2018.03.14
2007年のドラフト1巡目全体2位でNBA入りしたKDことケビン・デュラント(ゴールデンステート・ウォリアーズ)は、これまで4度の得点王に輝き、史上2番目の若さで通算2万得点を達成したリーグ史上屈指のスコアラーである。
これまでに新人王(08年)、オールスターMVP(12年)、シーズンMVP(14年)を獲得。昨季はウォリアーズで初優勝を飾り、ファイナルMVPにも輝いたことで、現役最上位の実力者と言っていいだろう。
2月27日(現地時間26日)、そのデュラントの記事が現地メディア『HoopsHype』に掲載された。その中で、デュラントが最初にプレーを参考にした選手は、ビリー・オーウェンス(元ウォリアーズほか)だったと答えている。
「俺が初めて映像を見て学んだのはシラキュース大でプレーしていたビリー・オーウェンスだった。彼のプレーを映像で見ては、熱心に見習おうとトライした。そうして進歩することができた。そこからは、多くの選手たちのプレーを見てきたよ。ビンス・カーター(現サクラメント・キングス)からT-Mac(トレイシー・マグレディ/元オーランド・マジックほか)、ダーク(・ノビツキー/ダラス・マーベリックス)、コービー(・ブライアント/元ロサンゼルス・レイカーズ)、レブロン(・ジェームズ/クリーブランド・キャバリアーズ)まで、何度も見てきた」。
シラキュース大在籍時のオーウェンスは、3年間で平均17.9得点8.8リバウンド3.7アシスト、3年目には平均23.3得点11.6リバウンド3.5アシストというオールラウンドな成績を残していた。
ちなみに、オーウェンスは1991年ドラフト1巡目全体3位指名でNBAデビュー。203センチ99キロの体格で、スモールフォワードをナチュラルポジションとしつつ、複数のポジションをこなし、3年目となった93-94シーズンには平均15.0得点8.1リバウンド4.1アシストを記録。キャリア全体では600試合に出場し、平均11.7得点6.7リバウンド2.8アシストだった。
デュラントはスコアリングに対する印象が強いものの、キャリア平均27.1得点7.1リバウンド3.9アシスト1.2スティール1.1ブロックと、オールラウンダーであることを証明している。
そして現在リーグで注目を集める若手オールスターたちは、デュラントの影響を受けているという。ブルックリン・ネッツのハードワーカー、クインシー・エイシーはこう言う。
「ケビン・デュラントは、間違いなく最初の逸材だ。KDがいなかったら、クリスタプス・ポルジンギス(ニューヨーク・ニックス)やヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)といった選手は存在しなかった」。
デュラントの身長は206センチ(公称)なのだが、実際はほとんど7フッター(213センチ以上)と言われている。そんな大男がコート上をスムーズかつクイックに動き回り、ガード顔負けのシュート力を駆使して大量得点を挙げているのだから、エイシーの視点は決して誤りではない。
「今では多くの若手選手が彼から影響を受けている。彼はNBAのゲームを変えたと言ってもいいかもしれない。今後数年以内に、ロースター全員が少なくとも206センチの長身を誇り、ドリブルをうまくこなし、シュートができ、ディフェンスもできる選手がそろったNBAチームが出てくるかもしれない。彼はゲームという概念を変えたんだ」とエイシーは続けた。
デュラントと仲の良いジャマール・クロフォード(ミネソタ・ティンバーウルブズ)も同意する。
「KDはバスケットボールの未来形だ。以前はトレイシー・マグレディ(元オーランド・マジックほか/203センチ)くらいのサイズを誇る選手たちがウイングで活躍していたけど、今ではKDが同じようなことをしている。7フッターみたいなものさ。彼はミスマッチを生み出す選手なんだ」とデュラントについて語った。
昨年のドラフト1巡目6位でNBA入りしたジョナサン・アイザック(オーランド・マジック/208センチ)、一昨年のドラフト1巡目全体2位指名のブランドン・イングラム(ロサンゼルス・レイカーズ/206センチ)といった選手たちも、デュラントを見て育ってきたという。特にイングラムは、デュラントに「まるで鏡でも見ているかのようだ」と言わしめた。
ただし、アデトクンボやポルジンギスら次世代の選手たちとデュラントには、大きな違いがある。それはアウトサイドにおけるシュート力だ。デュラントは3ポイントシュートだけでなく、ミドルレンジ、ロングレンジと距離を問わず、高確率で決めることができる。このシュート力こそが、他の選手たちとは違う選手像を創り出したと言ってもいいだろう。
今後も、NBAではデュラントのような大柄でガードさえも違和感なくこなしてしまう選手が世界中から集まってくるのかもしれない。その中で、デュラントという第一人者を超えるためには、シュート力全般の向上が不可欠となってくるのではないだろうか。
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