2000年代ベストシリーズ~レイカーズとキングスによる大熱戦~/プレーオフ特別企画28

試合終盤に激しいマッチアップを見せたキングスのビビー(左)とレイカーズのコービー(右)[写真]=Getty Images

4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。

<プレーオフ特別企画28>
2000年代ベストシリーズ
2002年ウエスタン・カンファレンス・ファイナル
ロサンゼルス・レイカーズ×サクラメント・キングス

3連覇を狙うレイカーズの前に現れた最強の挑戦者

 01年のプレーオフで、レイカーズは15勝1敗という当時史上最高勝率93.8パーセントで2連覇を達成。翌01-02シーズン、レイカーズはウエスト3位となる58勝24敗でレギュラーシーズンを終え、3連覇を懸けたプレーオフに臨んだ。

 当時リーグ最強のデュオとして相手チームから恐れられたシャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)とコービー・ブライアント(元レイカーズ)の周囲に、ロバート・オーリー、リック・フォックス、デレック・フィッシャー(いずれも元レイカーズほか)といった有能なロールプレーヤーたちを携え、万全と言える体制を敷いていた。

レイカーズはシャック(左)とコービー(右)という2大スーパースターを中心に抜群の強さを誇った[写真]=Getty Images

 レイカーズは3連覇に向けて、プレーオフでも順調なスタートを切る。1回戦ではポートランド・トレイルブレイザーズをスウィープ、カンファレンス・セミファイナルではサンアントニオ・スパーズを4勝1敗で下し、意気揚々とカンファレンス・ファイナルへ勝ち進んだ。

 この年、レイカーズの前に立ちはだかったのがキングスだ。98年オフに加入した万能型フォワード、クリス・ウェバー(元キングスほか)を中心に、着実に戦力増強に成功。00年には1回戦でレイカーズ相手に2勝3敗と奮闘。しかし、01年はウエスト準決勝でレイカーズにスウィープ負けを食らったことで、マイナーチェンジを行った。

 キングスは01年オフにジェイソン・ウィリアムズを放出し、マイク・ビビー(共に元キングスほか)を獲得。華やかなプレーでキングスをリーグきっての人気チームへと押し上げた功労者を放出し、堅実で得点力のあるビビーを加えた。そう、キングスはエンターテインメント性を捨てて、勝利を最優先するべくビビーを獲ったのである。

 01-02シーズン。キングスはトップスコアラーのウェバーを28試合、第2の得点源ペジャ・ストヤコビッチ(元キングスほか)を11試合欠く中、リーグトップの61勝21敗を記録。7選手が平均2ケタ得点を挙げる選手層の厚みでレギュラーシーズンを切り抜けた。

左からビビー、クリスティ、ウェバー、ターコグル。キングスはリーグ屈指の選手層でリーグトップの成績をマーク[写真]=Getty Images

 プレーオフに入ると、1回戦でユタ・ジャズを3勝1敗、ウエスト準決勝でダラス・マーベリックスを4勝1敗で下し、カンファレンス・ファイナルへ進出。マブスとのシリーズ第3戦で、ストヤコビッチが右足首をねんざしたため戦線離脱したものの、代わって先発した選手たちが大活躍。第4戦ではボビー・ジャクソン(元キングスほか)が26得点5アシスト、第5戦ではヒドゥ・ターコグル(元オーランド・マジックほか)が20得点13リバウンドをマークして勝利に大きく貢献し、自慢の選手層をアピール。

 ウェバー率いるキングスは、レイカーズの3連覇という野望を打ち砕くべく、シリーズに臨んだのだった。

■GAME1 レイカーズ 106-99 キングス

アウェーで横綱相撲を見せたレイカーズが快勝

 キングスのホーム、アルコ・アリーナで幕を開けたシリーズ初戦は、レイカーズが第1クォーターに36-22と圧倒し、1度もキングスにリードを許さず勝利。コービーが30得点6リバウンド5アシスト、シャックが26得点9リバウンド4ブロック、オーリーが18得点8リバウンド4スティールと続き、シリーズ先勝。キングスはウェバーが28得点14リバウンド6アシストを残すも、シーズン中に見せていた流麗なボールムーブから展開される自慢のオフェンスを展開できずに終わる。

