできないというのはマイナスではあるのですが、今のチーム状況をちゃんと自分の目で見て把握できるというのは、良いことではあると思うので、それをプラスにしなくてはいけないと思っています」とも語った。

 サマーキャンプには主軸を担うベテランの宮澤夕貴もコートに入った(3戦は不出場)。女子アジアカップを戦い終えた日本代表キャプテンの林咲希も試合には出なかったものの、全3日間、チームと行動をともにした。

「今までのサマキャンは日本代表が不在で、若い選手の経験や育てる時期だったと思うのですが、今年はアース(宮澤)もいてメンバーがそろっているので、伝えることも一つ上のレベルのことを伝えることになっています」と、町田。

(右から)林、宮澤とともにベンチから試合を見守った町田 [写真]=Wリーグ


 チームでいえば、先に挙げた女子日本代表の林が今シーズンより新加入。「すごくうれしいです。富士通に『ザ・シューター』という選手はあまりいなかったので、キキ(林)が入ってくれたのは大きいですね」(町田)と、声を弾ませる。東京オリンピックではともに戦い銀メダルを獲得した仲。そのときも息の合ったプレーを見せていたが、「個人としてもすごく相性がいいし、やりやすいと選手です。(チームにも)いい風を吹かしてくれそうな気はしています」と、言う。なお、林とのプレーが楽しみだからこそ、「早く一緒にやりたいんですけどねぇ」と、体を思い切り動かせないジレンマも抱えているようだ。

 今は復帰に向けて走ることやウエイトトレーニングなど励んでいる最中。バスケットでは対人練習はまだできていない状況だが、「開幕には間に合います」という。

 バスケット人生の中で、こんなに長く休んだことはないという町田。今回は、これまでケガをしたことのない手のケガということもあり、焦りがないわけではないというが、「戻ってきたときには誰よりも走れるぐらいの体力をつけて、パワーアップして帰ってきます」と、頼もしい言葉も聞かれた。

 そして最後には、応援する人たちに向けてこのようなメッセージを残してくれた。「自分の今やれることをしっかりやっているし、私自身は本当に元気です。早くみなさんの前でプレーができるように頑張ります」

取材・文=田島早苗

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