第3クォーターにリズムをつかんだウォリアーズ
5月15日(現地時間14日)、ヒューストン・ロケッツとゴールデンステート・ウォリアーズによるウエスタン・カンファレンス・ファイナル初戦が、ロケッツのホーム、トヨタ・センターで行われた。
ロケッツはジェームズ・ハーデン、クリス・ポール、トレバー・アリーザ、PJ・タッカー、クリント・カペラという布陣、ウォリアーズはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、アンドレ・イグダーラ、ケビン・デュラント、ドレイモンド・グリーンで構成される“死のラインナップ”という必勝態勢で臨んだ。
ウォリアーズは高さとクイックネスを兼備するデュラントをハーデンにつけたが、挨拶代わりに3ポインターを決められると、その後もドライブや長距離砲が続き、チーム最初の9得点をハーデンが挙げる。カペラもデュラントが放ったウォリアーズ最初のショットをブロックするなど、攻防両面で主軸が躍動。
スイッチでマッチアップを代えてハーデンやポールの1対1を中心に攻め立てるロケッツに対し、ウォリアーズはトンプソンやカリーの3ポインターなどで応戦していく。するとロケッツはエリック・ゴードン、ハーデンの3ポイントシュート、カペラのダンクが続き、残り5分14秒でロケッツが21-12と9点リードし、ウォリアーズがタイムアウト。
ウォリアーズはデュラント、ニック・ヤングの3ポインターなどで追撃すると、ロケッツはポールがジャンパーで得点を重ね、ジェラルド・グリーンの長距離砲で応戦。30-29とロケッツ1点リードで最初の12分間を終える。
第2クォーター序盤。ロケッツはポールが3ポインターを決めるも、ウォリアーズはベテランのデイビッド・ウェストとショーン・リビングストンが活躍。ヤングの3ポインターも決まり、逆転に成功するも、ロケッツは負けじとゴードンやポールが入れ返し、ゲームは点の取り合いに。
そこで抜け出したのがウォリアーズ。オフェンスが停滞するロケッツを尻目に、デュラントが難易度の高いショットを次々と決め、カリーも隙を見つけてリング下に潜り込んでレイアップを成功させ、最大7点のリードを奪う。
その後ロケッツは、カペラがカリーからブロックとスティールを奪うなどハッスルプレーでチームを盛り立て、ハーデンのロブパスをアリウープダンクでたたき込み、残り1分51秒で49-49とし、ウォリアーズに追いつく。
前半終盤に入ると、ハーデンが3ポインターを皮切りにドライブからダンク、ファストブレークからもボースハンドダンクを決めてロケッツがリード。しかしウォリアーズはトンプソンのジャンパー、ヤングの3ポインターで追いつき、56-56で前半を終える。
第3クォーター。ウォリアーズはデュラントを中心に得点を重ねていき、リードを広げていく。ロケッツが4分以上も無得点と苦しむ中、最大13点のリードを奪う。
しかし、ロケッツはゴードンやグリーンの3ポイント攻勢で追い上げる。このクォーター終盤には5点差まで近づいたものの、デュラントのフリースロー2本が決まり、87-80のウォリアーズ7点リードで最終クォーターへ。
第4クォーター。トンプソンのショットでウォリアーズが引き離しにかかるも、ロケッツはゴードンが踏ん張り、何とか引き離されずに応戦。中盤に入り、デュラントがハーデンの前から鮮やかな3ポインターを決めてウォリアーズが再び2ケタリード。ハーデンもレイアップなどで対抗するも、点差はなかなか縮まらず。
リム付近でロケッツのプレーヤーがイージーなショットを放とうとするも、ウォリアーズはグリーンやデュラントがブロックを浴びせるなど絶妙なカバーで抑え込み、ディフェンス面で優位に立つ。
残り約4分でロケッツが7点差に詰め寄った場面。カリーが3ポインターをミスし、リバウンド争いでトンプソンにボールが当たり、ハーフコートを超えてボールを保持したことで、ロケッツボールになるかと思われた。しかしレフェリーのコールはなく、試合はそのまま続行。トンプソンがノーマークとなり、当然とばかりに3ポイントシュートを沈めて10点差となったことが、決定打となった。
最終スコアは119-106。ウォリアーズがアウェーでロケッツを下し、シリーズ先勝を果たした。
シリーズ初戦を制し、昨季王者は視界良好
ウォリアーズではデュラントが37得点、トンプソンが6本の長距離砲を含む28得点、カリーが18得点6リバウンド8アシスト、イグダーラが11得点、グリーンが9リバウンド9アシスト2スティール2ブロックを残した。
ベンチからはヤングが3本の3ポイントシュートを決めて9得点、リビングストンが7得点5リバウンド。チーム全体でフィールドゴール成功率52.5パーセントという高確率で、3ポイントシュート成功率も39.4パーセントと上々の数字をマークしている。
敗れたロケッツでは、ハーデンがゲームハイとなる41得点に7アシスト、ポールが23得点11リバウンド、カペラが12得点2ブロック、ゴードンがベンチから15得点を挙げるも、デュラントとトンプソンに要所でショットを決められてしまい、ホームで勝利を飾ることができなかった。
試合後の会見で、ハーデンはデュラントに対して「彼はこれまでもずっと(スコアラーとして)活躍してきた。彼は誰が相手であろうとマッチアップ相手の上からショットを放つことができるんだ」と語り、ポールは「(今日の試合で自分たちに)プレッシャーがかかっていたとは思わない。ただ、ディフェンス面で、俺たちはもっと強化していかなければならない」と口にし、翌戦への課題とした。
「彼(デュラント)が今日のような当たりを見せたら、アンストッパブルだ。リーグにいるどんな選手がついていようと、関係なく得点してしまう。多分、ベストじゃないかな」とトンプソン。このシリーズについても「俺たちはこの機会を1年中待っていたんだ。毎分毎秒、俺たちは楽しんでいるよ」と、王者としての確たる自信をのぞかせた。
ウォリアーズがアウェーでシリーズに先勝し、「俺たちが今、ピークにあるのかどうか、俺にはわからない。もっと良くなることができるかもしれないと俺は思ってる」とデュラントが語っていることから、王者は視界良好と言っていい。17日(同16日)に行われる第2戦は、ロケッツにとって、早くも“マストウィン”ゲームとなるかもしれない。
WOWOW NBA解説 小野秀二が語る「NBAバスケットボール プレーオフ ウエスタン・カンファレンス・ファイナル ウォリアーズ vs.ロケッツ 第1戦」
「ウォリアーズは初めてのカンファレンス・ファイナルでのアウェー初戦ということで、気合が入っているように見えました。(それが空回りしているようにも…。)それはドレイモンド・グリーンが試合序盤に宣告されたテクニカルファウルにも出ていましたね。試合最初にジェームズ・ハーデンがフリーで3ポイントシュートを決めたシーンなどは、ウォリアーズ側のディフェンスのスイッチミスでフリーになったため、ハーデン本人も困惑する程のフリーを生み出してしまいました。ただ、試合が進むにつれ、ウォリアーズの凄さというものが出てきましたね。ほぼ同じメンバーで過去3年間、ファイナルに出ているので、その中で生まれたチームケミストリーの高さというものが表れていると本当に感じました。誰かが欠けた時にそこを補う力、というものがあると思います。今シリーズの行方は4勝2敗でウォリアーズ…でしょうか!? ロケッツにとって、ホームの第2戦は絶対に落とせないので見ものですね」。