粘るキャブスをオールスタートリオが突き放す
6月4日(現地時間3日)、ゴールデンステート・ウォリアーズ(1勝)とクリーブランド・キャバリアーズ(0勝)によるNBAファイナル第2戦が、ウォリアーズのホーム、オラクル・アリーナで行われた。
ウォリアーズではアンドレ・イグダーラが欠場、初戦で左脚を痛めたクレイ・トンプソン(左側脚挫傷)は出場となった。スターターではケボン・ルーニーに代わり、初戦の後半で好プレーを見せたジャベール・マギーが昇格。
序盤はそのマギーが2連続でダンクをたたき込むと、ウォリアーズが第1戦延長のようにペースをつかみ、第1クォーター残り7分10秒で17-9と好発進する。
その後、キャブスはレブロン・ジェームズを中心に追い上げ、最大2点差まで詰め寄るも、ステフィン・カリーやショーン・リビングストンのショットなどが決まり、32-28とウォリアーズが4点リードして最初の12分間を終える。
第2クォーター。ケビン・デュラントとクレイ・トンプソンのショットで点差を広げようとするウォリアーズに対し、キャブスはジョーダン・クラークソンやジョージ・ヒル、ケビン・ラブのショットで応戦。
だが残り7分10秒からリビングストンの4連続得点、カリーの3ポインターが決まり、11点差が開く。その後もマギーのダンクにカリーの長距離砲でウォリアーズが15点リードとするも、前半残り11.3秒にレブロンの得点でキャブスが13点差まで縮め、59-46で試合を折り返す。
後半早々。キャブスはトリスタン・トンプソンのレイアップやラブの3ポインターで7点差まで追い上げる。ウォリアーズはデュラントが3ポインターをヒットさせるも、キャブスがヒルの3ポインターでお返しするなど、両チームは8点から10点差あたりの攻防に。
その後キャブスは5点差まで詰め寄るも、ウォリアーズに追加点を許すなどなかなか射程圏内まで追い詰めることができず。第3クォーター終盤にはデイビッド・ウェストに3ポインターを決められ、80-90の10点ビハインドでこのクォーターを終える。
第4クォーター。レブロンが3ポインターを決めてキャブスが7点差まで詰め寄ると、カリーが2連続3ポインターの倍返しで13点差へと突き放し、ウォリアーズが完全に主導権を握る。
その後、両チームの点差は1ケタになることはなく、ウォリアーズが最大23点差をつける猛攻でキャブスをシャットアウト。最終スコア122-103とし、ウォリアーズがホームで2連勝を飾った。
指揮官から見たこの日のカリー評とは?
ウォリアーズではカリーがファイナル新記録となる9本の3ポイントシュートを成功させるなどゲームハイの33得点に7リバウンド8アシスト。14投中10本のショットを決めたデュラントが26得点に9リバウンド7アシスト2ブロック、左脚負傷ながらコートに立ったトンプソンが20得点をマーク。
さらに、先発のマギーが6本のショットをすべて成功させて12得点、リビングストンが10得点5リバウンドを稼ぎ、グリーンが8リバウンド7アシストと続いた。この日ウォリアーズが残したフィールドゴール成功率は57.3パーセント、3ポイントシュート成功率でも41.7パーセントと、高精度なオフェンスを発揮。
敗れたキャブスでは、レブロンが29得点9リバウンド13アシスト、ラブが22得点10リバウンド、ヒルが15得点、トンプソンが11得点と続いたものの、これでシリーズ2連敗。
レブロンはこの試合、ファイナルにおける通算得点でカリーム・アブドゥル・ジャバー(元ロサンゼルス・レイカーズほか)が保持していた1,317得点を抜き去り、歴代2位となる1,327得点に到達。レブロンの上にいるのは、ジェリー・ウェスト(元レイカーズ/1,679得点)のみとなった。
ちなみに、この日のキャブスがチーム全体で記録した25アシストは、ウォリアーズ(28アシスト)と比較してもそん色なかったのだが、レブロンが作り出したフリーのシュートをチームメートたちが決め切ることができない場面が目立った。ウォリアーズに追いつくことができるような惜しい場面もいくつかあっただけに、悔やまれるところ。
「すべてのゲーム内容を思い出すことは難しいが、彼はすさまじかった。9本の3ポイントもそうだが、我々が必要としたときに毎回ビッグショットを沈めてくれた」と試合後に語ったスティーブ・カーHC(ウォリアーズ)。“彼”とはもちとん、カリーのこと。この試合、キャブスに流れが行きかけた直後のポゼッションで、カリーは必ずといっていいほど大きなダメージを与えるショットを決めて流れを渡さなかった。
そのカリーは「きわめて特別な夜だった」と試合を振り返り、自身にとっても印象的なパフォーマンスだったことを明かした。「できることなら、今後も何回か特別なことが起きて、僕らがあと2勝できればいいね」と続けた。ウォリアーズは、あと2勝でフランチャイズ史上初の連覇達成となる。
対するレブロンは「俺たちはこの環境を継続したままプレーし続けたい。(第3戦から)ホームに戻るからといって、リラックスできるわけじゃない」とコメント。これはリラックスして気を抜いてしまうと、ウォリアーズが一気にシリーズを制してしまうという危険信号にも思えた。キャブスとしては今後も緊迫した状況を維持できるように戦い、ショットを決め切ることで勝利をつかみ取りたい。
シリーズ第3戦は、キャブスのホーム、クイックン・ローンズ・アリーナで6月7日(同6日)に行われる。好調を続けるウォリアーズの勢いをキャブスがストップできるのか、注目したい。
WOWOW NBAファミリー松井啓十郎選手(B.LEAGUEシーホース三河)が語る
「2018 NBAファイナル キャバリアーズvsウォリアーズ第2戦」
「第1戦と同じく、第4Qで勝負がつきましたね。キャブスはウォリアーズに対してプレッシャーをかけられず、一度もリードを奪えなかった。キャブスは第3Qの立ち上がりのように、レブロン以外のJR・スミス、カイル・コーバーらがシュートを決められないと苦しいですね。シュート力の差でウォリアーズが終始主導権を握っていたと思います。
そのウォリアーズはスターターにマギーを起用してきましたが、これは当たりましたね。攻撃ではFG100%(6/6)、インサイドでのディフェンスもキャブスをかなり苦しめました。第1Qの入り方も主力ではなくマギーのインサイド(ダンク2つ)で攻めて、カリー、トンプソン、デュラントと、試合の流れを作ってウォリアーズのペースに持ち込みました。第1戦で勝利したのに、あえて第2戦の戦い方を変更したスティーブ・カーHCの采配も光りました」。