昨季に続き、今季も“打倒ウォリアーズ”に自信を見せるモーリーGM
ヒューストン・ロケッツは、昨季シーズンMVPに輝いたジェームズ・ハーデンを軸に、チャンピオンシップを勝ち取るべく積極果敢に戦力補強を断行してきた。
昨季はウエスタン・カンファレンス・ファイナルでディフェンディング・チャンピオンのゴールデンステート・ウォリアーズを相手に3勝2敗で王手をかけ、1995年以来となるNBAファイナル進出まであと一歩に迫った。しかし、クリス・ポールの戦線離脱もあり、第6、7戦ともに後半でウォリアーズに逆転を許してしまい、3勝4敗でシーズンを終えた。
ロケッツは昨季、チーム全体で「打倒ウォリアーズ」「チャンピオンシップを勝ち取るんだ」という意志統一ができており、勝利のために身体を張ってフィジカルなディフェンスを遂行するなど、熱い思いを感じさせる戦いを見せたと言っていいだろう。
そのロケッツには、選手やコーチングスタッフたちと同等、またはそれ以上に“打倒ウォリアーズ”に執着する男がいる。それがダリル・モーリーGMだ。
「すべてはウォリアーズを打ち砕くため」と公言するほどライバル視しており、ロケッツが強くなるためにこれまで数多くの補強を行ってきた。
9月22日(現地時間21日)、そのモーリーGMが今季のロケッツについて現地メディア『The Houston Chronicle』へ語っていたので紹介したい。
今季のロケッツはウォリアーズに勝つチャンスがあるのかと聞かれたモーリーGMは、こう言い放った。
「たくさんあると言いたいね。私はかなり高い確率だと思う。昨季の時点で、タイトルを獲得できると思っていたし、いくつかの部分でウォリアーズを打ち負かすことができると思っていた。(今季も)我々が持つ強みを活かしてやっていくだけだ」。
昨季の主要メンバーから、トレバー・アリーザがフェニックス・サンズへ、ルーク・バー・ア・ムーテがロサンゼルス・クリッパーズへと移籍していったロケッツだが、フリーエージェント(FA)でジェームズ・エニス三世とマイケル・カーター・ウィリアムズ、そしてカーメロ・アンソニーを獲得。さらにはトレードでマーキーズ・クリスとブランドン・ナイトを加えることに成功した。
最大の強みはリーグ有数の“1on1スコアラー”を3人も擁していること
モーリーGMは今季の戦力について「このチームの戦力は、数多くのタレントが物語っていると思う」とコメントしているように、リーグ屈指の豪華戦力を誇る。特に1on1のアイソレーションから多くの得点を稼ぐことができるハーデン、クリス・ポール、カーメロを最大の強みとしているようだ。モーリーGMはこう語る。
「クリスはコート上のどこからでもショットを決めることができる選手で、3フィート以上離れたエリアから放つショットはエリートそのもの。カーメロは1on1のスコアラーとしてはエリートレベルにあり、これまで何度もそういう状況で得点してきた。カーメロがフィットするのかどうか、疑問視する声もあるが、クリスとマイク(・ダントーニHC)が解決してくれるだろう」。
カーメロについてはディフェンス面で不安視されているのも事実だが、この夏はハードなトレーニングを自身に課しており、間もなくシェイプアップされたカーメロがお披露目されることとなる。それでも、カーメロの魅力といえば、やはりスコアリングだろう。モーリーGMはこう続けた。
「コート上にいるすべての選手がスイッチして、マッチアップ相手が変わる中、1対1のアイソレーションで得点することができる選手というのは、とても重要だ。カーメロはその点でリーグの中でもベストな選手の1人。つまり我々は、ジェームズ、クリス、そしてカーメロという1on1やアイソレーションで得点することができるリーグ有数の選手を3人も抱えていることとなる。3人も抱えているチームはそう多くはない」。
昨季もスイッチを繰り返し、ハーデンやポールといった1on1に強い選手にボールを預けて、相手チームの中で最もディフェンスを苦手としている選手を攻めたてていたロケッツ。スターターにハーデンとポール、ベンチスタートにカーメロがいる布陣となることが予想される今季は、その傾向がさらに強まるかもしれない。
この3選手のオフェンス力を最大限に活かすべく、PJ・タッカーやクリント・カペラ、新加入のカーター・ウィリアムズとエニス三世には、ディフェンス面でハードにプレーするほか、コート上の潤滑油として彼らにうまくボールをつなげることが求められるだろう。