試合終盤に真骨頂であるクラッチショットを突き刺して勝利をもたらす
1月17日(現地時間16日)、ボストン・セルティックスがホームのTDガーデンにトロント・ラプターズを迎えて一戦を交えた。
16日(同15日)終了時点でリーグトップ(33勝12敗)に君臨するラプターズ相手に、セルティックスのオールスターガード、カイリー・アービングが躍動。この試合でキャリアハイの18アシストをマークしたことに加え、カイリーは第4クォーター残り2分15秒から5連続得点を挙げてラプターズを突き離し、最終スコア117-108でセルティックスが勝利。
「どういうわけか、僕のことをパスすることができない選手だと思っている人たちがいる。でもね、チームメートたちがショットを決めてくれると、僕の仕事はとてもラクになるのさ」とカイリーが『AP』へ明かしたように、この日のセルティックスはチーム全体でショットが好調だった。
この試合でセルティックスが残したフィールドゴール成功率は50.0パーセント、3ポイントも46.7パーセントといずれも高確率だった。個人で見ても、カイリーの27得点を筆頭に、アル・ホーフォードが24得点7リバウンド2ブロック、ゴードン・ヘイワードが18得点5アシスト、ジェイソン・テイタムが16得点10リバウンドを残すなど、効果的に加点。
4連勝から3連敗で一気に急降下したセルティックスは、この勝利でイースタン・カンファレンス5位の26勝18敗。開幕前はリーグ屈指の豪華戦力を擁していることもあり、勝率でリーグトップ争いをするという予想もあったが、思うように勝てていない。
1月13日(同12日)のオーランド・マジック戦の終盤には、カイリーがクラッチタイムにボールが渡ってこなかったことに腹を立て、怒りをあらわにしていた。
優勝を共に勝ち取ったレブロンに対し、若かりし頃のことを謝罪したカイリー
するとラプターズ戦終了後、カイリーはかつてのチームメート、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)へ先週末に電話していたことを明かした。
一昨季までクリーブランド・キャバリアーズで3シーズン、カイリーはレブロンと共にプレーし、16年にはフランチャイズ初優勝を勝ち取った。だがカイリーは、リーダーとしての重荷を背負ってプレーしてきたレブロンに対して、そのことを分からずじまいになってしまったことを謝罪したという。
「レブロンに電話する必要があった。僕は(キャブス時代に)彼のすぐ手の届くところにあるものすべてを欲しがる若手だったことを謝ったんだ。僕は当時、チャンピオンシップ獲得へと導く男になりたかった。リーダーになりたかったんだ」。
マジック戦に惜敗後、カイリーは優勝経験のないチームメートたちへ「僕らはまだまだ多くのことを学んでいかないといけない」とメッセージを送ったものの、後悔したという。カイリーはそのことについてこう振り返っている。
「彼ら(チームメートたち)に対して、僕は不適切なことをしてしまった。今後に向けて、彼らをテストしたかったんだけど、公然とすることができなかったんだ。僕にとってはこれも学んでいかなきゃいけないことだと思った。彼らにとって、僕が持つ言葉の重さを自分自身で痛感することになったよ」。
カイリーは現在の状況と2014年夏にキャブスへと帰還したレブロンを比較。「彼はこういった状況で僕と一緒にプレーしてきた。僕がまだ若く、何もかもを欲しがっていた22歳の頃の自分とね」と語ると、さらにこう続けた。
「世界のベストプレーヤーになることへの責任感、そしてチームをけん引していくことは、多くの人たちにとってまったく違うことなんだ。でもレブロンはチャンピオンシップを勝ち取るべく、それをやってのけた。難しいことだったはずだ。だから僕は、彼こそがベストな人物だと思って電話したんだ」。
セルティックスを優勝へと導くべく、リーダー役を務めるカイリー。より良いリーダーとなるべく、昨季のセルティックス加入後から何度も試行錯誤してきたのだろう。
今回の一件と、手本を示してくれたレブロンからリーダーシップを学ぶことで、カイリーもリーダーとして成長することができると期待したい。