わずか3季で解散してしまった“シャック&ペニー”
1990年代中盤。オーランド・マジックは、NBAで最も人気かつ魅力的なチームとして知られていた。
当時マジックをけん引していたのは、シャックことシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)とアンファニー“ペニー”ハーダウェイ(元マジックほか)。
216センチ147キロの巨漢センター、シャックはインサイドを支配し、201センチ88キロの長身ポイントガード、ペニーはペリメーターで得点にアシストにと縦横無尽の働きで、シャックと見事なコンビネーションを見せていた。
93-94シーズンにペニーが加入し、デュオを結成すると、翌94-95シーズンにはマジックをイースタン・カンファレンストップの57勝25敗、95-96シーズンはチーム史上最多となるシーズン60勝22敗へと導く。
だが、95年のプレーオフはNBAファイナルに進出するも、ヒューストン・ロケッツにスウィープ負け。96年のプレーオフではカンファレンス・ファイナルでシカゴ・ブルズにスウィープを食らい、96年夏にシャックはレイカーズへと移籍。NBA史上最高級のダイナミック・デュオになる可能性を秘めていたものの、このデュオはわずか3シーズンで終わりを迎えることとなった。
シャックとペニーの周囲には、91年から93年までブルズで3連覇を成し遂げた主力のホーレス・グラント(元ブルズほか)をはじめ、ニック・アンダーソン、デニス・スコット(共に元マジックほか)といった有能な選手がいたものの、優勝することはなかった。
史上最高級となる可能性を秘めていた魅力的なデュオ
4月5日(現地時間4日)、現地メディア『CBS Sports』から「もしあなたがマジックに残っていたら、どうなっていたと思いますか?」という質問を受けたシャックは、こう答えている。
「俺たちは、自分たちのことを次世代のマジック&カリームだったと考えていた。一緒にプレーしていた時は最高だった。もし俺たちが共にプレーしていたら、間違いなく一度、いやたぶん二度は優勝していただろう」。
マジックとは、206センチの大型ポイントガード、アービン“マジック”ジョンソン(元レイカーズ)。カリームとは、“スカイフック”で数々のNBA記録を残したセンター、カリーム・アブドゥル・ジャバー(元レイカーズほか)のこと。マジックはキャリア平均11.19アシストで歴代トップを誇るNBA史上屈指の司令塔。カリームは通算3万8,387得点でNBA史上トップに君臨する伝説のビッグマンの1人。シャックとペニーについて、マジック&カリームと比較する現地メディアは実際に複数いたため、シャックの言葉は決しておおげさではない。
結局、シャックはレイカーズで3度、マイアミ・ヒートで1度優勝。ペニーは優勝を経験することなくキャリアを終えたのだが、両者がマジックでプレーしていれば、優勝することができたと思う人は多いはず。
ただそれよりも、両者がコート上で見せていたプレーの数々が華やかだったという印象も、根強く残っているのではないだろうか。
もし優勝できなかったとしても、せめてもう少し、“シャック&ペニー”を見ていたかった——。それこそが、世界中のNBAファンの思いなのかもしれない。