世界最高のプロバスケットボールリーグ、NBAの2018-19シーズンが10月17日(現地時間16日)に幕を開ける。82試合という約半年におよぶレギュラーシーズンを前に、バスケットボールキングではカンファレンス プレビューや注目チーム、プレーヤーランキングなどをお届けしていく。
NBA2018-19シーズン開幕特集③
イースタン・カンファレンス プレビュー、本命不在のイーストは混戦必死
第3回は、イースタン・カンファレンスのプレビューをお届けしていこう。昨季まで8年連続でイーストを制してきたレブロン・ジェームズがロサンゼルス・レイカーズへと移籍したことで、今季のイーストは激しい戦いが繰り広げられることが予想されている。
レブロンの移籍はイーストに所属する選手たちだけでなく、コーチ陣にも影響を与えたと言っていいだろう。今季からミルウォーキー・バックスの指揮官に就任したマイク・ブーデンホルザーHCは『NBA.com』へこう語っている。
「私はボストン(セルティックス)、フィリー(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、トロント(ラプターズ)、インディアナ(ペイサーズ)、マイアミ(ヒート)、ワシントン(ウィザーズ)は(イーストを制する)可能性があると見ている。だがデトロイト(ピストンズ)やほかのチームにもチャンスがあると感じている。なんと言ってもレブロンがウエストにいるんだからね」。
全チームにイーストを制するチャンスがあるとは言いがたいものの、数多くのチームにファイナル進出の可能性があることは間違いない。そのため、開幕直後から激しい勝ち星の奪い合いが展開されることになりそうだ。
「コーチ全員、そしてすべてのチームがすでに競争的だ。レブロンがいないのだからね。彼がイーストを支配している間、数多くのコーチが解雇となり、何人もの選手たちがトレードされてきた。だから今のイーストは、間違いなくワイドオープン(どのチームにもチャンスがある)なんだ」と、ウィザーズのスコット・ブルックスHCが語ったように、例年以上に混戦模様となるだろう。
では、予想順位表から見ていこう。
※チーム名は略称、選手の所属先は現地時間10月13日現在、カッコ内はディビジョン名
■2018-19 イースト予想順位表(8位までがプレーオフ出場ライン)
1.セルティックス(アトランティック):予想勝利数55勝前後
2.ラプターズ(アトランティック):予想勝利数50勝前後
3.シクサーズ(アトランティック):予想勝利数50勝前後
4.ペイサーズ(セントラル):予想勝利数48勝前後
5.ウィザーズ(サウスイースト):予想勝利数45勝前後
6.バックス(セントラル):予想勝利数45勝前後
7.ヒート(サウスイースト):予想勝利数40勝前後
8.ホーネッツ(サウスイースト):予想勝利数40勝前後
9.ピストンズ(セントラル):予想勝利数38勝前後
10.キャバリアーズ(セントラル):予想勝利数35勝前後
11.ネッツ(アトランティック):予想勝利数30勝前後
12.ブルズ(セントラル):予想勝利数30勝前後
13.ニックス(アトランティック):予想勝利数25勝前後
14.マジック(サウスイースト):予想勝利数20勝前後
15.ホークス(サウスイースト)予想勝利数20勝前後
一番手は昨季ファイナルまであと1勝に迫ったセルティックス
激しい展開が予想されるとはいえ、トップグループを構成するのはセルティックス、ラプターズ、シクサーズの3チームだ。中でも昨季レブロン率いるキャブスとのイースト決勝で第7戦の末に敗退したセルティックスが最有力候補となる。昨季プレーオフで快進撃を見せたロースターに、今季はカイリー・アービングとゴードン・ヘイワードが復帰し、フルシーズンをプレーできる見込みだからだ。強固なディフェンスと見事なボールムーブから奏でるオフェンスは、多少のケガ人が出たとしても大崩れすることはないだろう。
スパーズとのトレードでカワイ・レナードとダニー・グリーンという2014年の優勝経験者を獲得したラプターズも侮れない存在。昨季はベンチ陣の成長もあり、攻防両面で安定感が増した。ラプターズ加入を機に、積極的に声を出すようになったレナードを軸に、昨季以上のまとまりを見せるかもしれない。シクサーズはジョエル・エンビードとベン・シモンズを中心に若手とベテランがうまくブレンドされたロースターを形成。今季はJJ・レディックに代わって先発入りが濃厚な2年目のマーケル・フルツ、そしてフロントラインの控えを務めるウィルソン・チャンドラーとマイク・マスカーラがフィットできれば昨季以上の成績を残すことができるかもしれない。
上位3チームに続くペイサーズはイースト随一の選手層を誇る
イーストの第2グループに入りそうなのは、ペイサーズ、ウィザーズ、バックスの3チーム。ペイサーズは新加入のタイリーク・エバンスやダグ・マクダーモット、カイル・オクインが加わったことで、イースト随一の選手層を誇るチームとなった。ビクター・オラディポ不在の時間帯にエバンスらを中心にチームが機能すれば、トップ3を脅かす可能性もありそうだ。
ウィザーズ、バックスについては、プレーオフ出場可能と見る。前者は新加入のドワイト・ハワードが梨状筋の痛みにより、プレシーズンを全試合欠場。開幕戦出場も危ういと報道されているものの、ブルックスHCは「我々は特に急いだりはしていない。長いシーズンだからね。彼がチームにいることをうれしく思っている」と楽観的。ジョン・ウォールとブラッドリー・ビールが健在ならば、昨季(43勝39敗)以上の成績を残すだろう。今季のMVP候補ヤニス・アデトクンボ擁する後者は、ブーデンホルザーHCの下で上位進出を狙う。ただし、イーストのトップグループに割って入るには戦力不足に映ってしまう。イースト4位に入ることができれば御の字か。
プレーオフ最後の座はホーネッツ、ピストンズ、キャブスの争いか?
上位6チームに続くのはヒート、ホーネッツ、ピストンズ、キャブス。この4チームでプレーオフ最後の2つの座を争うと予想。ドウェイン・ウェイドの“ラストダンス”となるヒートはチーム全体でその座を勝ち取りたいところ。ただし、ヒートは得点力に不安を抱えており、ホーネッツは主力の健康面に不安、ピストンズは選手層が薄く、これらをクリアできないとプレーオフ出場濃厚とは言えない。キャブスに関しては、新人ポイントガード、コリン・セクストンがどれだけチームをリードできるかがポイントとなる。最終的には選手層が厚く、ディフェンス重視の戦いを得意とするヒート、ジェームズ・ボレーゴHCが就任したホーネッツがピストンズを僅差で上回り、イースト8位でプレーオフ進出を決めると見る。
この後に続くネッツ、ブルズ、ニックス、マジック、ホークスに関しては、プレーオフ出場は厳しいだろう。ディアンジェロ・ラッセルの周囲に堅実な選手を加えたネッツ、ザック・ラヴィーンを中心に期待の若手が顔をそろえるブルズがプレーオフ出場争いに加わる可能性こそあるものの、イースト8位までに入るのは厳しそう。
そのほかの3チームについては、残念ながら30勝できれば成功と言っていいほどの戦力。ニックスはオールスターのクリスタプス・ポルジンギスの復帰時期が不透明で、デイビッド・フィズデールHCは若手を育てるシーズンとなりそう。マジックはバックコートに難があり、ホークスは全体的に戦力不足となっている。