ここ4年間の勝率は驚異の約8割を記録!
クリーブランド・キャバリアーズとのNBAファイナルをスウィープで終え、ゴールデンステート・ウォリアーズはここ4年間で3度目、さらにフランチャイズ史上初の2連覇を達成した。
近年、リーグきっての強豪として知られるウォリアーズは、2012-13シーズンから共にプレーしているステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという強固な基盤の上に、アンドレ・イグダーラやショーン・リビングストンといった有能なロールプレーヤーを獲得、16年夏にはリーグ屈指のスコアラー、ケビン・デュラントが加入して無類の強さを誇るチームへと昇華した。
『ESPN Stats & Info』によると、4年間のスパンでレギュラーシーズンとプレーオフ(ファイナル含む)を合算した戦績で、14-15シーズンから17-18シーズンまでのウォリアーズは、驚異の328勝83敗で勝率79.8パーセント。約8割という数字はNBA歴代トップにランクされる。
これまでの勝率トップは、13-14シーズンから16-17シーズンまでのウォリアーズ(77.6パーセント)で、1994-95シーズンから97-98シーズンまでのシカゴ・ブルズ(75.8パーセント)、84-85シーズンから87-88シーズンにおけるロサンゼルス・レイカーズ(75.4パーセント)と続いているという。
「俺たちは、お互いが成功するシーンを見ることが大好きなんだと思う。このチームの選手たちは、コートに出てそれぞれの役割をしっかりこなした。ステフ(カリー)はとてもアグレッシブだったし、ほかの皆も見事に集中していた。プレーオフを通じて、俺たちのディフェンスはすばらしかった」と、デュラントが強固なチームケミストリーについて語っていた。
「お互いに、より良いバスケットボールプレーヤーになるべく日々を過ごし、俺たちは勝利を目指していく。それがこのチームをすばらしい環境にしているのさ」とデュラント。
もっとも、カリーが「今年はきわめてクレイジーなものだった」と語っていたように、ディフェンディング・チャンピオンとして迎えた今季はウォリアーズにとって決して順風満帆ではなかった。カリーをはじめ、主力選手にケガが相次ぎ、フルメンバーがなかなかそろわない期間も多くあった。カリーは今季をこのように振り返っている。
「レギュラーシーズンをとおして、ケガに悩まされたし、不振に陥ることもあった。プレーオフについても、(16勝1敗を記録した)昨年のように簡単な道のりではないことはわかっていた。僕らはチャレンジと向き合ってきたんだ」。
特にカリーは、足首と左膝の負傷によりレギュラーシーズン31試合を欠場。プレーオフもニューオリンズ・ペリカンズとのウエスト準決勝第2戦からようやく戦列復帰し、苦難のシーズンとなっただけに、今回の優勝はひときわうれしいに違いない。ケガによる長期欠場に加え、スランプに陥ることもあったカリーだが、自信を見失わずにいたことが成功の要因だったという。
「自分自身に対して、何がふりかかってこようとも、自信を持っていたことが大きいと思う。それが僕を今の位置までたどり着くことを助けてくれた。シューティングスランプの試合やケガ、それにチャレンジとか、いろいろなことが起こったけれど、自信をなくすことはなかった。だからこの瞬間に感謝しているし、ゴールにたどり着くことができたんだと思ってる。勝とうが負けようが、できる限りベストを尽くすことが大事なんだ」。
プレーオフで負けない限り、ウォリアーズの時代は続く
ここ4年間で3度も優勝したことで、ウォリアーズ王朝を構築したとも言われるが、カリーは「分からないな。その質問に答えるのは僕ではないね」と謙虚な姿勢を見せた。ただ、「僕らはとても意味のあることを達成してきた。それに多くの選手が経験できない何かを得ることができたということ。だからこのままできる限り勝ち続けていきたい」と続けた。
今夏、デュラントがプレーヤーオプションを行使してフリーエージェント(FA)になることができる権利を持つものの、残留することがほぼ確実となっていることから、カリー、トンプソン、グリーン、そしてデュラントは来季もウォリアーズの一員としてプレーする。リビングストンとイグダーラも契約下にあるため、コアメンバーにメスを入れることはなさそうだ。
それに2年連続でオールスターに選出された4選手は、全盛期を迎えていると言っても過言ではない。年齢で見てみても、カリーが30歳、デュラントが29歳(今年9月末に30歳を迎える)、トンプソンとグリーンは28歳と働き盛り。
ウォリアーズに敗れた悔しさから、今オフはヒューストン・ロケッツをはじめとする強豪チームがさらなる戦力増強を狙い、打倒ウォリアーズに向けて動き出すに違いない。
だがそれでも、ウォリアーズが王者であることに変わりはない。プレーオフの7戦シリーズで、このチームから4勝を挙げることができない限り、ウォリアーズを王者から引きずり下ろすことにはならないからだ。
もっとも、プレーオフでウォリアーズを打ち砕くことは、今年優勝したことによってさらにハードルが上がったと言っていいだろう。
来季以降、NBAではこのウォリアーズを軸とする覇権争いがどのように繰り広げられるのか。これから迎えるドラフトやFA市場、そしてトレードなど、各チームの動向にも注目していきたい。