ブレット・ブラウンGM代行はシクサーズをさらなる飛躍へと導くことができるか?

現在シクサーズのHC兼GM代行を務めるブラウン[写真]=Getty Images

自軍のFAではレディックとの再契約を希望

 今季、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは52勝30敗という好成績を残し、イースタン・カンファレンス3位に入った。シクサーズがシーズン50勝を挙げたのは、2000-01シーズン(56勝26敗)以来で、プレーオフ出場は11-12シーズン以来初と、今季は躍進を見せた。

シクサーズの先発を務めるヤングコア(左からシャリッチ、エンビード、シモンズ)[写真]=Getty Images

 そのプレーオフでは1回戦でマイアミ・ヒートを4勝1敗で下したものの、ボストン・セルティックスとのイースト準決勝に1勝4敗で敗れてしまい、オフシーズンに突入。

 するとGMを務めていたブライアン・コランジェロ氏がSNSのスキャンダルを引き起こし、6月上旬にチームと決別。現在はブレット・ブラウンHCがGM代行を務めている。

 今夏、シクサーズはベテラン勢がフリーエージェント(FA)になる。シューターのJJ・レディックをはじめ、アミア・ジョンソン、マルコ・ベリネリ、アーサン・イリヤソバたちだ。ベリネリとイリヤソバはシーズン後半から加入したとはいえ、プレーオフでは4選手ともチームに不可欠な存在として貢献しており、選手層に厚みをもたらしていた。

 6月16日(現地時間15日)、ブラウンGM代行は現地メディア『NBC Sports Philadelphia』に対して、複数の質問に答えた。

 そこでブラウンが重視していたのはレディックとの再契約だった。昨夏1年契約を結び、シクサーズ入りしたレディックは、キャリア12シーズン目にして自己ベストとなる平均17.1得点をマーク。3ポイントシュート成功数でも自己最多となる平均2.8本、成功率でも42.0パーセントと、上々の成績を残した。ブラウンはこう語る。

 「私はJJ・レディックをコーチすることが大好きだ。また彼をコーチすることができるといいね。この町とチームメートたちは、彼がこのチームにどんなことをもたらすことができるか理解しているはずだ。ジョエル・エンビードベン・シモンズも、レディックのような選手とプレーすることで、恩恵を受けることになるからね」。

 今月中に34歳を迎えるレディックだが、リーグ有数のスナイパーであることに変わりはなく、ベテランとしてリーダーシップも発揮できる好選手。シモンズにはアウトサイドシュートがほぼないため、スペースを作り出すことができるレディックは、貴重な存在だと言えるだろう。

プレーオフでもキャリアベストとなる平均18.2得点を挙げたレディック[写真]=Getty Images

リーグ屈指の実力者レナード獲得の可能性は?

 そして気になるのは、複数の現地メディアが先日チームにトレードを要求したと報道したカワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ)。ブラウンはスパーズのACを務めていた時にレナードをコーチしており、今でも良好な関係を維持しているため、トレードで獲得できる可能性がある。レナードについて、ブラウンGM代行はこのように話していた。

 「彼(レナード)はすばらしい男さ。私は(ACとして)サンアントニオで数年間を共に過ごした。彼はエリートと呼べる才能があるのは間違いない。多くのチームが獲得に興味を示すだろう」。

 シクサーズはロバート・コビントンという、今季オールディフェンシブファーストチームに選出されたフォワードを擁しているが、選手としての格ではレナードに軍配が上がる。過去に2年連続で最優秀ディフェンシブプレーヤー賞を獲得した実績を誇り、14年にはファイナルMVPにも輝いた選手で、平均20得点以上を挙げることのできる得点力も兼備しているからだ。

攻防兼備の実力派レナード。この男が加入となれば、シクサーズは一躍優勝候補になるかもしれない[写真]=Getty Images

 現地記者のクリス・シェリダンは、スパーズがレナードをトレードする場合、ウエスタン・カンファレンスのチームではないと強調している。もしこれがスパーズ側の本音であれば、トレード先はイーストのチームとなる。そしてイーストのチームでレナードのことを最もよく知っている指揮官はブラウンHCとなるため、シクサーズにはレナード獲得のチャンスが十分あると言っていい。

 シクサーズはエンビードとシモンズに加え、ダリオ・シャリッチやマーケル・フルツといった魅力的なヤングコアを保持している。もしもレナード獲得となれば、コビントンに加えてヤングコアの中から1、2選手を放出することになりそうだが、そうする価値は十二分にある。

 はたして、ブラウンとシクサーズは、リーグ屈指の実力者を獲得できるのか。今後の動向にはおおいに注目していきたい。

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