2011年の夏、長崎県大村市で2012年ロンドンオリンピックの予選を兼ねた女子アジア選手権(現FIBA女子アジアカップ)が開催された。当時17歳で高校3年生だった長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)は、この大会で日本代表の公式戦デビューを飾り、アジアの強豪たちを相手に臆することなく戦った。
あれから約8年、2016年リオデジャネイロ・オリンピックや2度の女子ワールドカップといった世界大会に出場し、2年前の女子アジアカップでは3連覇に貢献。同大会では大会ベスト5に選ばれるなど、今や日本の主軸を担うまでの存在となった長岡。それでも、昨年の『FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018』では、目標であったメダル獲得を逃し9位。長岡自身も納得のいくパフォーマンスを発揮できず、悔しさが募った。その悔しさを抱えながら再起を誓う今年。25歳になった長岡は、それまでとは少し異なる思いで代表活動に臨んでいる。
インタビュー・写真・文=田島早苗
――今年度の代表活動は第3次合宿に入りました。ここまでどのように取り組んできましたか?
長岡 今年の取り組み方は今までとは少し違うと思っています。私自身、ベテランや中堅と言われる歳になってきているし、代表での経験も多く積ませてもらっている。今年のチームには、日本代表に入ってきたばかりの若手選手たちがいるので、その選手たちにどれだけ(トム・ホーバス)ヘッドコーチの求めるバスケットを伝えることができるか、それを考えながら臨んでいます。ただ、練習でもまだヘッドコーチが直接指摘する場面が多いので、まずは選手たちでいいプレーや悪いプレーを言い合えるように。もちろん、昨年とは若干バスケットも変わっているので、私自身も新たに勉強しないといけないことはあるのですが、昨年に続いて変わらないこともたくさんあるので、そこを中心に若手選手に伝えていきたいです。
――ホーバスHCも、そういったことをキャリアのある選手に求めていると言っていました。
長岡 何度も日本代表を経験させてもらっていますが、代表の在り方というか、例えばシンさん(大神雄子氏)やリュウさん(吉田亜沙美氏)のように、チームにはピシッと締める選手がいました。ただ、今年はそれをキャプテンのリツさん(髙田真希/デンソーアイリス)だけに任せるのではなく、アース(宮澤夕貴/JX-ENEOSサンフラワーズ)など経験を重ねてきている選手がチームには何人もいるので、私も含め、みんなで引っ張っていきたいと思っています。
――プレーで意識していることや変化したことなどはありますか?
長岡 特に変化させていることはないのですが、昨年のワールドカップでは、アースとリツさんにかかる負担が大きかったと思うので、今年は私も一緒になって引っ張っていけるようにしたいと思っています。3番も4番もできるというプレースタイルは強みだし、期待もされていると思うので、それに応えられるように、役割を全うしたいですね。
――現在の日本代表には、長岡選手の爆発力が必要です。
長岡 私はあまりこのチームにはいないタイプの選手だと思っていて、ポジションに応じてプレーができるということはプラスだと感じています。今、それを最大限に発揮できる場を与えてもらっているので、使わない手はない。(合宿などを通じて)いろんなことを勉強していきながら、柔軟な対応ができるように、そして結果を残していきたいです。