世界トップクラスのコーチング理論を吸収。サマースーパー8でコーチクリニック開催

コーチクリニックに参加した勝浦哲史氏(写真右)と西柳信希氏

 フィリピン、中国、韓国、台湾、そして日本の各リーグの底上げを図るためにマカオで開催されたアジアリーグ「サマースーパー8」では、東アジアのコーチを対象としたクリニックも行われた。講師にはブライアン・コージャン氏、ブルース・パーマー氏というオーストラリア、中国などで実績を持つコーチ陣に加え、現在、横浜ビー・コルセアーズのヘッドコーチを務めるトム・ウィスマン氏、さらに元フィリピン代表の伝説的なガードでであり、PBA(フィリピプロリーグ)サンミゲル・アラブ・フィリピナスのヘッドコーチを務めるジミー・アラパグ氏と豪華なメンバーであり、今回初めて行われた試みはFIBA(国際バスケットボール連盟)の公認を得ている。

 コーチクリニックへの参加者は総勢58名。内訳は中国から25名、マカオから16名、日本、台湾、香港から各4名、モルジブから3名、そしてフィリピンから2名となっている。ここでは日本から参加の2人、勝浦哲史氏と西柳信希氏へのショートインタビューをお伝えする。

日本に浸透していない理論をチームに還元したい

講師を務めるトム・ウィスマン氏とそれに耳を傾ける参加者たち

勝浦氏は現在、母校のストレングスコーチをしながらコーチ学を勉強中。将来はジュニア世代の育成に携わりたいと考えており、そのため通信で教職課程履修し、高校の教諭になる予定だという。

――率直にクリニックを受けた感想を教えてください。
勝浦
「とてもためになります。日本ではまだ広がっていないというか、知り得てないディフェンスのメソッドであったり、概念や考え方を教えてもらっています。想像はしていたのですが、世界では今このような考えていることがわかったのは収穫です。

――具体的にどのようなことですか?
勝浦
 今日はウィスマンコーチにマンツーマンディフェンスについて講習を受けました。よく最近言われてるディナイに関して、高校生はよく裏を取られてしまうのですが、その原因がよくわかりました。間違ったポジションにいるからなのです。ウィスマンコートに教わった方法をとれば、ボールマンとマークマンを自分の視界に入れることができるので、よりレベルの高いディナイディフェンスができるようになることがわかりました。

――これまでの考え方と違うのですか?
勝浦
 というよりも、形だけマネして、大事な部分を理解していないということでしょうか。このディフェンスの方法がいい例で、日本ではまだ浸透していないこともあるのかもしれません。こういうところをしっかりと吸収して、自分が教えているチームに還元できればと思っています。

肌で感じたことをコーチをやっていく中で生かしていきたい

九州産業大学で学生コーチを務める西柳氏。高校時代の恩師の影響でバスケの指導者の道を志したという。今回は授業のある期間中ではあるものの、自費でクリニックに参加。将来はBリーグのヘッドコーチを目指している。

――クリニックを受けた感想を教えてください。
西柳
 それぞれのコーチに教わったことが、とても細かいところまでこだわったものでした。例えば3番ポジションのディフェンスから2番に変わって、最後は1番を守るのですがステップの方法や足の動かし方が違うことなどを教わりました。また、3番ポジションのローテーションの仕方、その他、1対1、ゾーンディフェンスなども細かく伝えていたので、教わる立場だったらわかりやすいだろうなあと想像もしていました。

――理論的に教えるわけですか?
西柳
 今まで私が学んできたバスケットにとても近いものはあったんですが、やっぱそれをどうやって選手に伝えるかっていうのがやっぱ難しいところで。それの伝え方やそれのデモンストレーションの仕方など、改めて肌で感じることができました。
――収穫の多いクリニックですね。
西柳
 アジアのコーチたちが今回集まっていますが、皆さんバスケに対する熱い情熱を持っていることが分かりました。また、新たに学んだことも多くあるので、それらをこれからのコーチをやってく中で生かしていきたいと思っています。

コーチクリニックの最後には講師と参加者、モデル役を務めた地元の高校生と集合写真に納まる

文・写真=入江美紀雄

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