豪快なダンクをたたき込み、レイカーズに勢いを持ち込んだコービー[写真]=Getty Images

■GAME2 キングス 96-90 レイカーズ

リズムをつかんだキングスが勝利して1勝1敗

 初戦とは打って変わって、キングスがゲームの大部分をリード。試合時間残り12.5秒にコービーの3ポインターで3点差とされたものの、ウェバーとジャクソンのフリースローで逃げ切り、シリーズ初勝利を飾った。ウェバーが21得点13リバウンド5アシスト5ブロック、ビビーが20得点8アシスト、ブラデ・ディバッツが15得点14リバウンド、ダグ・クリスティ(共に元キングスほか)が13得点3スティール、ベンチからジャクソンが17得点を挙げる活躍を見せた。

持ち前のオールラウンドなプレーでキングスに勝利をもたらしたウェバー[写真]=Getty Images

 この試合を迎えるにあたり、ちょっとしたアクシデントがあった。コービーがルームサービスで注文したチーズバーガーで食中毒を引き起こしたのである。試合開始の数時間前に静脈内へ3リットルの注射を打つほど体調不良だった。「今度チーズバーガーを食べたくなったら、マクドナルドに行くよ」と語ったコービー。「俺のペースでプレーしようとトライした。でも、俺が健康体だったら、間違いなくもっと良いプレーをしていただろうね」と続けた。それでも、マッチアップしたクリスティは「コービーはコービー。彼は今日も強く、アグレッシブだった」とコメント。

 「彼らが追いついてきても、僕らは集中して、ゲームプランを遂行する自信があった。これが初戦との大きな違いだ」とクリスティが話したとおり、この試合でキングスは本来の調子を取り戻すことに成功した。

■GAME3 キングス 103-90 レイカーズ

大量リードを手にしたキングスが2連勝!

 第1クォーターと第3クォーター、アウェーのキングスがステープルズ・センターでレイカーズを圧倒し、大量リードを奪ってシリーズ2勝目。75-52で迎えた最終クォーター、レイカーズは14連続得点などで猛追し、11点差まで詰め寄るも、キングスはウェバーとビビーのショットなどで2ケタリードをキープし2連勝。ウェバーが26得点9リバウンド6アシスト3スティール、ビビーが24得点5アシストを挙げたほか、クリスティが17得点12リバウンド6アシスト3スティール、ターコグルが14得点、ディバッツが11得点9リバウンド3ブロック、ベンチからはジャクソンが11得点5リバウンドで勝利に貢献。レイカーズではコービーが22得点、シャックが20得点19リバウンドを記録したが、チーム全体でフィールドゴール成功率35.6パーセントと低調に終わった。

コービーをガードする傍ら、得点面でも奮闘したクリスティ[写真]=Getty Images

■GAME4 レイカーズ 100-99 キングス

オーリーの3Pブザービーターでレイカーズが劇的勝利

 第1クォーター終了時点で20-40、第2クォーター途中には24点ビハインドとなったレイカーズに対し、ホームのファンからブーイングが鳴り響く。それもそのはず、シャックが先取点を挙げてからというもの、レイカーズはこの試合、一度もリードすることができなかったからだ。

当時キャリア2季目だったターコグルは、この試合でシリーズ最多の18得点をマーク[写真]=Getty Images

 しかし、レイカーズは徐々に点差を縮めていき、第4クォーターだけで11得点を挙げたオーリーの活躍で、残り1分39秒に3点差まで追いつく。ディバッツのジャンパーで5点ビハインドを背負うも、コービーのショットとシャックのフリースロー2本が決まり、残り26.9秒で1点差(97-98)とする。

 残り11.8秒、ディバッツのフリースローが2投中1本決まってキングスが2点(99-97)をリード。レイカーズは最後のオフェンスで、コービーがドライブを仕掛けるもディバッツに阻まれミス。リバウンドを拾ったシャックのショットもリムに嫌われ、ディバッツがトップ・オブ・ザ・キー付近へとボールを弾いた。

