直近3シーズンで強豪チームが記録を更新中
4月1日(現地時間31日)、NBAは全30チームにおける3ポイントシュート成功数の合計が、2万3,821本に達したことを発表した。
これまでのシーズンで、最も多い成功数を記録したのは、昨季の2万3,748本。シーズン終了まで約2週間というこの段階で、記録を更新したこととなる。
さらに、4月2日(同1日)に行われたヒューストン・ロケッツとサンアントニオ・スパーズの試合で、ロケッツは7本の3ポイントシュートを決めた。これにより、ロケッツは今季の3ポイントシュート成功数を1,184本とし、1チームにおけるシーズン最多成功数の新記録を樹立した。
ちなみに、歴代2位は昨季のロケッツ(1,181本)、歴代3位は一昨季のゴールデンステート・ウォリアーズ(1,077本)、歴代4位には昨季のクリーブランド・キャバリアーズ(1,067本)がランクイン。
つまり、直近3シーズンで、次々と3ポイントシュートに関する数多くの記録が生まれていることとなる。
3ポイント多用により平均得点も上昇を続ける
1979-80シーズンからNBAに導入された3ポイントシュートだが、80年代から93-94シーズンまでは、リーグの平均試投数は10本にも満たなかった。フォワードのラリー・バード(元ボストン・セルティックス)やセンターのビル・レインビア(元デトロイト・ピストンズほか)といった大柄な選手が放っていたとはいえ、アウトサイドでプレーするガードの選手が放つことが圧倒的に多かった。86-87シーズンまでは、シーズンをとおして100本以上決めた選手が皆無だったように、ゲームにおいて、3ポイントシュートは“スパイス”の1つにすぎなかったのである。
その後、94-95シーズンから一時的に3ポイントラインを短縮したこともあり、ガードだけでなくフォワード、センターが積極的に放つようになった。このシーズン以降、リーグ平均3ポイントシュート試投数は2ケタを記録し続けている。このあたりから、ロバート・オーリー(元ロケッツほか)やクリフォード・ロビンソン(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)のように、パワーフォワードでも3ポイントシュートを積極的に放つ“ストレッチ4”が登場。
すると2012-13シーズン、リーグ平均試投数が初めて20本を突破。以降、毎年この数字は上昇を続けており、今季は平均28.9本(現地時間3月31日終了時点)まで達している。さらに、今季は平均成功数で10.5本と、史上初の2ケタ本数を記録中だ。
今ではフォワードの選手が3ポイントシュートを放つのは当然というイメージさえある。98年にデビューしたダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス)のように、213センチ以上の7フッターが3ポイントを決める場面も数多く見られる。そのため、これまで3ポイントシュートを放ったことがなかったような選手でさえ、チームの戦術により放つこととなったケースもある。
3ポイントシュート多用によって、近年はリーグの平均得点も上昇。12-13シーズンの平均98.1得点から、今季は106.3得点と、約8得点も増えている。この大きな要因が、3ポイントシュートの増加であることは、疑いようのない事実。3ポイントシュートを有効活用したオフェンスを駆使することで、ロケッツやウォリアーズがリーグトップレベルの成績を残している。
これらのチームがリーグをけん引していく限り、今後もこの流れは続いていくことだろう。