ルクセンブルクやメキシコで経験を積み、Gリーグを経てNBAデビュー
11月4日(現地時間3日)終了時点で、リーグトップの9勝1敗を記録するゴールデンステイト・ウォリアーズ。
3連覇を懸けて戦うウォリアーズには、ステフィン・カリーやケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという4人のオールスターがおり、リーグ最高級のビッグマン、デマーカス・カズンズもアキレス腱の断裂から復帰を目指してトレーニングを続けている。
そんな中、今季10試合すべてに出場し、平均13.3分6.1得点4.3リバウンド、3ポイント成功率で58.8パーセントというリーグトップの数字を記録中の選手がいる。
男の名はアルフォンゾ・マッキニー。203センチ97キロのスモールフォワードは、2015年にウィスコンシン大グリーンベイ校を卒業後、NBAドラフトで指名されず、ルクセンブルクとメキシコでプレー。
一昨季はGリーグ(NBA下部リーグ)のウィンディシティ・ブルズでプレー。50試合(うち先発は34試合)に出場し、平均30.5分14.9得点9.2リバウンドを挙げると、昨年7月にはトロント・ラプターズと複数年契約を締結する。
昨季ラプターズの一員として25歳でNBAデビューを果たしたマッキニーは、14試合に出場し、平均3.8分1.5得点を残した。
もっとも、昨季のマッキニーにとって、主戦場となったのはGリーグだ。ラプターズと「ラプターズ905」(ラプターズ傘下)を行き来し、Gリーグでは35試合すべてに先発出場して平均29.9分14.0得点7.5リバウンド1.3アシストをマーク。今年7月中旬にラプターズから解雇されたマッキニーは、9月にウォリアーズと契約を結び、出番を勝ち取った。
複数のポジションをガードできるマッキニーの能力を指揮官も称賛
11月5日(同4日)、そのマッキニーが『The Athletic』に掲載された記事で、自身の境遇について語っていたので紹介したい。
「僕は多くの時間をGリーグで過ごした。3&Dタイプの選手としてね。コーナーで待機してコーナー3を放つんだ」。
昨季マッキニーはGリーグで、3ポイント成功率34.8パーセント、平均1.5本を沈めている。だがこの男にとって、最も貴重な経験となったのは、コーチを務めていたジェリー・スタックハウス(元デトロイト・ピストンズほか)との出会いだという。マッキニーは言う。
「Gリーグで過ごしたことで、僕は多くのことを学ぶことができた。それまで僕は4番(パワーフォワード)や5番(センター)でプレーしていたんだけど、NBAではウィングでプレーすることになった。ウィングの選手をガードするにあたって、スタックハウスコーチから、どうやってウィングの選手をガードすればいいのか、基礎をたたき込まれたんだ。そのお陰で、僕は複数のポジションをガードできるバーサタイル・ディフェンダーになることができたんだと思う」。
トンプソンやグリーン、アンドレ・イグダーラのように、ウォリアーズにはスイッチング・ディフェンスで複数のポジションをガードできる選手がいる。マッキニーとしても、チーム内にお手本となるような選手がいることはすばらしい環境と言っていいだろう。
シカゴ出身のマッキニーは、10月30日(同29日)のブルズ戦で6投中4本の3ポイント成功を含む19得点に10リバウンドを奪う活躍を見せた。王者ウォリアーズでローテーション入りしているマッキニーについて、指揮官スティーブ・カーHCは、『Chicago Tribune』へこう語っている。
「彼には目を見張る身体能力があり、トレーニングキャンプ初日からチェックしていた。でもキャンプからますます良くなっているね。このチームのために多くのショットを決めており、他の選手たちとのプレーも良く、我々のオフェンスに溶け込んでいる。彼には複数のポジションをガードできる能力があるから、ポジションレス・バスケットボールとなった現代のNBAでもフィットすると思う」。
マッキニーのNBAキャリアはまだ始まったばかり。今後もウォリアーズでローテーションを確保していくことができれば、評価を上げることができるだろう。
ちなみに、マッキニーの恩師スタックハウスは、今季からメンフィス・グリズリーズでACを務めている。ウォリアーズは11月6日(同5日)にグリズリーズとの今季初戦を迎えるため、恩師の前でマッキニーがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。注目したいところだ。