 そこで待っていたのがオーリーだった。「俺はずっとスリーを狙っていた。ショットを狙えそうな位置にいたんだ。そしてボールが転がり込んできた瞬間、『見ろよ、俺の方にやって来たぜ』って感じだった」と語ったオーリーは、綺麗なフォームから迷うことなく3ポイントシュートを放ち、これが逆転ブザービーターとなった。キングスが3勝1敗で王手をかけるのはほぼ確実……。そう思われたやさきに、2勝2敗のタイへと持ち込む貴重なショットをオーリーが決め、レイカーズのピンチを救ってみせた。

 レイカーズでは、シャックが27得点18リバウンド3ブロック、コービーが25得点3ブロック、オーリーが18得点14リバウンド5アシストの活躍を見せた。キングスではディバッツが23得点7リバウンド、ビビーが21得点3スティール、ウェバーが20得点5アシスト、ターコグルが18得点12リバウンドをマークするも痛恨の逆転負け。

 試合後の会見で、ディバッツが「(オーリーのショットは)ラッキーショットだ。集中していたかどうかじゃない。彼はただ放り投げただけ。それだけさ」と一刀両断すると、「そんなことない。俺はこれまでにも重要なショットをいくつも決めてきた。(ディバッツは)新聞読んでないんじゃないか?」と切り返し、激しい闘志を見せた。

オーリーが決めた劇的ショットによって、レイカーズは再び勢いを取り戻した[写真]=Getty Images

■GAME5 キングス 92-91 レイカーズ

ビビーが決勝弾を沈めてキングスが王手!

 劇的勝利を飾った第4戦の勢いをそのまま持ち込み、レイカーズはシャックとコービーがアグレッシブに得点を重ね、キングスからリードを奪う。第1クォーターを終えて33-27とリードしたレイカーズだったが、このクォーター途中にシャックとコービーが2ファウルを犯し、そのアグレッシブさが裏目に出てしまう。

 キングスは第2クォーターで24-13と巻き返し、51-46で前半を終える。するとレイカーズは、第3クォーターにシャックが16得点を挙げるなど28-22と突っ走り、74-73の1点リードで最終クォーターへ。ファウルトラブルがかさみ、プレーが制限されるレイカーズの両エースを尻目に、キングスはウェバーとビビーを中心に加点していく。

シリーズ王手を懸けた第5戦から、両チームによるシリーズはいっそう激しさを増した[写真]=Getty Images

 残り3分22秒。85-84とレイカーズ1点リードの場面でシャックがファウルアウトすると、ビビーのフリースローが1本決まってキングスが追いつく。その後フォックスのフリースロー2本、ターコグルのショットが決まり、ウェバーのフリースロー1本でキングスが残り2分23秒で1点をリード。しかし、シャック不在のレイカーズはここで粘りを見せる。コービーのジャンパー、サマキ・ウォーカー(元レイカーズほか)のフリースロー2本が成功し、残り59.3秒で91-88とし、キングスから3点のリードを奪う。

 だがこの年のキングスにはビビーがいた。まずは残り46.6秒、コービーのファウルを誘ってフリースロー2本を成功。直後のポゼッションでコービーの放ったショットがディバッツにブロックされると、残り11.4秒から始まった最後のオフェンスでウェバーのスクリーンにフィッシャーが引っかかり、ほぼフリーの状態でビビーがプルアップ・ジャンパーを放つと、これが見事リムに吸い込まれていった。最後はジャクソンがコービーの動きを読みきり、見事なディフェンスでレイカーズ最後のオフェンスをしのぎ、シリーズ突破に王手をかけた。

プレッシャーのかかる場面で見事決勝弾をねじ込んだビビー[写真]=Getty Images

 「シリーズ中、チームメートたちから『アグレッシブに行け』と言われているんだ」と好調の理由を語ったビビー。決勝弾については「ずっとこういうショットを打ちたかった。(リングに)沈めることができると思っていたんだ。なんでかは言えないけど、そう思っていただけ。どうやら、正しかったようだね」と喜びを語り、勝利の殊勲者となった。

■GAME6 レイカーズ 106-102 キングス

レイカーズの両輪が計72得点を挙げてシリーズ突破に逆王手!

