9月1日、車いすバスケットボール国際強化試合「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP」(武蔵野の森総合スポーツプラザ)の3位決定戦が行われ、及川晋平ヘッドコーチ率いる男子日本代表は、東アジア最大のライバル韓国を50-36で破り、大会最終日を勝利で終えた。決勝ではイランがオーストラリアに84-58で快勝し優勝。日本は全4試合でチーム最多タイの47得点を挙げたエースの香西宏昭がオールスター5に輝いた。
文・写真=斎藤寿子
イラン戦でのベンチメンバーが悔しさ晴らす活躍
3カ月後のアジア・オセアニア・チャンピオンシップス(AOZ)にいい形でつなげるためにも、必ず勝利で終えることが求められた及川ジャパン。開始早々、エース香西が3試合連続でファースト・ショットを決めて先制し、好スタートを切った。
第1クォーターの終盤には、前日のイラン戦にコートに立つことができなかった岩井孝義や土子大輔にも得点が生まれ、日本ベンチは歓喜に包まれた。
これで波に乗るかと思われたが、第2クォーターは日本のシュートがリングに嫌われる時間が多く、フィールドゴール成功率はわずか23%にとどまる。なかなか主導権を握り切ることができない日本は、23-20と、わずか3点のリードで試合を折り返した。
そんな中、チームに勢いをもたらしたのは秋田啓だった。秋田もまた、前日のイラン戦では40分間ベンチを温め続けた一人。2017年に代表入りして以降、初めての経験だったと言い、「ああいう試合で信頼して使ってもらえるような選手では、まだまだないということ。それが自分の現在地だということを思い知った」と語る。その悔しい思いを晴らすかのうように第1クォーターの序盤に連続得点を奪うと、さらに第3クォーターでもインサイドとアウトサイドの両方から立て続けにシュートを決めてみせた。秋田はこの試合、藤本怜央、古澤拓也に並ぶチーム最多タイの10得点をマークし、しっかりと存在感をアピールした。
秋田の活躍もあって、第3クォーターで6点のリードを奪った日本は、第4クォーターでは、この試合一番のフィールドゴール成功率で得点を重ねていく。そして最後は古澤が2本のミドルシュートを決め、今大会を締めくくった。
「固さのあるゲーム展開になってはしまいましたが、それでも守備がしっかりと機能していたことは良かったと思います。ただすべての面において、まだまだ強化が必要。明日からまた一歩一歩強くなっていきたいと思います」と及川HC。
3カ月後には、東京パラリンピックの予選を兼ねたAOZがタイで行われる。日本はすでに開催国枠での出場が決まっているが、東京パラに向けた最後の公式戦として重要な大会だ。AOZでは、世界3位のオーストラリア、同4位のイランに勝って優勝し、アジア王者として世界最高峰の舞台に挑む構えだ。