6日間にわたって行われた「女子U25世界車いすバスケットボール選手権大会」(タイ)。大会最終日の28日、日本はイギリスとの3位決定戦に臨んだ。日本は初のメダル獲得を目指したが、スタートからイギリスが試合巧者ぶりを発揮、追う展開となった日本は最後まであきらめない姿勢を見せたものの逆転することは叶わず、31-63で敗れた。決勝ではアメリカが62-25でオーストラリアを破り、2大会ぶりの優勝を飾った。日本はメダルには届かなかったものの、過去最高の4位。女子U25の新たな歴史の1ページが刻まれた大会となった。
初戦とは違うチームだった実力発揮のイギリス
「世界のトップ3になって歴史を変える」
それが今大会、日本が掲げた目標だった。
シニアを含めて、女子日本代表が世界選手権という舞台でメダルを獲得したことは、過去に一度もない。だからこそ、自分たちがその”第一号”となりたいと考えていた。
その目標が、もうすぐ目の前にまできていた。
しかし、世界選手権でのメダル獲得は、やはりそうたやすいものではなかった。あと1勝することが、どれだけ難しいことかを突き付けられた試合となった。
前回大会覇者のプライドを持って、この試合に臨んできたであろうイギリスは、予選プール初戦とは違うチームとなって日本の目の前に現れた。特にA代表でも主力として活躍するジョイ・ハゼルデンが16本中2本のみのシュート確率だった初戦とは一転、実力を発揮。チーム最多タイとなる14得点を挙げ、さらに司令塔としても16アシストと、まさに大黒柱としてチームをけん引した。
最後まで貫き通したあきらめない姿勢
一方、日本はイギリスの固い守備に苦戦した。特に第1クォーターの終盤から敷いてきたプレスにうまく対応することができず、24秒バイオレーションを取られるなど、なかなかシュートにまでもっていくことができなかった。
それでも数少ないチャンスに、碓井琴音や柳本あまねがミドルシュートを決め、チームを鼓舞した。さらにローポインターの財満いずみ、奥川仁渚にも得点が生まれるなど、果敢にゴールを狙う姿勢を崩さなかった。
しかし、攻守にわたってプレーが安定していたこの日のイギリスは、一度も崩れることがなく、日本に付け入る隙を与えなかった。
結果は31-63。スコアだけを見れば、初戦よりも点差が広がってしまった。だが、内容からすればミスを怖がり、消極的なプレーも目立った初戦よりはるかに日本らしさが随所に出ていた試合だった。その日本をイギリスが上回っていたという結果だった。
目標としてきた「世界のトップ3」になることはできなかった。それでも初めてベスト4に進出し、メダル争いをするステージに上り詰めたという事実は、新たに刻まれた歴史の1ページとなったことは間違いない。そして、あと一歩というところでの敗戦が、若い選手たちにもたらすものの大きさは計り知れない。
この日選手たちが流した涙は、今後の大きな糧となるはずだ。
文・写真=斎藤寿子