 3連覇を果たすためにはもう1敗も許されないピンチの中、シャックとコービーというレイカーズの両輪が立ち上がった。深夜にシャックから「一緒に力を合わせて勝ち上がろう」という電話を受けたと明かしたコービー。この両輪が王者のプライドを懸けてホームの第6戦に臨んだ。

 シャックが前半だけで21得点を挙げる中、キングスもウェバーやビビー、シリーズ第5戦から復帰したストヤコビッチらが応戦。前半はキングス5点リードの56-51で折り返すと、第3クォーターに入ってレイカーズは逆転するなど反撃し、75-75のタイスコアで最終クォーターを迎える。

老獪なディフェンスで奮闘したディバッツ(右)だったが、この日はシャック(左)が圧倒[写真]=Getty Images

 序盤からシャックとコービーの活躍で徐々にリードするレイカーズだったが、残り4分38秒にキングスが90-89で逆転すると、シーソーゲームの展開に。残り2分56秒でディバッツがファウルアウトすると、オーリーのフリースロー2本とシャックのフリースロー1本でレイカーズが逆転するも、ローレンス・ファンダーバーク(元キングスほか)が落ち着いてフリースローを2投とも決めてキングスが再び逆転。しかし、コービーのフリースローでリードを奪い返すと、レイカーズがリードを保ち、逃げ切りに成功。シリーズを3勝3敗へと持ち込む。

 レイカーズではシャックが41得点17リバウンド、コービーが31得点11リバウンド5アシストという大暴れを見せ、最終戦へと望みをつないだ。キングスはウェバーが26得点13リバウンド8アシスト、ビビーが23得点を挙げたほか、4選手が2ケタ得点を残した。

■GAME7 レイカーズ 112-106 キングス

レイカーズが延長の末にとどめをさし、ファイナル進出

 キングスのホーム、アルコ・アリーナに集まった観客が一斉にキングスを応援したシリーズ最終戦。両チームは同点16回、リードチェンジ19回という死闘を演じ、延長戦にまでもつれ込む激戦を繰り広げたが、最後に笑ったのはレイカーズだった。

 キングスは3ポイントシュートを20投中18本もミス、フリースローでも30投中成功わずか16本と、自滅と言っていいほどショットを決め切ることができなかった。それでも、延長まで持ち込むことができたのは、ビビーの活躍にほかならない。

ビビーは度胸満点のアグレッシブなプレーでキングスをけん引した[写真]=Getty Images

 第4クォーターと延長戦でキングスが挙げた32得点のうち、実にその半分となる16得点を1人でたたき出し、レイカーズに立ち向かっていった。ウェバーは20得点8リバウンド11アシストを挙げたものの、シャックとのマッチアップではなかなか得点できず、この試合で計29得点を挙げたビビーに頼らざるを得なかった。

 一方、レイカーズはシャックが35得点13リバウンド4ブロック、コービーが30得点10リバウンド7アシストと見事なパフォーマンス。さらに、オーリーが16得点12リバウンド5アシスト、フォックスが13得点14リバウンド7アシスト、フィッシャーが13得点。フィッシャーを除く先発4選手が得点とリバウンドでダブルダブルを記録。

 フリースローでも33投中27本を成功させ、81.8パーセントという高確率を残してみせた。ホームでありながら、キングスの同成功率が53.3パーセントだったことからも、王者としての経験が両チームの明暗を分けたと言っていいだろう。

 「ビビーがほぼすべてのショットを放ち、他の選手たちが躊躇しているのを見て、キングスの選手たちはこの大事な場面でひどく緊張していたんだなと思ったよ」というオーリーの言葉が、その真実と言えよう。

 コービーも「俺たちは落ち着きを保とうとしていた。チャンピオンシップの経験があったからこそ、遂行できたのさ」と語っていたように、両チームにおける差はプレーオフにおける経験。特にプレッシャー・バスケットボールにおける経験値の有無が、この素晴らしいシリーズの勝者と敗者を決めた最大の要因となった。

