ほぼフル出場のレブロンが最終戦に持ち込む
5月26日(現地時間25日)、ボストン・セルティックス(3勝)とクリーブランド・キャバリアーズ(2勝)によるイースタン・カンファレンス・ファイナル第6戦が、キャバリアーズのホーム、クイックン・ローンズ・アリーナで行われた。
第1クォーター。後がないキャブスに対し、アウェーで勝利を収めたいセルティックスのヤングコアが襲い掛かる。テリー・ロジアーのドライブで先制点を挙げると、ジェイレン・ブラウンの3ポインターが決まり、好調な滑り出しを見せる。
対するキャブスはレブロン・ジェームズのジャンパー、ジョージ・ヒルのプルアップ・ジャンパーなどで応戦し、セルティックスに食らい付く。
ところが残り約7分、ケビン・ラブがジェイソン・テイタムと激しく頭部を衝突。コートに倒れ込んだラブは、この日コートに戻ることができず、キャブスはチーム第2の得点源を失う。
セルティックスは残り7分55秒からブラウン、テイタム、マーカス・モリスのショットでリードしていく。JR・スミスやレブロンに得点を許すも、ロジアーやマーカス・スマートが追加点を挙げてリードをキープ。残り約50秒から4連続得点を奪い、25-20とリードして最初の12分間を終える。
第2クォーター。キャブスはジェフ・グリーンを中心に追い上げ、残り8分6秒にレブロンの3ポインターで34-33と逆転に成功。その後もグリーンやラリー・ナンスJr.が加点し、試合は一気にキャブスペースに。
その後もレブロンやグリーン、ジョーダン・クラークソンらのショットでキャブスは最大14点差をつける。しかし前半残り2.7秒にロジアーが3ポインターを沈め、54-43で試合を折り返す。
第3クォーター序盤、キャブスはヒルの4連続得点でリードを15点に広げる。セルティックスは点差を縮めるべく、アル・ホーフォードやロジアーが奮闘。しかしラブ不在の中、キャブスはヒルとグリーンがステップアップし、大黒柱レブロンを援護。
キャブスはその後もセルティックスの反撃に遭いながらも2ケタリードを保ち、83-73でこのクォーターを終える。レブロンはここまでほぼフル出場。残り約1分でベンチに下がるも、ほぼ出ずっぱりの状況でキャブスを攻防両面で支えた。
第4クォーター。レブロンが開始から出場するものの、残り9分25秒にロジアーが長距離砲を沈め、7点差の射程圏内まで詰め寄る。すかさずレブロンがドライブで返すも、ロジアーがフリースロー2本を決めて再び7点差とした。
何とかして第7戦に持ち込みたいキャブスは、ナンスJr.のダンクにレブロンのフリースローやティップショット、ヒルのフローターなどでリードを保持するも、残り4分27秒にテイタムがダンクをたたき込み、ゲームは7点差(90-97)に。
点差を2ケタに広げたいキャブスと、少しでも点差を縮めたいセルティックスの攻防は、ゲーム終盤まで続くも、このせめぎ合いに終止符を打ったのはキャブスの大黒柱レブロンだった。
残り2分22秒にステップバックから3ポインター、残り1分40秒にもステップバックで3ポインターをねじ込み、11点差をつけると、とどめとばかりに残り57.8秒でペイント内に切り込んでタフショットに成功。ブラウンのファウルで得たフリースローこそミスしたものの、ゲームを締めくくるには十分な点差をつけ、ホームに集まった大勢のファンから大歓声を浴びながら、ベンチへ下がっていった。
最終スコアは109-99。窮地に追い込まれたキャブスがセルティックスを下し、NBAファイナル進出に逆王手。シリーズは運命の最終戦へ。
運命の第7戦、ファイナルへの切符を手にするのはどっちだ?
キャブスではレブロンが約46分に出場し、いずれもゲームハイとなる46得点11リバウンド9アシスト3スティール、ヒルがこのプレーオフ最多となる20得点、ベンチスタートのグリーンが14得点2ブロック、ナンスJr.が10得点7リバウンド2スティール。
3ポイントシュートはレブロンの7投中5本成功もあり、チーム全体で23投中9本成功、成功率は39.1パーセントをマーク。ターンオーバーを9本に抑えたこと、そしてヒルとグリーン、ナンスJR.の奮闘が光った。
一方のセルティックスでは、ロジアーが6本の3ポイントシュート成功を含む28得点に7アシスト、ブラウンが27得点、テイタムが15得点と続き、ベンチスタートのスマートが10得点8アシスト、モリスが10得点。
フィールドゴール成功率51.4パーセント、3ポイントシュート成功率42.9パーセントはいずれもキャブスを上回る数字だったが、フリースローでは20投中11本成功(成功率55.0パーセント)、ターンオーバーでもキャブスを上回る13本を記録してしまった。
試合後の会見で「まさに偉大だ」と開口一番に語ったのはキャブスのタロン・ルーHC。この日見せたレブロンのプレーを表現するには最適な表現かもしれない。「彼(レブロン)は全てをコートに持ち込んでくれた。ケビン(・ラブ)を失っただけに、我々には必要だった」と続けた。
そのレブロンは最終戦に向けて「第7戦だ。俺にとってはバスケットボールというゲームに変わりない。俺はゲームの中で、多くのことができると知ってる。それらを全てコートに持ち込むことができるように信じているよ」と語っている。
試合終盤に決めた連続3ポインターについて聞かれると、「ゲームへの愛さ。こればかりは言葉では説明できない感覚だ」とレブロンは答えた。
スマートは試合後、「俺たちは戦う準備をしなきゃならない。どんなことがあろうと、その方法を見つけ出さなければ」と語っており、セルティックスとしては後味の悪い敗北となったのかもしれない。
運命のシリーズ第7戦は28日(同27日)。セルティックスが今年のプレーオフで10戦無敗のホーム、TDガーデンで行われる。勝利したチームがNBAファイナルへの切符を手にする大一番だ。
セルティックスとしてはこの不敗神話をジンクスとしたいところだが、シリーズ最終戦というプレッシャーは、ホームで戦うセルティックスの選手たちにも重くのしかかる。そのプレッシャーに打ち勝つことはできるのだろうか。ホームの歓声を味方につけ、その重圧をはねのけたいところだ。
対するキャブスは、ラブの出場が未定のため、第6戦と同様にレブロン以外の選手がステップアップする必要があるだろう。レブロン、ヒル、スミス、トリスタン・トンプソン、コーバーという経験豊富な選手たちをそろえるキャブスが、どのような戦いをしてくるかにも注目したい。