2月8、9日、キッコーマンアリーナ(流山市民総合体育館)では「車いすバスケットボール女子日本代表国際親善試合」が行われ、日本は昨年の世界選手権覇者のオランダと対戦した。結果は51-61、43-65と連敗。世界トップレベルとの差に、厳しい現実を突きつけられた形となった。
スタートで世界一の力に圧倒された日本
昨年の世界選手権、グループリーグ、決勝トーナメントあわせて8戦全勝で世界一の座にのぼりつめたオランダ。翻って、その世界選手権に出場することがかなわなかった日本。両チームの差は、スタートから明確となった。
高さはもちろん、スピード、高いチェアスキルをも有し、攻防にわたって連携プレーにも長けたオランダ。日本はその猛攻を止めることができず、そして好守備に対して攻めあぐねた。その結果、両日ともに試合開始から約3分後に電光掲示板に映し出されたのは「0-9」という数字だった。
もちろん、日本もそのまま“やられっぱなし”で終わったわけではない。第1戦では第3クォーターで20点差をつけられたが、第4クォーターでは日本のプレスディフェンスが効き、流れを引き寄せて10点差にまで追い上げた。第2戦では、随所に連携のとれたゾーンディフェンスでオランダを苦しめるシーンも見てとれ、前半は1ケタ差と善戦してみせた。
しかし、やはり“世界”との差は小さくはなかった。そして、1年半後に迫った“本番”に向け、克服すべき課題は山積している。そのことに直面した2試合だった。
最も気になったのは“連携”という点だ。オランダはしっかりと両サイドで2on2の形を作り、そこからオフェンスではシュートチャンスを生み出し、ディフェンスでは日本の攻撃の芽を摘んでいた。
一方、日本は攻防にわたって2on2の形が整わないことも少なくなく、さらにディフェンスにおいても、プレスにいくのか、自陣に下がるのか、その判断に時折“迷い”が見えるなど、チームの連携がとれていない時間帯が少なくなかった。
次戦で示したい連携のとれた日本の“形”
しかし裏を返せば、連携が取れていたシーンでは、勝機を見出すポイントの一つとなる確かな“光”があった。例えばオフェンスでは、片方にパワーサイドを作り、そこでボールを展開する間に、逆サイドでフリーで待っていた柳本あまねがミドルシュートを決めたシーン。あるいは、ボールに目がいっているその裏をついて、財満いずみがカットインしてシュートを決めたシーンだ。
トップでボールを展開しながら隙あらばミドルシュートを決めた萩野真世も加え、ミドルポインター、ローポインターのオフェンス参加は、高さで劣る日本にとって大きな武器となるはずだ。得点源の数が増えれば、それだけハイポインターへのマークも外しやすくなるからだ。
女子日本代表は、2月15~17日には丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で「2019国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(大阪カップ)に臨む。オランダに加え、昨年の世界選手権準優勝のイギリス、アジア・オセアニアの強敵オーストラリアと対戦する。
「いつまでも“いい経験”とは言っていられない。大阪カップではしっかりと勝負ということを意識して臨みたい」とキャプテンの藤井郁美。世界の強豪が揃うハイレベルなステージで、日本はどんな戦いを見せるのか。結果はもちろん、連携のとれた日本の“形”を示すことが期待される。
文・写真=斎藤寿子