コービーをはじめ、ルーズボール争いやリバウンドなど、球際で強さを発揮したレイカーズ[写真]=Getty Images

両チームの明暗を分けた経験の差

 「俺たちがレイカーズに負けたのは、レフェリーの判定がひどかったから」と、のちにウェバーは敗因について言及していた。

 確かに、第6戦でキングスが放ったフリースローは25本だったのに対し、レイカーズは40本と、両チームに大きな差が開いた。実はこの試合、審判を務めていたティム・ドナフィによる不正工作が明らかになるなど、大きな問題となったため、ウェバーの指摘する点も1つの要因と言っていいだろう。

 だが、キングスの選手たちはフリースローを着実に決め切ることができたのだろうか。第6戦でキングスは72.0パーセントの成功率を残しているが、ウェバーは5投中2本しか決めていない。仮に多投できたとしても、レイカーズが残した85.0パーセントという高確率には届かなかったはずだ。

 それに、キングスには第7戦で勝利をつかみ取るチャンスがあった。例えば第4クォーター残り11.7秒、キングス1点ビハインドの場面。ほぼノーマークの状況で左コーナーからストヤコビッチが3ポイントシュートを放ったが、無残にもエアボール。それに、延長残り22.0秒でキングス2点ビハインドの中、ビビーのパスを受け取ったクリスティが3ポイントライン付近から放ったジャンパーも、リムにかすりもせずに大きく外れてしまう。

救世主として期待されたシャープシューター、ストヤコビッチは、不完全燃焼に終わった[写真]=Getty Images

 キングスはビビーを中心に、ウェバーやジャクソンらも得点していたとはいえ、シューター陣がこれではやはり厳しかった。これに対し、レイカーズはシャックとコービーが中心だったものの、オーリーやフィッシャーがチャンスを見つけて積極的にショットを放ち、要所で決めるなどチーム全体で得点していた。その点でも、レイカーズはキングスを上回っていた。

 02年オフ、キングスは機動力あふれるビッグマンのキオン・クラーク(元トロント・ラプターズほか)とベテランのジム・ジャクソン(元マブスほか)を加えて選手層をさらに厚くした。「今度こそ…」と挑んだ03年プレーオフだったが、ウエスト準決勝の途中にウェバーが左膝に重傷を負ってしまい戦線離脱。それ以降、戦力こそ保持していたものの、プレーオフでカンファレンス・ファイナルに舞い戻ることは二度となかった。

 レイカーズも03年プレーオフのウエスト準決勝でスパーズに敗れてしまったため、その後プレーオフで顔を合わせることがなかった両チーム。02年の苦い経験を経て成長を遂げたキングスが、レイカーズに立ち向かうシリーズを、せめてあと一度だけ見てみたかったと誰もが1度は思ったに違いない。

 それほど両チームの戦力はきっ抗しており、目にはなかなか見えない部分で差が生じた名勝負だった。

ウェバーはシリーズ平均24.3得点10.9リバウンド6.3アシストの活躍を見せたものの、勝利には届かなかった[写真]=Getty Images

WOWOW NBA 番組制作プロデューサー 柳ヶ瀬正輝が語る「2002年ウエスタン・カンファレンス・ファイナル ロサンゼルス・レイカーズ×サクラメント・キングス」
「事実上のファイナルとも呼ばれ、前年の雪辱を晴らすべく、第1シードとしてキングスが絶対王者レイカーズに挑んだこのシリーズは、2000年代プレーオフの中でも特に名勝負が繰り広げられたシリーズとして心に残っています。前年にポイントガードのジェイソン・ウィリアムズを起点とし、最も魅了的なバスケットボールを展開していたキングスが、プレーオフでシャックとコービーを擁するレイカーズに完膚なきまでに叩きのめされたのをよく覚えています。それでは勝てないと考えたのか、ウェバー、ストヤコビッチ、クリスティ、ディバッツなど他のコアメンバーは残したものの、ウィリアムズとマイク・ビビーをトレードし、チームを作り直した出来事には衝撃を受けました。第1シードとしてロケッツが王者ウォリアーズに挑むというウエスタン・カンファレンス・ファイナルでは、2002年のような心躍るシリーズを期待したいですね」。

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