21季目のビンス・カーター「僕は40歳の身体で若手のメンタリティーを持った選手」

現役最年長の41歳、カーターが近況を語った[写真]=Getty Images

若かりし頃と同じ姿勢でバスケットボールに取り組む41歳の大ベテラン

 8月25日(現地時間24日)、アトランタ・ホークスはビンス・カーターと1年約240万ドルで正式に契約を結んだ。

 現役最年長となる41歳のカーターは、今季で21シーズン目をプレーすることとなるのだが、先日『ESPN』に対して「今季終了後、90パーセント以上の確率で引退するだろう」と語っていた。

 引退後にキャスターの座を狙っているカーターにとって、ホークスの本拠地アトランタは、絶好のフランチャイズと言っていい。なぜなら、『NBA TV』や『ターナー・ブロードキャスティング(衛星テレビおよびケーブルテレビ向け放送局)』のホームがアトランタにあるからだ。

 しかし、現時点でカーターが「今季限りで引退する」と宣言することはなかった。ホークスとの契約締結後、現地メディア『AP』に対して、カーターはこう語っている。

 「メディアやファン、そして人々は、僕がプレーしていることを残酷だと感じるかもしれないね」と口にして笑みを見せると、「まるで『お前はもう年寄りだし、お前の年齢の半分にも満たない選手たちとプレーするっていうのか。お前はもうそこにいるべきじゃない』って感じかな。でも僕は、今でもプレーできることを証明することが目標なんだ。メンタル面とフィジカル面の両方をしっかりと準備していくだけさ」と続けた。

 これまでのキャリアにおいて、カーターはほぼすべてのシーズンにおいて主力としてプレーし、平均2ケタ得点をマークしてきた。しかしここ4シーズンはいずれも平均1ケタ得点に終わっており、プレータイムもこの期間中、3シーズンで平均20分未満だった。

 かつては“ビンサニティー(ビンスと『狂気じみた』を意味するインサニティーによる造語)”、“ハーフマン・ハーフアメージング(半分人間、半分は驚き)”といった異名から、数々のアクロバティックなプレーを連発し、世界中に衝撃を与えてきたカーター。

キャリア初期に魅せた数々のダンクは、信じられないほどのインパクトを与えていた[写真]=Getty Images

 ここ数シーズンはロールプレーヤーとしてプレーしているが、ゲームへの姿勢は40歳を超えた今でも変わらないという。

 「もちろん、僕はこれまでと同じ人間さ。(ゲームに対する)アプローチは変わったりしない。僕のバスケットに対する考えは変わらないし、今でも同じようにプレーできる能力がある。もちろん、(披露できるのは)限定的だけどね。何度も頻繁に見せることはできないけど、僕は僕さ」。

引退後の準備をしつつ、若手選手のメンター兼プレーヤーとして迎える今季

 かつてはリーグを代表するスーパースターとして活躍し、ベテランとなった今は所属チームで献身的な働きをするロールプレーヤーとして現役を続けているカーター。ベテランならではのリーダーシップを発揮することもあれば、メンター(助言者)として若手選手たちをサポートしているのだが、将来コーチになるプランはないという。

 カーターは自身のことをこう分析している。

 「僕は何よりも(ゲームで)プレーするのが大好きなんだ。40歳の身体と若手のメンタリティーを持った選手という感じかな」。

21シーズン目の今季も、カーターはバスケットへの熱い愛情を持ってプレーしていく[写真]=Getty Images

 そして今後の去就について、このように考えているとカーターは続けた。

 「現役を終えた時、次の段階に向けた準備ができていないと思うと心配になる。今、僕のキャリアは終わりに近づいている。だから近い将来、コートから離れることを選択した時に、次の段階へと準備できているといいね」。

 現時点における今季のホークスには、キャリア9年以上を誇る選手がカーターしかいない。キャリアが最も長いのは8年のジェレミー・リンだが、そのほかの選手たちはいずれも6年以下のため、カーターには若手の指導役を任される部分もあるだろう。

 今季のカーターは、おそらく先発シューティングガード予想のケント・ベイズモア、先発スモールフォワード予想のトーリアン・プリンスのバックアップとしてプレーすることとなる。41歳とはいえ、バスケットを楽しむカーターのバスケットボールに対する姿勢は、若手選手へポジティブな影響をもたらすに違いない。

今月オーランドで行われた『Jr. NBA世界選手権』でゲームアナリストを務めたカーター(中央)。次の段階へ向けて大きな一歩を踏み出した[写真]=Getty Images

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